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滅亡興隆 [3]変動 (2017g)

作者: 長矢 定

 火星の大地をちょっと掘ってみたら、珍しい化石がザックザク!

 そんなことになったら、火星への関心も高まるでしょうね。きっと……


 火星の地形には、かつて水があったであろうとされる場所があるようです。海があり、川があったとすると、濃い大気があり、雲ができ、雨が降ったのでしょうか? そこには様々な生物がうごめいていたのでしょう……

 そうなると、かつてあった豊富な水や濃い大気はどこへいったのでしょうか? 火星に何があったのでしょう???

 そんなことをあれこれ考えながら書いた物語です。

 火星有人探査の実現は、なかなか難しいようですが、スコップを持って行ってちょっと掘ってみたいですね。


●登場人物

■アスパル♂ 科学者。第三惑星移住計画の主査

◇ルファム♀ アスパルの若い伴侶。二番目の妻

■ティーク♂ アスパルの息子

□ゼイン♂ 元老院・長老。一族が存続する道を模索

□グガプ♂ 宇宙飛行士。第三惑星遠征隊リーダー

□キスト♂ 遠征隊(医療・健康管理)

□ロップ♂ 遠征隊(土木・基地設営)

□ゴーザ♂ 第二次遠征隊

□レイト♂ 第二次遠征隊

□ミクス♂ 第三惑星探査主任


    プロローグ


 青い海、白い雲、緑の大地……

 周回軌道から眺める第三惑星は魅力に溢れていた。湧き上がる希望に心が躍る。

 母星より大きな星だが、自転周期はほとんど同じ。一年は短くなるが、日々の暮らしの習慣を変える必要はないだろう。それよりも問題は三倍の重力だ。移住には、大きな重力を克服しなくてはならない。

 管制センターの中央に陣取る第三惑星探査主任のミクス♂は、一つ内側の惑星に到達した周回衛星から送られてくる状況情報を確認し、緊張を高めた。降下機からの信号が受信できる位置に来たが、まだ捉えていない。

 遅い……。また、降下に失敗したのか?

 三倍の重力と厚く渦巻く大気。母星とは異なる第三惑星の厳しい環境に、これまでの試みは成果をあげていなかった。第三惑星の地表や地中の詳細情報は、未だに得られていない。しかし、今回投入した新型機は、様々な対策が施されている。自信を持って送り込んだ降下探査機だった。それなのに……

 管制センターが響めいた。

 降下機からの信号を受信し、地表の様子が伝わってきた。

 解像度が粗く断続的な情報だが、平坦な草原が広がっているのがわかる。降下機は障害物を避け安定した場所に軟着陸していた。成功だ。ミクスは全身の力が抜け、ほっと息を吐いた。

 降下機からは多くの情報が送られている。分析・評価には時間がかかるだろうが、大きな成果だ。

 再び響めく。

 何か動くものがいる。不鮮明だが、断続情報の中にうごめくものがあるのは確かだ。初めて接する異星生命。ミクスも興奮した。

 突然、情報が途切れ、管制センターが騒がしくなる。降下機からの信号が消失した。しかし、まだ受信範囲のはず、おかしい。トラブルか?

 降下機との通信が回復することなく、周回衛星が通信範囲を外れてしまった。第三惑星をぐるりと回り、再び通信範囲に戻るまで降下機の状況を確認できない。その歯痒さにミクスは顔を顰める。

 だが、それを待つことなく、衝撃の事実を知ることになった。

 降下機からの最後の情報を解析すると、何か大きな影が捉えられており、その直後に複数の観測装置が不調を来たし信号が途絶えていた。

 間違いない、巨大な土着生物に破壊されたのだ。




    一


 激しい揺れに目が覚める。

 アスパル♂は身を縮め、揺れが収まるのを待った。大きな揺れだが、頑丈な造りの地中の家なら大丈夫だろう、と平静を保つ。おそらく地表では、また大きな被害になるはずだ。先行きが不安なことに変わりはない。

 隣で眠っていた若い二番目の妻ルファム♀は、不安げな顔の後ろから伸びる腕を盛んに振って周囲を警戒していた。まだ幼い息子のティーク♂を気遣っている。もっともその息子は度胸がよく、ぐっすり眠っていた。生まれた時には頻繁に起こるようになっていた地震には、慣れっこになっているのだろう。心地よい揺り籠と勘違いしているのかもしれない。

