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配信キャンセル界隈のワイ、ダンジョン探索でストレス解消してただけで最強に  作者: 御手々ぽんた


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第76話 おしゃべり

「うわ、ぺっぺっ。せっかちだなー。おじさん、モテないでしょー。これから僕が人間かどうかとか、何で配信してるのかとか、楽しい楽しい説明タイムだったんだよー」


 俺の叩きつけをかわしたタッちゃんが、唾を飛ばしながら告げる。言ってることはふざけているが、その実力はやはり本物のようだ。

 ただ、その飛沫が少しこちらまで飛んできて、俺は思わず飛び下がってしまう。


「うわ、汚な──」

「ひどー。美少女に向かって、それはないわー」

「──どうせ、中身は人間じゃないんだろ」


 俺はタッちゃんの唾が落下した地面から紫色の煙が上がっているのを指さして告げる。

 たぶん酸か毒のたぐいだ。


「ピンポーンピンポーン。なになに、察しは良いタイプのモテない系おじさんなの?」

「思水さんは、モテますからっ!」


 ツクヨカニの方から、橘さんのそんな大声がする。


「あちゃー」

「へー。視聴者のみなさーん。こちらのモテない系撲殺おじさんは、名前が思水らしいですよー」


 周囲を飛び回る配信ドローンに向かって、嬉々として告げるタッちゃん。ヘラヘラと、とても楽しそうだ。


 その顔面に向かって、全力の錆丸の横薙ぎを放つ。それをタッちゃんは、腰を人ではあり得ないほどの角度に後ろに曲げて避けた。


「うわ、あっぶなーい。この肉、気に入ってるんだからねー。撲殺おじさんの同族は、みんな、この肉を可愛い可愛いって、大好評なんだよー。お陰で情報汚染、し放題なんだからー」

「ずいぶんとまあ、おしゃべりみたいだな。人間の真似をして染まったのかね。しかし、良いのか、その撮影ドローンで配信されているんだろ?」

「まあ、この肉も、ここで撲殺おじさん達を殺したら、ほとんど用済みだしー。せいぜい僕らの時代が来るのを最後に目の当たりにさせて、撲殺おじさんの同族たちを絶望させるだけかなー」

「ああ、そうかいっ」


 先ほどから俺の渾身の打撃を、ことごとくかわされてしまう。

 しかし避けるということは、当たればそれなりに効果があるということだろう。


「あ、そのダサい仮面、ずれてるよー」


 そのタッちゃんの声とともに、撮影ドローンが高速で回り込んでくる。俺はとっさに錆丸を振るうのをやめて、片手で仮面を押さえてしまう。


 たしかに、仮面が少しずれていた。

 錆丸を、渾身の力で振り回していると少しずつ、ずれてきてしまうようだ。


「プププ。慌てすぎー。やっぱりめっちゃビビりじゃん。あ、ちょっと顔、撮れたんじゃなーい?」


 へらへらと笑いながらそんなことを言ってくるタッちゃん。


 その間にも、攻撃をかわされ続けてしまう。


 ぶっちゃけ、やや手詰まり気味だった。

 どうもこの仮面をしていると、俺は無意識のうちに全力を出せないでいるようだった。認めるのはしゃくだが、やはり仮面がとれてしまうのを心のどこかで気にしてしまっている。

 攻撃を当てられていないのは、そのせいでもあった。


 ──これは、どうするかちゃんと考えないとな。相手はたぶん、寄生タイプのモンスターだとは思うけど。動き的に、神経に寄生して操作するんじゃなくて、肉体の中身半分近く占有するタイプとみた。だとすると向こうの攻撃で考えられるのは、体のどこからか本体の何かが飛び出してくる可能性、かな。


 実際、これまで向こうから攻撃らしい攻撃は唾の飛沫ぐらいだったが、それだけではないはずだ。


 ──たぶん、逆にその向こうからの攻撃のタイミングが、撲殺するチャンス。問題は周囲の撮影ドローンだ。いっそ先にそっちを潰すか? いや、それこそ、そこを狙って攻撃を向こうが仕掛けてくる?


 俺がいかに打撃を当てるか、つらつらと考察しているときだった。どこかで聞いたことのある女性の声が、広場に響く。


「おじさまーっ! どこですか、おじさまーっ! カトリーナのマイスイートダーリンさまー」


 その聞き覚えのある声に、思わずゾクッとした悪寒が俺の背中を駆け巡るのだった。


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