第0話 「知らない人から貰った物を食べてはいけない」
俺の名前は藤田哲也。
友達は居ない、彼女どころかクラスの女子と
目を合わすことすらできない。
そんなクソ陰キャの俺の日常はとてもつまらない。
「おにぃさん、、、これ、、、」
まだ暑さの残る朝。憂鬱ながらも学校へと
向かっていた俺の前に、いかにも怪しげな老婆が
現れた。その手には紫の包み紙の飴玉。こんなものを
差し出してくるなんて、中にはきっと、よくない
物が入って、
「あぁ、どうも、、」
(クソ!俺のバカ!!夏休みおわったらコミュ症
直すって決めたはずなのに)
哲也の手の中には飴玉が一つ。家に帰る訳にも
投げ捨てる訳にもいかず、ポケットの中に飴玉を
入れて、学校へと向かった。
教室の扉を開けると、クラスメイトのうるさい
話し声が聞こえる。
「それでさーウチ飴玉貰ったんよね!可愛くない?」
「人から貰った物食べちゃダメでしょー?杏奈〜」
「平気だってー笑」
(あの飴玉、、俺が今朝貰ったやつだ、東雲さんも
貰ってたんだ、、食べるのかな)
「うまぁぁあ!やばい!これちょー美味い!」
(え、食べた、、知らない人から貰った飴なのに)
「朝のホームルーム始めまーす」
うるさかった教室が一気に静かになって
ホームルームが始まった。
♪キーンコーンカーンコーン
4時間目の終わりのチャイムが鳴る。
哲也は弁当を取り出そうとバックのチャックを
開けた。
(あれ?無い?弁当が無い!)
バックの中身を全て取り出してみても
弁当を見つけることは出来なかった。
(お腹空いちゃったな、、あの飴玉、、
食べちゃおうかな?)
哲也はポケットから飴を取り出して口に入れた
(美味しい、、お腹は満たされないけど)
夜、学校の課題を終わらせて哲也はベッドに
入った。
「俺の青春。クソ陰キャのまま終わらせていいの
かな、、、」
(そうは思っても、コミュ症だし、目立ちたく無いし、、こんな生活が俺には似合ってる。)
そう信じ込んで哲也は目を閉じた
(なんか、頭痛い、、耳鳴りする、、あの飴に変な物入ってたか?、、知らない人から貰った物を食べてはいけない、、な、、)