 しばらく続いた揺れが収まった。

「大きかったわね。今年になって一番かもしれないわ」とルファムが呟く。

 アスパルは唸り声で返事をし、そのずんぐりとした体を振るわせて寝床を擦り抜けた。短い四本の足で立ち、若い妻に顔を向ける。

「向こうの部屋を見てくるよ」

 起床の時間には早いが、もう一度眠る気分ではなかった。

「地震情報を確認して、被害が心配だわ」

「ああ、わかった」

 アスパルは小さく頷き、息子の寝顔を確かめてから寝室を抜け出た。


 アスパルは、元老院・長老ゼイン♂の執務室を訪ねた。体格の割に細く長い両腕を振り、親愛と尊敬を表す。

「急に呼び出して申し訳ない。評議に出る前に、最新の情報を確認したかったんだ。悪いが解説をしてくれないか」

 アスパルは恭しく頭を下げた。それも責務の一つだ。

「この異様な環境変動が、第三惑星にも起きているというのは間違いないのか」とゼインが尋ねる。

 アスパルは、第三惑星移住計画の調査研究主査だった。

「はい。最新の観測データの解析をしたところ、惑星のコアからこの星と同様な振動波を発見しました。ただ、規模はずっと小さなものです」

「これから大きくなるのか」

 そう問われ、アスパルは微かに顔を顰めた。

「どうでしょうか。それは観測を継続し長期の調査を行わないとハッキリしません」

 ゼインが唸る。

「あの星でも、ここと同じような環境変動があるなら、移住計画を破棄しないといけない」

 アスパルは、破棄という言葉に体を震わせた。

「それを判断するのは時期尚早です。少なくとも今は、第三惑星の表層に大きな環境変動は観測されていません」

 ゼインはもう一度、唸る。その小さな顔を小刻みに震わせ、何かを求めるようにか細い腕を振り、超音波を捉える手の平を周囲に向けた。

「そもそも、あの星への移住は問題が多すぎる。重力はここの三倍だ。それに耐えて暮らさなくてはならない。それに凶暴で巨大な生物が、うようよしている。危険だ」

「我々の生活圏は地中です。地表の土着生物は手が出ないでしょう」

「それは正しい情報なのか」

「はい。第三惑星では、表層近くの穴蔵に棲む生物がいるだけで、我々のように地中深くに棲む生物は観測されていません」

「星全体を調査したわけではないだろう。どこかに凶暴な地中棲の生物が潜んでいるかもしれない」

 アスパルは顔を顰めた。

「……はい。その可能性はゼロではありません」

「凶暴な生物に環境変動。そんな星に我々が移住しても絶滅するだけだ。意味がない。違うのか?」

 厳しい問い掛けの超音波が、アスパルの触角・触手から進化した手の平に届いた。返す言葉がない。

「そんな危険を冒してまで、あの星に移住しなくてはならないのか」

 アスパルは、退化して光を感じるだけの目を閉じた。暗闇の中で心を落ち着かせ、答えを探す。

「第三惑星には、豊富な水があります。この星の水が消失しつつある状況で、非常に貴重と言えます。それに大気の成分もこの星に近い。我々の生活環境を容易につくることができます。こうした場所は他にはありません」

 そう言ってからアスパルは教科書的な詰まらない回答だと思う。相手は元老院長老だ

、そんなことはとっくに知っている。それでもゼインは思案顔をしていた。

 この星の環境変動は年を追うごとに酷くなっていた。頻繁に地震が起こり、地熱が上昇。大気は不安定で天候不順が続く、海水面の下降は明らかで海の水が消失している。この状況が続くと海が干上がり、大気もなくなり、ここは乾ききった星となるだろう。地表では環境変化に順応できない数多くの生物が絶滅しているが、最終的には全の生物が消え去ることになるだろう。地中深くに棲むアスパルの一族も例外ではない。生まれ故郷を捨て、別の星に移住する。それが生き延びるための唯一の道と考えられていた。

「第三惑星への移住には幾つかの障害がありますが、現状、種族の存続を考える時、他の選択肢はありません。障害の一つひとつには対応策があるはずです。それを探しだし、乗り越えることになります」

 とアスパルは厳しく伝えた。ここで諦めるわけにはいかない。それはゼインもわかっている。両手を小忙しく動かし、長く唸った。

「しかし、第三惑星の環境変動が激しくなったら、あの星にも棲めなくなってしまう……」

 アスパルは小さく頷いた。

「ええ、そうですね。やはり、種族の永住は無理なのでしょう。一時の仮住まいです。これまでの観測データの解析では、第三惑星のコアの異変は規模が小さく進行も遅いと考えられます。ですから、あの星に移住した後も、我々の子孫は安住の地を探し求めることになるでしょう。一つの時間稼ぎです」

 なぜ、幾つもの星でこのようなコアの異変が起きているのか? その原因を掴むことはできていなかった。従って根本対策も見出せない。棲めなくなる前に逃げ出すしか手がないのだ。

