(10)未練(みれん)
人目もあり、表立っては強がってみたものの、それでも心の底では未練タラタラ・・という場合がよくある。^^ 絆された女性と、いい関係だった者が、やむにやまれぬ事情で別れる破目になる恋愛関係の場合などは特に未練が残るものだ。スンナリと諦められればいいが、忘れようとしても忘れられず、身を焦がす訳だ。この餅は余り焦がし過ぎると、美味しく食せないから考えものだ。^^
とある商店街を二人の若い女性が連れ立って歩いている。まだ寒いとはいえ、陽気がいい春先の晴れた日でもあり、足取りはいたって軽やかだ。
「この前さぁ~。あそこのお店のショーウィンドウに出てたアノ服、よかったじゃないっ!」
「ああ、アレ? 確かに…。まだ出てるかしら? ちょっと寄ってみないっ!?」
「いいわねっ!」
二人はお気に入りの服が出ていた店の方へと近づいていった。店に近づいた二人だったが、すでにお気に入りの服は片づけられ、ショーウィンドウには他の服が飾られていた。
「なんだぁ~! もう変わってるわっ!」
「そうね…。コレ、少しダサいっ?」
「ダサい、ダサいっ!!」
二人はショーウィンドウを見ながら、ダサいっ! で盛り上がった。
「行きましょ!」
食欲を満たす方向へと二人は気分をチェンジし、店先から消え去った。
「私、用事があるから…じゃあねっ!」「あら、私も。じゃあ!」
食後、二人はレストランの前で別れたが、それでも、アノ服が気になっていた。そして、二人はお気に入りの服が出ていた店の中でバツ悪く再開した。
「あらっ! …」「まあ! …」
二人がどう取り繕ったのか? 店の女店員に訊ねていないので、私には分らない。^^
女性は未練を残し、それでも! と、美を追求するのである。^^
完