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第12話 はいはい三人旅、はいはい距離感

 三人で歩く街道は、思った以上に騒がしかった。


「……ねえ、ハイト」


 左から声。


 「さっきの魔物、あの位置取りは不用意すぎ」

 「次からは私の後ろにいなさい」


 セラが言った。


「いや、でも――」


「でもじゃない」


「あなたは戦えないんだから、守られる側の自覚を持って」


 言い方はきついが、距離が近い。やたら近い。

 右を見ると、リルが苦笑している。


「ねえハイト」

「なに」

「もう護衛というより囲われてない?」

「……言うな」


 セラは俺の反応など気にせず、地図を広げる。

 

「この先で街道が分岐する。王都の方向に向かうなら北東」

「詳しいな」

「監視役だから当然でしょ」


 そう言いながら、俺の腕を引く。


「ちょ、近い」

「迷子になられたら困るもの」


 理屈は通っているが、行動が伴っていない。


 しばらく歩くと、小さな野営地跡が見えてきた。焚き火の跡。壊れた荷車。


「……最近のものだね」


 リルがしゃがみ込む。


「魔物じゃない」


 セラが即断する。


「人か?」

「盗賊?」

「多分」


 そう言った瞬間、視線が一斉に集まった。

 俺に。

「……なんで見る」

「一応、切り札」

「いや、俺そんなのじゃないから」


 セラは剣に手をかけ、前へと出る。


「下がって、私が前に出る」

「いやでも――」

「命令」


 有無を言わせない声だった。

 茂みが揺れ、数人の男たちが現れる。装備は粗いが、数は多い。


「ちっ、ガキかよ」

「さっさと金置いていきな」


 俺が口を開く前に、セラが一歩踏み出した。


「道を空けなさい。今なら見逃すわ」


 盗賊たちは笑った。

――数秒後。笑っていたのは、最初だけだった。

 セラの剣は速く、正確で、容赦がない。リルの援護も的確で、戦闘はあっという間に終わった。

 俺は何をしてたって?盾を構えて立ってただけだ。


「怪我は?」


 セラが真っ先に俺を見る。


「無傷」

「よかった」


 素で言った。

 一瞬、空気が止まる。


「ち、違うから!あなたが傷ついたら悲しいだけ!」


 顔が少し赤い。完全にデレ期に入っている。

 リルがセラに聞いた。


「ねえセラ」

「なに」

「ハイトのこと好きなの?」

「そうよ、悪い?」


 即答だった。

 野営の準備をしながら、セラは自然に俺の隣を陣取る。


「夜は私が見張る。あなたは寝て」

「いや、交代で――」

「だめよ。あなたは切り札なんだから」

「便利な言葉だなそれ」


 焚き火を見つめながら、ふと思う。


「……こんな旅も悪くないかもな」


 ぽつりと呟くと、セラが少しだけ、嬉しそうに笑った。


「でしょ?」


 三人旅は、まだ始まったばかりだ。距離感はおかしいし、勘違いも増えていく。

 でもこの旅、思ったより賑やかになりそうだった。

 テンプレ異世界転生。今度はちゃんと、仲間と一緒に進んでいくらしい。


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