 一番酷い状況の星は、一つ外側の公転軌道を回る第五惑星だ。コアの異変が激しく、このまま星が崩壊すると推測されている。一族の故郷である第四惑星は、それに次ぐ環境変動が起きていた。百年、千年後には星の崩壊に至るのではないか、その憶測が恐怖となって広がり、焦りを生んでいる。そうなる前に移住先を探しだし、一族の脱出手段を確立しなくてはならない。それが元老院評議会の、もっとも重要な責務だ。

「流浪の民か……」とゼインが悩ましげな顔で呟く。

「いえ、もっとも棲みやすい場所を求めて移住を繰り返すことが、この広大な宇宙で暮らす秘訣なのかもしれません。地中深くに閉じこもる時代は終わったのです。これも進化への試練なのでしょう」

 アスパルのその話を聞き、長老ゼインはしばらく思案してから頷いた。幾分穏やかな表情になる。

「そうだな、前向きに考えることにしよう」




    二


 アスパル♂は、整えられた環境の地下空間を抜け出て専用の作業服と呼吸器を装着した。既に呼吸器を使わないと地表で活動することができない。それほどこの星の環境は悪化していた。

 地中族は、遠い祖先からの習慣に従い、地表に出る時は夜間を選ぶことが多かった。地表棲の生物との接触を避けるのが一つの理由だったが、この時代においては意味がなくなっていた。

 アスパルは、ビークルに乗り込み地表を駆ける。周囲は既に壊滅的な状況だった。一面の草木は枯れ果て、荒れた大地が露出している。環境変動により数多くの地表棲生物が死滅していた。

 地中族がこの生誕の星で暮らしていけるのは、後、どれくらいなのだろうか?

 アスパルは、ビークルが発する騒音の反射波を左右の手の平で感じ取り、周囲の変わり果てた風景に落胆していた。

 計画を早期に実現しなくては……。アスパルの心に、またしても焦りが広がった。

 原野の先にある巨大な建造物を微かに感じた。

 内側の公転軌道を回る第三惑星へ三名の飛行士を送り込むための宇宙ロケットだ。これを使い重力を振り切り、周回軌道で建造された大型の惑星船に乗り移る。そして二つの惑星の会合時期から導き出した出発の日を待つことになる。ビークルはその打ち上げロケットを目指していた。第三惑星移住計画の責任者として、今日がロケットに接することができる最後の機会だった。この後は、発射に向けて最終調整が進められ、立ち入り規制が敷かれる。

 発射台に近付きビークルを降りたアスパルは、タワー底部の作業員に尋ねた。

「現場主任はどこですか」

 その作業員は、幾分太い腕を上へと向けた。

「最上部の搭乗口です。飛行士が来ていますから」

「飛行士?」

 アスパルは小さな顔を傾げた。何用なのだろう。その疑問に作業員が答えた。

「発射時の緊急避難の手順確認ですよ。先日の予定日に天候が荒れ、今日に延びたんです。ご存じなかったのですか」

「知らなかったなぁ……」

 そうした報告は受けていなかった。ロケット発射の細かい作業については、特に関係がないと報告の対象者から外れている。アスパルの立場では、打ち上げ日さえわかればそれでよかった。

「私も上がっていいかな?」

 その作業員は困惑の顔をした。それを問われても困る。

「いいと思いますよ……」

 逆に、制止する理由もない。

 計画主査は作業員の許可を得て堂々とタワーのエレベーターに乗り込んだ。だが、最上部へと上る間に、不安が募る。今、この瞬間に地震が起きたら……

 エレベーターが最上部に到着した。

 ロケットカプセルの搭乗口へ延びる通路を、そのずんぐりとした体を捩って全力で駆けて来る三名の飛行士の姿を感じ取り、アスパルは肝を冷やした。しかし、その様子を冷静に眺める関係者の姿に気付き、緊急避難の訓練と察した。

 カプセルを抜け出た飛行士は通路を全力疾走し、タワーに取り付けられた緊急避難用ゴンドラに飛び乗る。中にあるリリースレバーを引けばゴンドラは地表へと滑り落ち、飛行士は待避壕へと転がり込む。かなり手荒な避難方法だ。

 訓練はゴンドラの中に入ったところで中断し、リリースレバーを引くことはない。ここで飛行士がケガをしたら大変だ。

 アスパルがこうした訓練に立ち会うことは滅多になかったため、邪魔にならない場所で興味深げに眺め、本番でこの設備が使われることがないよう願った。そんなことになれば、計画の実現が更に遠のいてしまう。

「ご無沙汰しています。主査アスパル……」

 訓練を終え、ゴンドラを出たグガプ♂飛行士が両腕を振ってアスパルに挨拶をした。彼は第三惑星に初めて遠征することになるチームのリーダーだ。アスパルも両腕を振り返し、久しぶりの対面を喜んだ。

