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エピローグ
――移植都市アース
異世界においての第一の地球の領土となったその都市が眺められる場所に黒髪の少年と白髪の少女はたどり着いた。
少女は少年の背におぶられている。ここに来るまでに彼と彼女は様々なものを失った。
それでも来るべき価値がここにはあったのだ。
人が生きるには何らかの希望がいる。
少年にとっての希望は少女であり、少女にとっての希望は少年であった。
「さあ、行こうか」
少年は新な一歩を踏み出した。
既に花が散った桜の木の下で黒髪の少女は、眠りについている赤髪の少年を見つけた。
「ずいぶんとすっきりとした顔をしているのね」
彼女はそれから彼の側に突き刺さった二本の杖を見る。
「そう、ならあの子は行ってしまったのね」
そうして彼女はその場を去った。