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カソウバ

携帯で見るには、辛いと思います。

形式的な意味で。

「……ん? おやぁ、目が覚めたようだね、目が覚めてしまったようだね。いやいや驚きだよ、まさか意識を取り戻すとは思わなかった。今までにその瞼を開ける奴なんて何人いただろう、十人? いや百人、いや…………、なんだ、結構いたな。ごめんね、君はただの有象無象の一つだったようだよ。って、おや、体は動かないようだね、動くのは胸から上ぐらいか、いやいやよかった、襲われないのは安心だね。あぁそんな風に怖がらなくても大丈夫だよ、僕は君なんかを襲う気はないよ。暴力的にも性的にも。だって何ら君には魅力を感じないもの。よかったねー、平平凡凡で。え? 選ばれし勇者? 世界でただ一人? あー、はいはいはいはい。君『も』そういうタイプ? 最近減ってきたんだけどねー。昨今ではあれだね、死のゲームに巻き込まれちゃって、っていう人がよく落ちてくるよ。あーあ、最近ちょっとゆっくりやり過ぎちゃったかなー、溜まり過ぎちゃったね。まぁそのおかげで君もぎりぎり意識はあるみたいだけど。溜まったもの? あ、僕の仕事? あーうんうん、そうだよね。えっと、ここはカソウバ。で、僕は職員。おっけー? うん、で、お仕事は死骸処理。もう分かるね? うん、君のクッションになったのは大量の死骸だよ。綺麗なのもあるけれど、なかには腐食し始めてるのもあるね。大丈夫、君の下のはとびっきりのぐじょぐじょの腐乱死体だよ。っていうか骨もかすっかすの状態で脆いのなんのって! っていうかそうでないと、骨がぶッ刺さって血塗れ噴水だよね、運がいいよ! まぁ君も順番が来たら燃やしちゃうんだけどね! は? 意識があるんだから燃やすなって? やだなー、ここに落ちてきた時点で『火葬』は決定済みなんだってば、覆らない決定事項なんだからさー。大人しくしてよ、騒がないでよ、うるっさいなー。だいたい君はさ、捨てられてどうしようもできないただの仮想人物なんだから、もう『生きて』ないんだよ。君の設定は『死んだ』の! 覚えがない? じゃあ語ってあげるよ! この間、落ちてきた人なんだけどさ、竜が蹂躙し魔物が跋扈する世界に呼ばれた、何の力ももたないけれど選ばれし勇者だったんだよ! そしてその勇者は、勇者になる時に与えられたチート能力でばっさばっさ敵を倒して、ハーレムを作っちゃうんだ! でもね、意外や意外、ハーレムを作りながらも一途な勇者は…………、どうしたんだい? 随分と不愉快そうな表情じゃないか! 言っておくけれど、僕は君の過去なんて全然、これっぽっちも、微塵も知らないさ! それでも似ていると感じたならば、どこかで聞いたことがあると思うならばそれはありふれた設定だからさ! 言ったろう? 君は平々凡々だって。君には気持ち悪いぐらいの一色の青しか見えないだろうけど、その下は綺麗な顔した色とりどりの死骸共が転がり積もってるんだよ。生きていればイケメンってやつだったんだろうね。うん、周りの顔面偏差値高くて君もただの一粒にすぎないよ。よかったね、よくない? どうでもいいよ、そんなの。……るっせーな、わめくなよ、耳がどうにかなっちまいそうだ。魑魅魍魎の一つでしかないくせに。妄想での活躍はいかがでしたか、おにーさん? いやいや、もう無理だよ思い出したでしょ? 君は、ただの妄想の産物。都合のいい慰めの物語。完全にして完璧な英雄。でもね、ただのトレースにしてパクリ、それも表面上だけの存在である君は、もう忘れられちゃったんだよ、綺麗さっぱりと。薄っぺらい設定、薄っぺらい願望、薄っぺらい内面……。つまらなくて忘れられて二度と思い出してもらえない「可愛そうな」キャラクターになりそこねた妄想はみんなここに落ちてくるんだ。あ、僕は人物担当ね。ここに落ちてきて、生き返る? 無理だよ。四肢が千切れて、あばらから下が腐敗してるって言うのにさ。ずいぶんと乱暴に扱われていたみたいだね。どうもこうもそのお話は黒歴史みたいだったね、記憶を無理やり端に追いやって、記録媒体は全て排除、この段階でだいたいぼろっぼろになっちゃうんだよねぇ。まぁこれも大体同じ。あ、たまに五体満足に綺麗なのも落ちてくるけど、それはあっさりと忘れられてしまった海馬の片隅にすら辿り着けない、妄想にすぎない慰め語りの一員にすら劣るただの思い付きという名のパクリにすぎないからね。その分、君はいいよね。それだけぼろぼろっていうのはまだ使われていたっていう証拠じゃないか! しかも体がそれだけぐずぐずでみじめったらしくて臭いんだもん、厨二病の初めての作品だったんだね! あぁもう飽きてきちゃった。いいや、君から燃やしてしまおう。今もどさどさと落ちてきてるし、誰かと喋るの楽しいんだけどねー。あぁ、くそ、重たい、そうだよ、人間って頭一つで西瓜一つ分だっけ? 重い、重いなぁ。あぁ、ごめんごめん、誇り高き古代民族のひそかな生き残りだっけ? 正確には人間じゃないんだっけ? この角、掴むのに便利だね。あ、めんどくさいから首んとこから切っちゃうね。 ん、血液だばー。あ、ほ ほら見てよ、  君とそっくりな顔、君 そっくり 服装、君   くり 角、君よ  りも使い    キャラク  、 より 薄い      、でも、ね、大丈 、全 忘れ  て、全部、燃や   だけ、    ね。

他の長編書きすすめていなくて、ごめんなさい。

カソウバ送りにはしないつもりです。

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