「相変わらず、素早い身の熟しですね。調子がよいようで、安心しました」

「はい。準備万端です。いつでも第三惑星に向かえます」

 その返答に、アスパルは笑みを浮かべて頷いた。ゴンドラからは残りの二名も顔を出し、アスパルに挨拶をする。キスト♂飛行士は医療と健康管理の知識を高めた遠征隊員。ロップ飛行士は土木・基地設営に長けた隊員だ。ほどなくこの星から出立することになる三名の飛行士だが、彼らの帰還計画や手段は用意されていなかった。第三惑星に到着したら、そのまま骨を埋める覚悟でこの遠征計画に志願していた。

 無謀ともいえる勇敢さを持つ三名の若い飛行士を前にして、アスパルの心が騒ぎ出す。彼らを危険な地へ送る計画を立案し、遠征隊員選抜試験に関わったのも計画主査のアスパルだった。その大罪を思うと、彼らと接するのが辛くなる。

 三名の飛行士とその取り巻きは、ゴンドラで地表に降りてから待避壕に入る手順を確認するためエレベーターに乗り込んだ。アスパルは最上部に残り、彼らを見送る。

「いよいよ、ですね」

 と現場主任が隣に立ち、声をかけてきた。アスパルが頷く。

「第三惑星は遠くて危険な場所だ。三名の飛行士が無事に長旅を乗り切り、目的の地で存分に活躍してくれることを願うよ。我々一族の運命は、彼らの働きにかかっているからね……」

 現場主任は頷き返し、その言葉を胸に刻んでいた。

「さあ、忙しいところ悪いが、カプセルに案内してくれないか。この計画の主査として確認しておきたいんだ」

「わかりました。ご案内します」

 そう応えると現場主任は向きを変え通路を歩き始めた。アスパルもその後に続き、ロケットの先端に取り付けられたカプセルに向かってずんぐりとした体を進めていった。




    三


 二三〇日の飛行を終え、目的の第三惑星に到達した。周回軌道を回る。

 超音波の形式に変換した各種の観測装置の情報を、三名の飛行士は両手を向け眺めていた。青い海が広がり、白い雲が浮かぶ。これまでに送り込んだ幾つもの観測機が伝えてきた情報と変わりない第三惑星の姿だった。その星を回っているという実感がないのは、退屈な日々を長く過ごしたせいだろう、と遠征隊リーダーのグガプ♂は思った。

 これからが本番だ。無重力に馴染み、弛んだ体と心に気合いを入れないといけない。この後、大型の惑星船を軌道観測機として残し、三名は第三惑星に降下する。もう、この船に戻ることはない。降下したら軌道に戻る術さえない。だからといって怖じ気づき、この船に籠城しても直ぐに食糧が底を突く。水もなくなり、主動力が落ちれば死が訪れる。そのほうが安楽だ、とバカなことを考えることもあるが、遙々この星に来たのは死を受け入れるためではなかった。精鋭の飛行士として選び抜かれたプライドが、気弱になる心を奮い立たせる。

 降下機に乗り移り、大きな重力に捕らわれ厚い大気に突っ込んだ。

 激しい振動と渦巻く炎。機体が異様な音を響かせ軋む。大丈夫なのか……

 強い衝撃!

 減速パラシュートが展開し、機体が大きく揺れた。一番危険とされた大気圏突入を乗り切った。ほっと息を吐き、三名は互いの無事を確認する。

 制動噴射。手荒い軟着陸。成功!

 体が重い。三倍の重力がずんぐりとした体に伸しかかる。息苦しい。直ぐに重力適応促進薬が投与された。

 幸いなことに地中棲の彼らは、大きな重力への適性が高かった。丸みを帯びたずんぐりむっくりの胴体と、遠い祖先が穴を掘り進めることで獲得した骨太の短い足が功を奏した。しかし、下半身に溜まる体液を胴体の高い位置にある大きな脳へ運ぶには、薬の力を借りなくてはならなかった。それでも長い時間をかけて馴染ませれば、三倍の重力にも耐える体になるはずだ。それまでは体に負担がかかる苦しい日々が続くだろう。それも試練だ。

 機体からは特別な音波を流している。第三惑星探査の早い時期に、土着生物が嫌う音波を発見できたことは幸運だった。これにより凶暴な巨大生物に邪魔されることなく、第三惑星での活動を進めることができる。

