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(14)一日

 何が起こるか分からないから楽しみがあり、それでいて安心できないこわさを含んでいるのが日々の生活くらしである。私達はそれでも、そんな一日を繰り返して生き続けている訳だが、出来れば満足がいく充実した一日にしたいと考える。とかなんとかえらそうに書いてはいるが、その実、グデェ~~ンとしたりくつろいでいたい…と思っているのが私の本音ほんねである。^^

 とある時代のとある小学校で運動会が行われようとしている。予行演習、今風に言えばリハーサルの連続で、一日一日がまたたく間に過ぎ去ろうとしていた。そして本番当日が巡り、呆気あっけなく終ってしまった。

 生徒達が学校から姿を消し、あと片づけを終えた二人の教師がジィ~~っと放心したかのようにグラウンドを見渡している。

「終わりましたねっ、先生!」

「そうですねっ、先生!」

 まあ、どちらも先生だから先生と相手を呼び合う訳だが、ネームバリューのある先生の肩書かたがきを呼び合いたいふしがなくもなかった。

「ここまでの一日一日は長かったですが、今日の一日は短かかったですねっ! 先生」

「はい! 確かに…。お疲れさまでした、先生!」

「いやいや、先生こそっ!」

「いやいやいや、先生こそっ!」

 二人は傷ついたけものがおたがいをいたわり合うかのように、それでも相手を先生先生と呼び合い、慰め合った。

 ここで問題である。皆さんは、この二人の先生方が、やれやれ無事終った…と安堵あんどされているとお思いだろうか? 事実は、そうではなかった。二人は運動会までの日々を、快適な気分で送っていたのである。終った今となっては、それでも巡る明日からの教壇の日々が心苦しく思えた訳だ。

 素晴らしい一日は意外と短いから大事にしたいものである。^^


                  完

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