「mysterious room」
なんでイケメンがオタクやってんだよ。もっとこう、何かあれだ。テニス部辺りで活躍してこいよ。オタクなんて俺みたいな冴えないやつだけで充分なんだよ。こんな場所に女子生徒とか寄らんだろ。
「…あっ」
自分の置かれている状況に見て、完全に理解した。そうだ。俺は今「見た目だけは女子生徒」だった。だから助けてもらった。寧ろ男だったら拒否されてたかもしれない。
「やぁ、我が妹よ。どうしたんだい?そんなに息を荒げて…。あの悪い人たちに追われていたのか?…任せろ。絶対にお兄ちゃんがなんとかしてやるからな」
うわ、うわぁぁぁ…こいつガチのやべーやつだ!役にはまりこんで居るだけかもしれないが、常識から逸脱しまくっている!やっぱオタクってろくな奴居ねぇ!…まぁ、俺も例外じゃないけどさ。
「え?いや、あの…」
思わずしどろもどろになる。駄目だ、俺会話が下手くそすぎる。
「怯えなくていいさ」
そいつは俺の元まで来た。と思ったら…。
「ッ!?」
はあああああぁぁぁ!?急に抱きつかれたんだけど!こいつ同性愛者か!?いや否定はしないけど!…あっ、見た目は女子生徒だったわ。ちょくちょく忘れるなぁ俺。てかこいつあれか?学園ものの主人公になりたいってタイプのやつか?…そういやこの人先輩だったわ。奇怪な言動のせいですっかり忘れてた…。
「待て!そこまでだ!怪人〔ナンパ男〕!」
ネーミングセンス終わってんの笑えないんだが!?てか誰だよ!…胸の花、あれは入学生…?
(あんなやつと同じ学年なのかよ…)呆れながらも一応助けを呼ぶ。
「助けてー、稀代のスーパーヒーロー(棒)」
「とうっ!!!」
凄まじい着地音が室内に響く。てかなんでここ二階建てなの?
「俺の名は、通りすがりのスーパーヒーロー、面堂被!お前の好きなようにはさせない!」
こいつ名前からして戦隊モノ好きだろ!…いや、言動からも普通に読み取れたわ。
「俺様のマイハニーを奪うだと?冗談じゃない。全力で叩き潰してやる」
マジでなんなんだこいつらは。先輩も世界に入るなよ。俺もオタクの端くれだから気持ちは分かるが。あとアンタの彼女になった覚えはない!さっき会ったばかりだろ!
「…おい、お前ら。拳を引っ込めろ。姫様の前で御無礼を働くな」
(今度は執事キャラ…?もうここオタサーじゃなくてコスサーにした方が良いと思うんだが。)
そう思いながらも、俺は声のする方向を向いた。声の主は…。
「…え?」
果たして声の主は誰なのか!?次回、城之内死s(°ε°((⊂(`ω´∩)