 三名は軟着陸後も窮屈な降下機に留まり、この星の重力環境に体を馴染ませることになる。


「外に出る……」

 グガプの声が通信設備を介して故郷の星に届くまで時間がかかるが、一族の誰もが固唾を呑んでいるだろう。歴史的な瞬間にグガプも緊張していた。

 グガプは降下機のハッチを抜け出た。着用する気密服の冷却システムが騒音をあげる。暑い。着陸地点は極地に近い陸地だ。しかも今は夜。だが気温は、体が燃えそうなほど暑い。体に掛かる負担は三倍の重力より、蒸し暑い大気のほうが厳しいと思う。

 グガプは気密服に仕込まれた周辺探査装置の情報に注意しながら不格好な動きで降下機を降りた。異星の大地に最初の一歩を踏む。

「これは私にとって小さな一歩だが、一族の存続を賭けた大きな一歩と言えるでしょう。全身全霊でこのミッションに取り組む覚悟を新たにしています」

 それは故郷の一族に対する誓いであった。どうあってもこの計画を成功させる、という決意がグガプの心に漲っていた。その気持ちを落ち着かせるようにグガプは降下機周辺を歩き、異星での身の熟し方を探る。

「思うように体が動かないな。それが三倍の重力のせいなのか、怠惰な生活をしていたためなのか判断に迷うね」

 後に続いたキスト♂がハッチを出たところで言った。

「両方だよ。決まってるだろう」

 ロップ♂の声が届く。彼はまだ狭い降下機の中でウズウズしていた。

「悪いがこいつを外に引っ張り出してくれないか」

 ロップのその要求にキストが応じた。嵩張る形状のショックカノンだ。三倍の重さとなり取り扱いに手間取る。グガプも手伝い地表に下ろす。それに続き二名の隊員も異星の大地に足を着けた。気密服の中で体を伸ばす。

「新世界……。悪くない」とロップが言う。

「気密服越しじゃ、良いも悪いもないだろう」とキストが返した。

「これを脱ぎ捨て、裸になって駆け回りたいですね」

「おいおい、よしてくれ。未知の細菌まみれになったお前を看病するのは願い下げだね」と医療担当のキストが笑う。

 ロップも笑い声を返した。

「裸になる前に、コイツを装着するよ。悪いが手伝ってくれないかな。やたらと重いんだ」

 と地面のショックカノンを指す。嫌いな音波で土着生物を追い払っているが、何かの拍子に出くわすこともあるだろう。この星で間借りをしようとする立場から先住民に手荒な真似はしたくない、しかし身を守ることも考えなくてはならない。そこで採用されたのが衝撃波を発射するショックカノンだった。地表を歩き回る場合は、これを装備することになっていた。

 ロップは他の隊員に手伝ってもらい、衝撃波の発射口を気密服に装着し、それと繋がる本体をキャリーケースのように引きずる格好になった。ショックカノンの本体には大きなタイヤが付いているが、三倍の重力に加え、慣れない暑さ、動きづらい気密服姿でこれを引っ張りながら歩き回るのは重労働だった。

「これでよし。でも、手っ取り早くビークルを探しましょう。これを引っ張り回すのは限界があります」

「大丈夫だ、探知している。ただ、かなりの長距離を行軍することになる」

 とリーダーのグガプが言う。遠征隊が使用する装備品は、何機かの貨物用降下機で事前に周辺へ降ろしていた。地表に立ち、まず最初に取り組む大仕事は、散乱する装備品を回収しベースキャンプを設営することだった。

 グガプは探知装置の情報から一つの貨物用降下機が発する信号を確認した。

「向こうだ。行こう」

 グガプが先導、ロップが続き、キストがショックカノン本体を押すフォーメーションをとり、一列になって岩石が転がる原野を歩いていった。




    四


 落ち着かない……

 第三惑星遠征隊リーダーのグガプ♂は、設営した簡易施設の中で気を揉んでいた。無防備過ぎる。

 ここは未知の危険生物が溢れている星だ。幾分気温が低い極地に近く、植物の生育が悪いこの地域でこれまでに凶暴な巨大生物の生息は観測されていなかったが、だからといって安心はできない。土着生物の多くが嫌うという音波を常に流し、野営地に近寄ってこないようにしていたが、その音が異星の三名にとって心地よい音色であるかというと、決してそういうわけではない。それに気温の低い地域といっても、それは太陽に近いこの星が基準だ。グガプたちにとって暑く不快な場所であることに違いはない。そして幾らか体は慣れたが、三倍の重力環境で動作が鈍重になっているのは確かだ。危険と遭遇したとき素早く対処することができるのか、疑問がある……

 グガプは小さな顔を左右に振った。一人で無防備な地表の施設にいると不安が募り心細くなってしまう。早く安全で快適な地中に潜りたい。その思いを心の奥に仕舞い、大きな伸びをしてから観測機器の情報チェックを始めた。まもなく夜が明ける。フィールドワークに出た二名が帰ってくる頃合いだ。


