★5.陽太の声
「じゃあな!」
「うん。今日楽しかったよ」
楽しかった夏祭りも終わり、陽太はあたしを家まで送ってくれた。
「陽太、また遊びたい!」
陽太はニコッと笑って、
「プールはどう?」
「うん!行きたい」
「明後日の九時に○△□プールの前でな!」
「うん!」
陽太に手をふり、ドアを開け中に入る。
プ、プ、プールだぁ〜。どうしよう。どうしよう。かわいい水着なんてないよ〜。
あ、買えばいいのか。絵里に電話してみよっと。
『も〜しも〜し』
『あ、…沙知…』
『元気ないじゃん』
『そんなことないよ。でなに?』
『明後日…。陽太とプールいくんだ。明日、一緒に水着買いに行ってもらいたいんだけど』
『あ、ごめん…。むり…』
『そう』
『お母さんの調子、どうだ?』
え?…陽太?今陽太の声がした。あたしが聞き間違えるわけない。
『ごめん。沙知。またかけなおす』
『いいよ。忙しいんでしょ。あたしが切るから。はやくいきな』
『ありがと』
ゴトッ
多分、絵里の携帯は床に落ちた。あたしは気になって、ずっときらないでいた。
絵里から電話はこなかった。
「それ、簗木と一緒にいたんだよ」
次の日、結局春花をさそって、デパートまで来ている。
「うん。多分、そう。どうして春花は一緒にいると思った?」
「だって、前にー…あの二人つきあってたし」
陽太と絵里が…?でもあたしと会う前で、あたしには関係ないじゃん。
いや関係あるか。
彼女だし。でも絵里が相手だとなぁ〜。絵里かわいいし。きっと絵里にも
「かわいい」
って言ってたんだ…。
「沙知。あんた、あんまり一人で考えんな。あたしが聞いてやるからさ」
「ありがと」
「これよくない?沙知似合いそう」
「いいねぇ!」
ねぇ。あたしがあの事を我慢していたら、君は今もあたしのとなりで笑っててくれたかな。
最終回まで後、一話です!最後まで頑張りたいと思います。