ヤクザとイケメンくん
「遅刻するぅー!!!!!〓」
いつもより早く起きたと思ってたら、
今日は月曜日、集会の日。
いつもより30分も早く学校に行かないといけない。
銀ちゃんは部活で先に行っちゃうし……
いつもの通学路には自分と同じ制服を着ている人は
一人もいない。
隣の星条学園の制服に囲まれて、人混みの流れとは逆の方向に歩く。
絶対間に合わないよぉ…
侑実と優斗くんにお邪魔しちゃえばよかった……泣
親友の野澤侑実は彼氏の畑中優斗くんと二人で登校。
おいでよって誘われたけど………
申し訳なくて断っちゃった。
……こんな事なら断らなきゃよかった(´д`;)
何度もそんな事を思って、人混みの中を歩いて行った。
バタンっ
……痛い。
男の人とぶつかった。
……怖い((゜Д゜ll))
その男の人はいかにも、
THE・ヤクザ!!!
って感じで、あたしを睨みつけてる。
「ごめんっ…なさい…」
謝ってみたけど、その男の人はあたしの肩を掴んだ。
「おい姉ちゃん。痛いなぁお詫びに付き合えや」
漫画の世界だ…(*´д`)
とか思ってる場合ではなく!!!
「いや…っ」
誰か助けてーーー!!!!
とか言えるわけなくて
心で叫んでみるしかない。
もうあたしダメだぁ…
ガシっ
「?!?!?!」
「行くよ」
誰かに手を掴まれて、
よろめきながら走った。
「はぁっ、はぁっ…」
あたしはいつの間にか学校の校門にいた。
「大丈夫?」
声のした方をみると、
あたしと同じ制服の男の子がいた。
「はい……
あの…あなたは?」
その男の子は蜂蜜色の髪をかきながら言った。
「石口奏多。一年C組」
瞳は、少し青みがかった黒だった。
すごく綺麗な男の子だった。
こんな子いたっけ?
イケメン好きの侑実が噂するはずなのに……
そんな呑気な事を思っていたら、チャイムが鳴った。
集会終わりのチャイムだ。
行かなきゃ!
「ありがとうございました! あたしは橋本真祐、一年 A組です!!!
本当にありがとうございました!!!」
それだけ叫んで、
あたしは教室へと走った。
本当よかった…。
これからあんな目にあわないようにしなきゃ!
あたしは
これから起きる出来事に気づけなかった。
すぐ近くにあったのに…