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第2話 魔石を砕いてリフレッシュ

「やっぱ、撲殺さいこー」


 アドレナリンがドバドバ出ているのがわかる。

 下層に持ち込んだ角材はすぐに折れたので、いまは鬼っぽいモンスターのドロップアイテムの棍棒を使っていた。


 素手でもモンスターは倒せるのだが、なぜかあまり気持ち良くない。

 幸い、ここ下層には棒状のドロップアイテムを落とすモンスターが数種類いるので、いつも角材が壊れる前にそれらのモンスターを優先的に狙って襲っていた。


 モンスターは倒すと、時たま魔石かドロップアイテムを落として消えてしまう。

 つまり、いくら返り血を浴びても、倒しさえすれば消えて、服も使った鈍器も綺麗になる。


「地上じゃ、こんなこと出来ないしな。それに汚れないし、本当に最高だ」


 仕事で貯まったストレスがだいぶ消えているのがわかる。

 本業がミスの許されない細かな業務の続く仕事なので、休日はこうして思いっきり体を動かすのが楽しくて仕方ない。


「やっぱり、どう考えても配信なんて、余計だよな」


 そもそもが配信をしようものなら、荷物が多くなる。俺はまずそれが嫌だった。

 俺は基本的に背後からこっそりモンスターに忍び寄り、急所へ渾身の一撃を叩き込んだあとに、フルボッコにするのが好きなのだ。


 音で居場所がばれるような撮影ドローンのローター音も、がらがらうるさい配信機材のキャリーケースも、ごめんこうむる。


「もう、こんな時間か。さっさと砕いて外に出るか」


 俺は集めた魔石を地面に並べると、棍棒で砕いていく。

 すると、心地よく疲れた体の疲労が、抜けていく。逆に活力が沸いてくる気さえする。


「ふぅー」


 仕事終わりの一杯にも勝るこの瞬間も、なかなか良い。僅かに残っていた仕事のストレスも、すっかり消えていた。


 魔石は政府が買い取ってくれるのだが、なんとそれにはモンスターを倒す場面の動画記録が必須なのだ。


 なんたる悪法。


 配信者様たちからは、配信しているだけで、いちいち書類申請がいらないと好評らしいが、配信キャンセル界隈の俺としたら、換金手段をゼロにする悪法だった。


 ちなみに魔石の換金には裏ルートもあるらしいが、もちろん、違法だ。社会人としてはそんなことは当然しない。


 なので俺は換金するかわりに、こうして魔石を砕くわけ。まあ、砕くと元気になるしこれもストレス解消になるので、良しとしている。


「あ……折れた。ま、いいか。帰るだけだし。素手で」


 魔石は基本的にモンスターより固いので、砕くのに使っていると、鈍器がよく壊れる。

 そのため、こうして棍棒が壊れても良いように、俺は帰る直前にまとめて魔石を砕くようにしていたのだ。

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