面白い子を見つけた
「ねぇ、君大丈夫かい?」
血だらけになりながら男の子は振り返った。こんな血だからで汚い格好をしているから浮浪児かな?
手に面白いナイフを持っていた。ナイフを注視する。
「へぇ、君面白い物を持っているね僕の弟子にしてあげよう」
男の子は首を傾げて意味がわからない様な顔をした。
「だから、大賢者たる僕の弟子してあげようといったんだよ光栄だろ?」
彼は困惑した様に悲しそうに言った。
「でも、僕は魔法を使えません」
ん?こんな才能の塊なのにこの子は何を言ってるんだ?
まあ、いいとりあえず面白そうだからこの子をいじってみたい。
「ちょっと血だらけで汚いからそこに立ちなさい」
杖を出し滝のように水を頭から大量にぶちまけてやった。
水でむせているが次に熱風で体を浮かしてぐるぐる回転させてやった。
「うむ、多少綺麗になったな」
なんか、突っ伏してるけど情け無い子だな。僕が頑張って育ててやるしかないな。
「君親は?」
悲しそうにわからないと言う。うーむ、捨てられたのかな?まあでも弟子にするならそのほうが好都合だな。
「じゃあ、そこで少し待ちなさい。」
杖をかざし土魔法と木魔法を行使して平家の即席の家を作る。
家に入るが中々彼が入ってこない。
ドアから再度覗くとボーっとしていた。
「なにをしている早く入りなさい」
なんだか本当にとろそうな子だなこの子は。
机と椅子も作っていたから座りなさいと言う。
行儀は良さそうだし、ぼろぼろの服を着ているが服自体は貴族のものの様だな。
少し考えていると居心地悪そうにこう言った。
「僕は魔法が使えません。だから多分弟子にはなれないと思います」
「君は何を言っているだい?魔法は使えているじゃないか」
「でも、魔法の先生から魔力排出する器官が壊れていると聞きましたし、実際魔法を飛ばせません」
「なんだ、そんな事か馬鹿らしい」
彼の頭に手を置き確認してみる
「ナイフを出してみなさい」
ナイフにも触れて見る
「ふむ、やはり間違い無くナイフは君の魔力で作成されているし、君は体を強化する魔法も使えるそれにね魔法を飛ばす事は別に重要じゃないんだよ」
簡単にナイフの話を掘り下げてあげる。
理解して嬉しそうな顔をしている。単純で可愛い子だな。
「それにこのナイフはもうほとんどが元の部分が無くなっていて君の魔力で構成されているんだ。だからこれはナイフであって更に君に対しては魔法伝導体として杖でもあるんだよ」
どうやら多少魔法の勉強をしていた様だから理解しているらしい頭の回転は悪くはなさそうだな。
「さっき確認したら無意識かもしれないが雷魔法を自身に行使して身体強化魔法も使えていた様だしね、君はゴブリンが二倍とか三倍の速度で動いたら怖くは無いのかい?」
それは怖いですと言う。
「そうだろう、魔法を飛ばすなんて実はどうでもいい事なんだよ」
ーーーーー
美しい黒髪を腰まで流しているこの女性は言った。
「だから、大賢者たる僕の弟子してあげようといったんだよ光栄だろ?」
大賢者!?オークの首を吹き飛ばしたのもこの人なのか!?
でも俺は魔法排出器官が壊れている欠陥品と先生に教えられた。
だからその伝えたのに何を馬鹿らしいと鼻で笑われた。
急に頭から馬鹿みたいな量の滝みたいな水を落とされて息も出来ずに溺れかけた後に火傷しそうな熱い風でぐるぐると空中で回転させられて1分程で二回も死にそうになった。
今日だけで3回も死にそうになってるんだけどなんて日なんだろう。
「うむ、多少綺麗になったな」
あんな汚い体で何をしていたんだい?とぶつぶつ言っている。
賢者様、貴方様が首をふっ飛ばしたオークの血で僕は汚れていただけなんです。
ちゃんと服は洗っているし毎日体も綺麗にしています。
親はどうしているのか聞かれた。
父と母はどうしているんだろうか・・・。妹も離れ離れになってしまった。
泣きそうになっていると少しまてといいう。
少しひらけた地に杖を向けてぶつぶつ言いながら魔法を行使している。
いきなり地面から生えてくる様に家が建った!?なんなんだこの人は!?賢者様だからなんでもありなのか!?
呆然としているとまたぶつぶつ言いながら突っ立ってないで早く入れと言う。
賢者様こんな事が起こったら多分普通は僕みたいになると思うんです。
凄い。家の中も家具まである。座れと言われたので椅子に座るとジーっと美しい黒い瞳で頭の中まで見透かした様に覗かれる。
居心地悪いので賢者様に再度魔法は使えませんと言うと魔法は使えてるじゃないかと言われた。魔法排出器官なんてどうでもいいとまで。
でも先生からはこんな物は魔法ではないと言われたので首を傾げていると。
ナイフの説明を丁寧にしてくれた。
要は、ナイフの中身のほとんどが自身の魔力とすり替わっているという事らしい。
話が長かったので省略するがそこらにある物質を集めて魔法として成立させているのがこの家の様なものだと言う。
このナイフは僕が無意識に元の物質に似せ創造した物質で捏ねくり回されて構成されている。
要はそこら辺にある物を利用する訳ではなく、創成している為より魔法と言う概念に近いと言う内容だった。
また、ボアと戦った時に気がついた身体能力は自身の身体を無理矢理雷魔法で動かしているとの事だった。
だから無理矢理動かした筋肉などが悲鳴をあげて後遺症が出ていたなど詳しく説明してくれた。
だから、魔法なんていうのは魔法を飛ばす飛ばさないなんてどうでもいい事だと教えてくれた。
「では、僕は賢者様の弟子になれるのでしょうか?」
「当たり前だろう、僕は最初から言ってるじゃないかそんな天才的な才能があるのに無駄にするなんて勿体ないと思わないのかい?まぁ僕ほどじゃないけどね!どうだい弟子になるかい?」
と子供相手にマウントを取ってくる大賢者様がいた。
話も長くなり日も落ちかけた頃に僕は言った。
「では師匠、今日より弟子としてよろしくお願いします」
師匠は無から色々寝具やら、食器やら出し続け家を完璧にしてあまり美味しくない師匠のご飯を食べてながら今までの僕の身の上話を聞いてくれた。
眠くなって来た頃にベッドに横になり師匠は来いと言うので近くに行くと急に引き寄せ抱かれ寝るよと言った。
師匠の大きな胸に包まれて今まで頑張って来たんだねよしよしと頭を撫でられた時に今までずっと我慢して来た事を思い出して泣きそのまま泣きつかれて寝てしまった。