「お疲れさん」

 エアロックを抜け、気密服を脱いだ二名が穴蔵を模した部屋に入ってきた。グガプが労をねぎらう。彼らは、いつものようにグビグビと水を補給した。

「どうだった?」

 一息つき、ずんぐりとした体をカウチに乗せたロップ♂に尋ねた。

「有力候補地に変わりはないよ。今日調査した場所は、地盤が弱い。地下水脈から近いが、水を引いてきて壁が崩れては厄介だ。将来、移住地として街を広げることを考えると、好ましい場所とはいえないな……」

 彼らは地中居住の候補地調査に出ていた。現場に出向いて衝撃波を地中に放ち、その反射波を解析することにより地層や地盤の詳細情報を得る。もともと地中族に備わっていた能力だが、それを機械に置き換え能力向上を図ることで広域深部の精度の高い情報を得ることができた。これを用い、周回軌道で地表観測データから推測した周辺の候補地を巡り、収集情報を比較して最も好ましい場所を選定する。

 土木技術の知識を習得したロップは一節唸ってから、今度はグガプに尋ねた。

「機械の調子はどんな具合かな?」

「ああ、母星からの指示通りにやってみたが、芳しくないな。動かない」

 遠い祖先は骨太の四本足を使い穴を掘り住居を造っていたが、現代では肉弾で穴掘りをすることはない。土木作業機を使う。彼らは前線基地となる地中居住地を早く造り、仮住まいの野営地から引っ越したいのだが、作業に使う掘削機の調子が悪かった。おそらく、貨物用降下機の軟着陸が荒かったせいで強い衝撃を受け、故障したのだろう。掘削機の一部に破損もあった。

「二、三発蹴って気合いを入れたほうがいいな。そしたらきっと動く」

 と難しい顔をしたキスト♂が口を挟んだ。グガプは笑顔をつくる。そんなことはできないが、早く修理して穴掘り作業に取りかかりたい気持ちは一緒だった。

「明日、また指示が届くはずだ。根気よくやるしかない」

 遠く離れた星の上で、物事は思い通りにいかない。それは覚悟していた。厳しい状況でも退路はない。何とか乗り切るしかなかった。

「ともかく、食事にしよう。腹を満たしてぐっすり眠れば、何とかなるだろう」

 とグガプは笑った。それができるだけでもありがたい、と感謝しなくてはいけない。




    五


 ビークルを降りたティーク♂は、その場の状況に呆然とした。

 第一次遠征隊の野営地は施設・設備の大半が破損していた。穏やかな星で造られた物は環境の厳しいこの星では、壊れやすい。そうは言うものの無残な有様だ。

 ゴーザ♂、レイト♂の二名も動揺している。

 ティークは、第二次遠征隊のリーダーとして声を張った。

「一次隊の三名がどうなったのか調査しよう。まずは、あそこからだ……」

 ティークを先頭に二次隊の三名は、野営地の中心に向かって歩いた。

「酷いですね、バラバラだ」とゴーザ。

 そこには簡易住居があったはずだが、残骸が転がっているだけだった。

「凶暴な土着生物の仕業でしょうか」

 そのレイトの言葉に、ティークは足を止め周囲を確認した。

「ゴーザ、君はビークルに戻ってくれ。周囲を警戒するんだ」

 その指示にゴーザは直ちに従った。三倍の重力に刃向かい足を速める。ビークルにはショックカノンが装備されていた。

 ゴーザがビークルに乗り込むのを待って、ティークとレイトは携行型のパラライザーを手にして足を進めた。

「地面に、土着生物の足跡らしきものはありませんね」とレイトが言う。

「そうだな。しかし、この星の激しい雨や風が消し去ったのかもしれない。警戒を怠らないようにしよう」とティークが返した。

 野営地の惨憺たる有様が不安を高めた。凶暴な巨大生物に襲われては一溜まりもない。

「土着生物の仕業でしょうか」

 レイトが再びその問い掛けをする。まだ、答えを得ていなかった。

「どうだろう……」ティークは足を止め、周囲の状況を念入りに眺めた。

「土着生物が破壊したようにも思えるが、我々はそうした実例を知らないからな。何とも言えないが、嵐が原因かもしれない」

「そうですね。簡易施設はそれほど丈夫な物ではありませんからね。土着生物ではなく、強風によって壊れた可能性もあります」

「そうだな。しかし、放置していた時間が長すぎた。これでは原因の特定は難しいかもしれない」

 一次隊との連絡途絶は唐突だった。何があったのかわからない。計画では、二つの惑星の会合のタイミングで補給物資を貨物専用船で送ることになっており、急遽、通信設備一式も加えた。何らかの問題で通信装置が壊れたという可能性もあった。貨物船が第三惑星に到着し物資を野営地近くに投下したが、一次隊からの通信はない。食糧も補給が必要な時期を越えるため、連絡がないということは何らかのトラブルで全滅したという結論になる。

