勇者への第一歩
なんかこの話し以前は、見返したら凄く字数が少ない…この話しの字数位が、丁度良いくらいかな…?
レンは今学園長の入学生への祝辞を
眠たげに聞き流していた。
幼馴染達とはクラスは一緒だったが
席順の問題で、現在は知り合いが周りにいない
状況であり、必死に眠気に対抗していた。
レンは思う、初等部も中等部もこの学園も
偉い奴に成れば成る程
頭が薄くなっていくのかな?と。
そんな退屈な上に、別にありがたくも無い
祝辞を聞いた後、クラス毎
(各クラス40名程でA~C迄ある。)に担任の誘導で
グラウンドへと向かう。
そして今レンは考えていた、自分たちの代の勇者候補生は少ない方だと聞かされていた。
ちなみに五年間この学園に世話になるらしい。
実際少ない、一年生は約120名程だ。
何を見て少ないと言っているか?
それはこの広大過ぎる学園だ。
明らかに広い、少ない時の事を考えてないのか?
それとも他の代は、俺達の3~4倍位いるのか?
何せ担任が「グラウンドに行くぞ!」と言ってから
着く迄にそこそこ時間が掛かった。
そんな事をぼーっと考えて居ると
おい、レン。レン?居ないのか?
誰かが呼んでいたので
「はい?」と返事をする。
「はい?では無い!居るなら返事しろ!」
ガッチリ角刈りを決めた
口髭ナイスミドルな担任が呼んでいた。
「はい!申し訳ありません!」と返事を返し
担任の横に行き、クラスメイトの方向を向く
「ヨシ!良い返事だ!ではお前が最後だ!
得意な戦闘方法を合わせて自己紹介をしろ!」
えぇ~…グランドに来て迄自己紹介するだけかよと思いつつも「はい!レン・グリンガムです!
特技は格闘術と斧術を組み合わせた近接戦!
少々の魔術を織り交ぜた戦闘が得意です。」
終わった後に、ちょっと簡単過ぎるかな?
終わりました。の意味を込めて担任の方を向くと
「フム…フム…お前がアラン殿の息子か…
良いぞ元の場所に戻れ。」呟きながら
手に持った資料に何事かを記入している担任。
どうやら自己紹介はあんな感じで良かったらしい。
何を記入してんだろうなアレ?
元の場所に戻り担任が記入を終わる迄
やる事が無いのでしばらく待機していると
遠くの方で魔力…いやこれは違うな。
何か力を感じる。
辺りを見渡すと、クラスメイトも不思議に思い
キョロキョロしたり、近くの人とひそひそ何事かを
話している、少しずつ話しは広がり
ガヤガヤしだした頃合いに
「よ~し終わった!うん?お前らうるさいぞ?
…む?何処の組みか知らんが始めたか…。
ではこちらも始めるか。」
記入し終えた担任が、喧騒に気付き注意を行う。
その上で今も続く不思議な力の波動に心当たりが
あったのか、何かを始めるらしい。
「諸君らも今のは気になるだろうが
今からちょっとした確認と質問
それと今から始める事を説明する。
まずは確認だ、諸君等は栄えあるこの帝立勇者育成学園に入学した、その意味がわかるか?」
言いながらクラス全員を見回し
「では~…バジル、答えてみろ。」クラスメイトの一人に視線を固定し、返答を求めた。
「我々、帝立勇者育成学園の生徒は皆
帝国法に則り中等部を卒業し次第
協会にて女神の洗礼を受ける。
その際勇者になる為の祝福を授けられた者は
この帝立勇者育成学園にて、教育を義務付けられ
勇者となる為に力を磨き、将来的に魔族や
魔王との戦いに備え、帝国軍に所属される。」
以上だ。の言葉で締めくくり
担任を見るバジルと呼ばれた金髪の少年。
「うむ、勇者になる為の力とバジルは言ったが
諸君等の力はまだまだヒヨッコだ。
だが、まだまだ小さな力、とは言え
周囲の力を授からなかった者達から見たら
充分な脅威として見えるだろう。
それを防ぐ為に何をした?」
バジルの答えを聞いた後、更に説明を続け
次の回答者を探し、視線を動かす担任
「ではアリア、答えろ。」
「はっ…はいっ!えっと、女神の祝福を授かった
人達はみんな、その場で【女神の微笑み】と
呼ばれる、腕輪型の神器を付けて
力を無闇に振りかざさ無い様に抑えられています
…と思います。」
何処か自信無さげに、顔を真っ赤にしながら
回答するアリアと呼ばれた黒い髪の少女。
そんな様子を見ながらも
回答には満足した笑顔の担任が
「そうだ、過去には力が強過ぎて力に酔い
その場で暴れ回る、もしくわ完全に自我を無くし
暴走した者も居たと言う。
研究を重ねた結果、力を抑え
少しずつ体に力を馴染ませる事で
暴走や突発的な事故を防げる様になった。
その神器には人々の安全と諸君等の安全を守る、という意味もある。」だが、と言葉を続け
「何時までも付けて居ては
勇者としての力を使いこなせん。
諸君等は数日の誤差はあるだろうが
その力を授かり、1ヶ月程経っている。
もう充分力が馴染んだ頃だ、なのでこの場で
その神器を外してもらう。」
そんな説明を受けたクラスメイト達は
再びガヤガヤとしだす。
暴走とか自我失うとか聞いたらそら怖いわな。
内心呟き躊躇無く取り外し始める。
レンは早くこの神器を外したかった。
理由は単純、父親から聞かされていたからだ。
曰く今迄の自分では無い感じ。
曰くこれまでの鍛練が
馬鹿らしくなる程の力の上昇。
等々上げたら出したらキリが無い程だ。
なので右手首にある光沢が眩しい金属の錠を外す。
…カシャンと軽い音を立て
【女神の微笑み】は地面に落ちた。
これからも精進します!