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異世界で魔導師様と同居することになったんだが彼特殊性癖持ちかもしれない

作者:

高校を卒業してなんとか入った大学に

馴染めなくて

ひとりぼっちでしんどくて夜になって悲しくなる度に本棚から出した小学生の時大好きだった少女漫画を読んだ。

平凡な町娘の女の子を王子様が迎えにきてくれる。

彼女だけを愛すると誓いを立てて。

あーあ、こんなにキラキラしている世界に行けたら、いいのに。

明日が来るのが怖いよ。

もう何も考えたくないよ、早くきてよ王子様…


そう思って眠りについたら次に起きた時はなんだかファンタジーな世界にいて、混乱してる間に聖女として祭り上げられて、国王らしき偉い人と面会してた。それで言われた。

「お前は国にとって重要な人物だ。

それ故魔導師と共に過ごしてもらう。狙われやすい危うい存在である大切な聖女を魔導師が面倒を見るって事だ。今の現状では彼以外お前を守れない。

義務的以外に繋がってる方が絆は強いし恋人になれ。それで魔導師も同意しているのだ。お前は保護下に入れるし良い条件だろう?」

「そんな!!恋人なんて勝手な!」

国王は強力な魔法を使える彼しか異世界からきた私を保護できないという。それに

いきなり恋人なんて冗談じゃない!

「かなりの美形なのだが…」

「やります!!!」

国王は食い気味の私に若干引きながらも奨励の言葉をくれた。

しょうがないよね、イケメンだもん。

……それに、ここで拒んで命の危険にさらされたくない。彼を頼ろう。彼は恋人になるっていう条件を飲んでくれたみたいだし、きっと大丈夫だ。

…どんな人だろ…優しくて、素敵な人だと良いな。最初は気まずいかもしれないけど助け合って、素敵な恋人になれたらいいな……





そして黒の森にある魔導師の家に連れてかれた。木造りの可愛らしい木屋だ。緊張してノックした

扉を開けた魔導師様は

日本では見ないような真紅の髪をしていたが美しい紫の瞳と馴染んでいて、戦いの後だろうか、頬や右の眉頭の上に傷が付いている。痛そうだが本人はいたって気にしていないようだしそんなこと気にならないくらいには彼は、本当に美形だった。彼は私をじーっと見つめると、かったるそうに口を開いた。

「えっと、君が聖女様?僕アルナ。

あーー聞いてるよ…なんか、知らないけどまぁ、よろしく?えっとレト?だっけ?」

「…李都(リト)です。よろしくお願いします。」

なんか、ちょっと不安だな。

「……あー、うん、よろしくね。………はぁ、めんどくさ」

ねえ!!今ボソッとめんどくさって言ったの聞こえたんだけど!!!!

そんな私を無視して腰に手をつきながら魔導師様は言った。

「じゃあ一応、僕と君は恋人みたいだけど僕はベタベタ一途に恋愛ごっこなんて無理だから君は君の好きな様にしなよ。町に降りれば見目の良い男なんて腐る程いるし。何人でも作ればいい。僕も僕の好きにするからさ」

あまりの衝撃に彼が最初何を言ったのか理解できなかった。そうして反芻するうちに頭が落ち着いてきた。

つまり、彼が言ったのは、自分は他の女と遊んでくるからお前も好きにしろということだ。

ここの常識は違うのかもしれないけど、私の世界では、少なくとも私の中の常識では恋人は1人のはずだ。

互いを大事にして、尊重して、

愛し合って慈しみあって…

何人も作るものではない。

急に国王に女を押し付けられた勿論彼も迷惑だろうが…

私には彼しか頼れる人がいないのに、それを同意したのにあまりではないか。

でも男に好まれる様に可愛らしく泣いて引き止めるなんて出来なかった。

だから、最大級に瞳孔開いて目力を飛ばしながら言ってやった。

「…私以外に目移りしたらぶち殺す。」

すると目の前の彼は目を大きく見開いてーーー

「っ!?////」

ーー顔を真っ赤にした。

え?

「う、うん……わかった…//」

そうして恥ずかしそうに俯いて頬を染めながら言った。

………

いやなんでだよ。おかしいでしょ。


その日からなんだか彼は私のことを気にかけてくれるようになった。この国のことを教えてくれたり魔法でかわいい動物を出してくれたり町に連れていってくれた。

嬉しかったけどどう考えても境目になった日の出来事はアレしかなくて

この人ドMかな?と思って一度蔑んだ目で

「シフォンショートケーキ買って来なさいよ」

と言ってみたのだが

「は?それが人にものを頼む態度なワケ?」

と逆に塩対応された。……おかしいな。とりあえずマゾヒストではないようだ。じゃあアレは私の見間違いだったんだろうか…?眼科行くべきかな??あ、この世界眼科なかったな。





ある日彼が怪我をして帰ってきた。あわてて彼に駆け寄る。

「アルナ、怪我してる!!」

酷い、腕からこんなに血が出て…

「別に、怪我くらいどうってこと」

どうでもないみたいにいう彼が酷く寂しそうでなんだか放っとけなかった。

「…アルナ、痛いのに慣れるのは私は悲しいよ…」

「悲しい?あなたは痛くないでしょ?」

そう言って首をかしげる彼はひどく不思議そうだ。

アルナはわからないのかな。

気にかけている人の痛みは伝染するんだよ。

「でもあなたは私によくしてくれてるしあなたは私の一応だけど恋人なんだからそんな風に思って欲しくないな…」

「……そっか、ごめん…ありがと」

その日、アルナは作り笑いじゃない笑みを見せてくれた。

私、彼を勘違いしていたのかもしれない。






「これ、あなたにあげる」

そう言って彼は国の依頼で遠くの街へ行くたびによく贈り物をくれる。

この人の本質は優しくて良い人なんだな、きっと。最初は素っ気なかったのに本当の彼は優しくて、照れ屋で、不器用で、人間味があって、それを見せてくれることが嬉しくて笑みが抑えきれない。それに最近彼は仕事以外ずっと私のそばにいてくれる。