 遠征計画は失敗。

 第三惑星移住計画主査のアスパル♂は、責任を取るかたちで辞任、引退。その後、体調を崩し命を落とす。移住計画は一からの見直しが迫られ、時間だけが徒に過ぎていった。

 アスパルの息子ティークは、父親の遺志を継ぐ意味で第二次遠征隊に志願、奮闘の結果、リーダーとしてこの地に立つことになった。事の真相解明とともに、遠征の目的を成し遂げると強い決意を持っていた。

 ティークとレイトは残骸の中を歩き回り、手掛かりを求めた。一次隊の三名の亡骸はない。どこかに逃げたのか? 何があったのか??

 その日、二次隊が野営地を調査しても、真相を得ることはできなかった。


 空が白む頃、三名を乗せたビークルは地表を覆うゲートを潜り、大地に空いた斜面を下っていった。やがて広い空間に出て、ビークルは停止する。そこには居住施設や様々な装備が置かれていた。地中に掘られた前線基地だ。

 一次隊が精密調査した地中情報から、事前に送り込んだ賢い自動掘削機が独力で掘り進み造成した地中空間に、二次隊が到着してから基地を設営した。荒削りの洞窟だが、地表の野営地より安全で安心、快適だった。これは、一次隊の活動の成果でもある。

 この先さらに掘り進み、次回の惑星会合のタイミングで運ばれてくる資材を用い気密処置を施せば、普段着で過ごせる居住地が誕生する。その後、会合周期ごとに同胞が訪れ、地中に街を築き移住が進むことになる。

 ただ、到着して間もない三人は、街が出来るまでに幾つもの苦難が待ち構えていることを覚悟していた。それを乗り越え、計画を進めないといけない。




    六


 年老いたティーク♂は元老院長老の執務室で小さな溜め息をついた。悩みが尽きない。

 水を口に運び、自分は長老の器とは違うのではないかと、また思う。三〇〇〇の同胞が暮らす移住地を統轄する役割を担うことになったが、荷が重いと感じる。自分は一介の開拓者にすぎない。

 通路を抜け出て執務室に入ってきたのは苦楽を共にしてきたレイト♂だった。彼は険しい表情で元老院評議員のマントを外し、カウチに体を乗せた。大きく息をする。

「今日が何の日か覚えていますか」

 そう問われ、ティークは困惑した。

「いや、何か重要な日だったかな……」

「ゴーザ♂の命日ですよ。母星の暦でのことですが」

 ティークは大きく頷いた。逞しく気が強かったゴーザは、無謀が祟り命を落としていた。随分と前、まだ若いころのことだ。

「そうか、ゴーザの命日か……」

 忙殺が理由にはならないが、この地に一緒に降りた亡き仲間を想うことはなかった。特に長老となってからは、過去よりも将来のことが気になる。ティークは身じろぎをし咳払いをしてからレイトに尋ねた。

「母星との通信は途絶えたままなのか」

 レイトは険しい顔で頷いた。

「途絶えたままだ。呼びかけに応じない……」

「移住船は?」

「定時通信に応じているが、生命維持機能がオーバーワークなのは間違いない。水や食糧が足りなくなることもわかっている。定員の倍以上を乗せて無理矢理脱出したんだ。乗っている者が騒動を起こすのは明らかだろう。この先の悲劇が恐ろしい……」

 ティークはその小さな顔を顰め左右に振った。助ける手立てがない。

 母星では、環境悪化が急速に進行していた。海水が消失し大気が薄まる。温室効果が低下し気温は極端に下がった。大きな地震が頻発し乾いた大地が割れていく……

 母星の同胞は絶望し、移住船に押し寄せた。第三惑星へ脱出することが唯一の望みになる。パニックだ。出発期限が迫り、詰め込むだけ詰め込み移住船は出発した。一旦、第三惑星の公転軌道を越えて第二惑星をかすめるようにして加速し、太陽をぐるりと回って第三惑星を目指す飛行コースに乗った。会合周期に合わせた飛行とは違い、燃料消費が大きく飛行日数も長い。そこに定員の倍以上を乗せた。尋常ではない、あちこちに歪みが生じる。

 おそらく最後となる移住船が、無事に第三惑星へと到達できるのだろうか。可能性は日に日に低くなっている。そして多くの同胞が残る母星との通信が途絶えた。だが、第三惑星からの救助の手立てはない。傍観することしかできなかった……

 滅亡の危機を間近にし、元老院評議会は第三惑星の移住地に元老院の機能を移すことを決定。最古参として移住地の開拓に奮闘してきたティークを長老に任命し、新世界での一族の末永い存続を託した。

