殲滅戦 1
『攻めて、来ませんね…』
俺達は今、現在進行形で取兜達に包囲されている。だが一向に攻めて来る気配がない。
『もう1分くらい経つわね。このまま、もう攻めて来ないんじゃないの?』
『【純白】、そんなわけないでしょ‼馬鹿なこと言って無いで集中してなさい』
『冗談だってばー。でもこのままじっとしててもしょうがない?』
確かに純白の言う通り、このまま敵の攻撃を待っていても、無駄に精神を消耗するだけだ。だが、こちらはジョーが準備できるまでの時間稼ぎが目的。へたに攻めに出たらジョーを護れない。それが解ってて、じっとしているか、それとも何かを待っているのか、もしかしたら此処に俺達を足止めするのが狙いなのかも知れない。
なぁ、【深紅】。こいつらが動かない理由って解る?
『解ってたら苦労しませんが、可能性は幾つかあります。例えば他の中国メンバーの武器を回収しに行っている。ですがこれはおそらく無いでしょう』
確か、日本では死んだ仲間の武器を使ってきたな…。
『えぇ。ですが此処にいる取兜は全て四足歩行です。武器を使えないでしょう』
『でもロシアのイヌ型は使うらしいわよ』
マジか…。そうなると厄介だな
『なんで早くそれを教えなかったんですか‼』
『えー。だって可能性無いでしょ。使われて一番厄介なのは地雷だけど、それもさっきの自爆で全て爆ぜたし、短剣は水が必要で、水が嫌いな取兜が使う可能性は低いし、何よりあれは知識が要るもの。後の武器で厄介なのは特殊迷彩服?だっけ、でもあれもジョーには見分けがつくし、何より服着れないでしょ』
確かにあまり脅威には感じない。
『発煙筒はむしろ使ってぐれた方がこっちとしては戦いやすい。後の近接系の武器達はりるの狙撃で勝てるでしょ?後は鎖鎌だけかな。それも混戦では、仲間を巻き込むから使えない。以上、説明終わり』
『確かにあまり武器を使うとは思えませんね』
『武器を使うってのは初見だと対処できない場合が多いけど、ネタバレしてるなら余裕よ』
『なら尚更意味がわかりませんね…。逆に不気味です』