「優しくしてくれてありがとう」

「っ!うんっ!!」

アルナはすぐ赤くなる。

………あぁ、なんだかこういうの楽しいな。幸せだな。

私、アルナが好きだ…




彼女を喜ばせたくて

リトに聞いた話に出てくる彼女がいた世界のものと似ているものを探しているのだが渡すと

ありがとうと言って本当に嬉しそうに笑ってくれる。

かわいいなぁ。好き。

それでも少し切なそうな顔をする時がある。あぁ、故郷に帰りたいんだろうな、帰ることが彼女の望むことなら帰らせてあげたほうがいいのではないだろうか。

いやだ、いやだ

故郷へ帰らないでほしい。

分かってる…こんな自分勝手な感情で彼女の願いを見て見ぬ振りをするなんて最低だ。

でも、彼女がいないと

息が出来なくなっちゃうんだ。





ある日彼が留守中に扉をノックされた。郵便かななんて思いながら開けると長身の綺麗な大人っぽい女の人が入ってきて見惚れてる私を見ると長い髪を揺らしながらつかつか詰め寄ってくる。

え、なに?誰?

「アンタが聖女?!?」

そうすごい剣幕で言われて尻込みながらはいとしか言えなかった。

「はぁ!?!?アンタみたいなブスがなんで!!色気もないただの異世界から来ただけの女のくせに!!!!」

…どういうこと…?

まるで、私を妬んでいるような…

急速に心が冷えていった、まって、アルナはこの人ともそういう関係を持っているの?どうして……

「ただいま」

ガチャっとした音が

無駄にいい声を響かせ最悪のタイミングで魔導師が帰って来た。

「私、ここ、出て行く。」

なんで、とかひどいとか言うと思った予想に反して口から出た言葉は彼との関係を断ち切る言葉だった。

「リトっ!?」

「あら!アルナ!!!」

可愛らしく駆け寄る彼女は女の自分から見ても魅力的で色っぽくて彼とお似合いでなんだか惨めでもう耐えられなかった。

「最低っ!!!他の人と遊んでれば!!!!」

ようやく状況を把握したらしいアルナはなんだかとても焦ったようだった。

「ねぇ、待って違う、違うんだ!!」

アルナは出て行こうとする私の手をぐっと掴み、押しかけた女の人に冷めたようなそれでいて強い口調で言い放った。

「いらない。全部、お前もういいよ。」




アルナはその後魔法で泣きわめく女の人を追い返し、鍵を何重にもかけた。

そうして、私を離さないというように痛いほど抱きしめベッドの淵に座らせ、その隣に自分も座った。

「……勘違いしないで欲しいんだ。あの日からあなた以外の人と関係は断ち切ったよ。リト、あなたを魔法で拘束しようとか縛りつけようなんて思ってない…お願いだ。ただ、ただ黙って聞いて欲しい。」

「アルナ…」

あまりの彼の悲しそうな顔にただ頷くしか出来なかった。

「…僕は奴隷だったんだよ。この顔の

傷、汚いでしょ。これはね主人に付けられた跡なんだよ…魔法でこれは消えなかった…

ふふ…僕が痛がるのが面白かったんだろうね。

誰も僕の痛みをわかろうとしてくれない。誰も僕を必要としない。

僕を傷付けて喜んでも僕の痛みはどうでもよかったみたい。

何も信じられなくて、感情を殺して

笑ってそれなりに生きていれば悲しさも苦しさももう感じなくなると思って生きてた。」

アルナがそんな思いをしていたなんて….胸が締め付けられて苦しい…

もっと早くアルナを助けにこの世界に来れたらよかったのに…

「でもあなたに言われたあの言葉は僕を離さないって誰にも渡さないって言ってくれてる気がした。お前が必要だって言われてるような。そんな気がした。今思うと都合のいい解釈だなって思うけど、それでもリトは僕にいつも心から接してくれた。嬉しかった」

わたしだって…

「私だってアルナのやさしさを感じてた。あなたは本当はいつも優しかった。過去なんていいの。いらない。

全てを話してくれたことが嬉しい」

漏らさないよう自分の気持ちをしっかり彼の目を見て伝えた。

信じられないような顔をしてそれから間を置いてアルナは私の手をとりキスをした。

「あなたがいてくれれば何もいらないんだ。ねぇ、リト。あなたが好き…僕と一緒に暮らして欲しい。」

彼の顔はいつになく真剣で真っ赤だった。

押し寄せる幸福感に包まれて嬉しくて愛おしくて潤んだ視界の中見えたアルナの腰に抱きついた。

「いいよ、でも…

私以外見たら殺すから…」

頬を濡らす涙をアルナの指が拭った。

「わぁ、それは素敵」

アルナも泣いていた。

「だって、そのくらい僕をあなたで満たしたいくらい僕が好きだってことでしょ」

そういって、笑ったアルナは

顔には傷があって、笑い方も下手くそだったけど、

でも世界一綺麗だった。


いわゆるなろう小説というものを練習で書いたものです。読んでいただきありがとうございました。

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