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(100)最後に…

 どういう訳か、人は格好をつけたがる。世間や人前での体裁ていさいを気にするからだ。別に人がどう思おうといい訳だが、それでも人は体裁を気にして、自分の意思をおさえようとする。たとえば、多くの人前で演説えんぜつをしているときなど、演説を終える前に、最後に…と、格好いい言葉を決め台詞ぜりふにして語ったあと、格好よく壇上から消えるのである。別に、最後に…と言う必要はなく、始めに…と最初に言ってもいい訳だ。^^

 とある選挙戦がたけなわの頃のお話である。草虫くさむし候補は今回を最後にしようと出馬した候補者だった。その草虫候補が演説を行っている。

「皆さまのおかげをもちまして、10期の当選を果たさせていただきましたっ! 厚く御礼おんれいを申し上げる次第でございますっ! そんな私ではございますが、今回を最後のご奉公にさせていただきたく、かく出馬をさせていただいた訳でございますっ! 何卒なにとぞ、皆様方の最後のご支援をたまわりますよう、高段からではございますが、重ねてお願いを申し上げる次第でございますっ!!」

『おっ、いいぞっ! がんばれっ!!』

 多くの人込みの中には、そんな声援の声もチラホラ聞こえた。

 選挙戦が終わり、草虫候補は見事、11期目の当選を果たした。ところが、草虫候補は、この選挙を最後に…とは、ちっとも思ってはいなかった。12、13、いや、死ぬまで出続けてやるぞっ! と熱く思いを変化させていたのである。

 このように、人の心は最後に…と思いながら、それでも最後にならないのだから油断がならないと最後に申しておきたい。^^


                  完

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