★4.カワイイ
――夏祭り当日
あたしはドキドキしまくりでやばいくらい。
さっき、陽太からメールが来て、『六時半に沙知の家に行くから』という内容だった。
あたしは30分前にすでに準備は出来ていた。
楽しみで楽しみで仕方なくって。水色のあれはお母さんに着付けてもらった。今は六時十五分で後、十五分もある。待ちきれなくて、陽太に電話してみた。
プルルルル、ガチャ
『もしもーし。沙知?』
「も…もしもひぃ」
緊張しすぎでうまく喋れない。なんてったってこれが陽太との初めての電話だもん。
「あのぉ…」
『なんだよ』
「み、見せたいものがあるから早く、いますぐ家に来てよ!」
『わかったよ』
ブチッ
い…い、言ったぁー。言えた。言えたよ神様ぁー。
きっと陽太は喜んでくれるよ。1番楽しみにしてたもんね。
ピンポーン。
陽太かも!そう思ったあたしは、急いでドアを開けた。
「沙知…。なんだよいきなり///」
「陽太だぁ」
そう。あたしが見せたかったもの、絵里と春花と買いに行ったものは同じ。
水色の浴衣だったの。陽太は耳まで真っ赤にしてた。
「カワイイ?」
そんな陽太が可愛くていじわるしてみたのに、陽太は真面目にかえしてくれた。
「か…わいい」
「ありが…と」
なんかちょっと照れるなぁ。
「行こうか…。混むとはぐれそうだしね」
と陽太はフッと笑う。
「どういう意味ですかー?」
でもやっぱり陽太はいつもと変わんなかった。
それでも夏祭りはなんかちょっと特別で、幸せだった。そう夏祭りまでは幸せだったの。