「第五惑星の崩壊が始まり、母星は既に棲める場所ではない絶滅の星へと変貌した。そしてこの星にも環境変動が現れている。我々は、生き延びることができるのだろうか……」

 ティークの重苦しい問い掛けに、レイトは返す言葉を探した。

「この星のコアの変調は、規模の小さいものです。それに星そのものも、我々の母星より大きい。環境変動は深刻なものにはならない、という推測もあります」

「推測、では困る」

「ええ、そうですね。環境変動によりこの星の土着生命に何らかの影響がでることは確かでしょう。大きな体の生物は、押し並べて環境変化に弱いと考えられます。おそらく、巨大な土着生物から順に死滅することになると思われます。そうなればこの星の地表も、幾らか穏やかになるでしょうね」

「なるほど、しかし、そんなふうに都合良くいくのだろうか……」

 思案顔の長老は、カウチの評議員に顔を向け言葉を続けた。

「地中にも少なからずの影響があるだろう。それを見据えて、今、我々は何をすべきなのか? 何を始めればいいのだろうか?」

「まずは、この居住地で暮らす者の安全、安心でしょう。今、この星には三〇〇〇の仲間しかいません。暮らしを安定させ子孫を増やす。数が減り、絶滅の危機に陥っては大変ですから」

「生活の安定か……。それは基本になるだろう。それとは別に、この星の環境変動に備えなくてはいけない。移住計画の大綱では、この星は仮住まいに過ぎない。やがては別の世界に出て行くことになるのだろう。安住の地を探し求めることになる。しかし、何一つ手段がない。今の我々には、この星の重力を振り切る乗り物さえない状況だ。そうした物の開発技術、生産能力をどのようにして再び獲得するのか。それを考えただけで、よろけてしまうよ……」

 その話を聞き、レイトは顔を顰めて唸った。

「そうですね。しかし、次の移住先は、もっと遠くになるでしょう。我々の現在の科学力は、何とか隣の星に移り住むことができる程度です。隣に移住可能な星があったことが一番の幸運と言えます。しかし安住の地は、格段に遠い距離にある他の星系で探すことになります。今の科学技術では不可能です」

「新たな技術を獲得しなくてはならない、か……」

「いえ、新たな科学を生み出さないといけません。未知の物理学です」

「未知……」

 長老ティークは全身の力が抜け、途方に暮れた。




    エピローグ


「減速噴射しません……」

 船に搭載されている人工知能が観測状況を報告した。

「このままでは地球をかすめて、太陽を回る楕円軌道を飛行することになります。人工彗星です」

「何があったのかしら……」科学者のリラ・セスタが呟いた。

「乗員は、一人として生きていないのだろう……」

 とスアード・バルジャンが答えた。火星を発ったその船は一旦金星を目指し、星の重力を利用し加速して太陽をぐるりと回り地球に向かう軌道に乗った。しかし随分と前から船と地球の間の通信が途絶えていた。詳細はわからないが、船内が厳しい状況にあったことは確かだ。

「遠隔操作で減速噴射することはできないのかしら」

「どうかな、致命的な故障かもしれないな。それとも、諦めたのかもしれない。火星人の移動は一方通行だ。地球から宇宙に出る船がないのだろう。減速噴射させて周回軌道に移しても、亡骸を回収する手段さえないはずだ。諦めて、見送ることになる……」

「船はどうなるのかしら。私たちの時代で発見されてはいないわ」

「六五〇〇万年も彗星として太陽を回り続けることは難しい。太陽の近くを通過する度に引き寄せられコースが徐々に変わる。何度も繰り返している間に、完全に太陽に捕らえられ、最終的に灼熱の炎に焼かれる。おそらく、そんな結末になると思う」

「そう、そうね……」

 悲しげな顔をしたリラは、もう一つの懸念を口にする。

「地球に移った火星人は?」

「もう少し、追跡調査をするべきだね。この後、地球に大きな環境変動が起きるはずだ。あるいは、恐竜と共に、移り住んだ火星人も絶滅したのかもしれない」

 バルジャンの話を聞き、リラは弱々しく首を振った。

「それも、私たちのせいね。時空跳躍の試験が、歴史に大きなキズをつけたわ。間違いなく重罪よ」

 そのリラの言葉に、バルジャンは口を結び目を閉じた。心の奥底で一つの想いが騒ぎ出す。

「……だが、恐竜の絶滅がなければ、哺乳類の繁栄はなかったはずだ。これは時を越えた運命だと思うよ。滅亡の後に興隆が訪れ、再び滅亡の時代が来る。我々はその定めの中で生きているんだ。どんなにもがいても抜け出ることはできない……」


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