武装金纏
あけましておめでとうございました
今さらながら言ってみました
そろそろストックを作らないとまずいと思っているweed0eです。
では3話目です!どーぞ!
墓参りを終え、現在彼が住んでいる家へと帰ってくる。
朧月と生活していた高台の茅葺き屋根の家。
玄関を開けると、タッタッタッ と駆け寄ってくる足音が聞こえる。
「にぃ……おかえり」
「おう、ただいま夕南」
駆け寄り、寿丞の事を「にぃ」と呼んだのは、頭頂部から狼の耳を生やした年端も行かない少女。
170センチ程まで伸びた寿丞の腰元に頭が来る身長で、白いワンピースを着て、父親譲りの青みがかった黒髪を靡かせる姿は、同年代の友人はおろか、大人達をも魅了する。
「今、飯作るからな」
コクリと頷く姿を見てから、奥にあるキッチンへと移動する。
今日の昼飯は何にするかを考えていると外から、こちらへ駆けてくる音が聞こえた。
慌ただしく鳴り響く足音から、複数の存在がこちらに向かってくるのがわかった。
「にぃ……」
怯えた様子で寿丞の茶色の上着の裾を掴む。
「大丈夫だ。兄ちゃんに任せろ」
その様子を見ると安心させるように頭をポンと撫でると、言葉を掛けて微笑む。
すると裾を握る手が緩む。
「抱えるぞ?」
「うん……」
一言断りを入れ、夕南を左腕で抱きか抱えると右の腰に帯刀している薄刃の柳葉刀を逆手に構える。
後ろに回した左足に重心の半分を預け、後方にも前方にも飛べるようにする。
襤褸屋の為、結界が張られているため、そんな事はないが、万が一玄獣が来たのなら背中から壁にぶつかれば壊すことも出来、逃走経路を確保する事が出来る。
もしも住人ならば武器を往なしながら前へ進み、逃げれる。
そういう考えで取った構え。
(不知火さんの結界に異常が?でも結界に異常があると言っても街に近いこの家までくるか?)
と、考察していると。
「ヒデツグ!いるか!」
寿丞の知り合いの男の声が聞こえ、柳葉刀を納める。
しかし、扉の数歩前に立つと腰を落とし、腰の横に右の拳を置き、構える。
「五行術 武装金纏 硬化」
ポツリと呟く。
その声に反応したのは夕南だけ。
「いるんだろ!入るぞ!」
大声を上げ、無作法に扉を開け入ってくる男。
後ろでは止めようとする声でざわついている。
そしてその男の顔が見えた瞬間。
「ぶほぉらぁ!」
一気距離を詰め、武装金纏のオーラによって鈍色に硬化した右の拳を男の右頬に叩き込む。
そして押し出す瞬間にひねりを加えダメージを追加した。
「家のかわいい妹を怯えさせた罰だ。そこで反省してろくそ野郎」
と、堂々と構えを解き宣言した。
□□ 寿丞の家の中にて ■■
六畳一間のテーブルが置かれた場所で数人が顔を合わせている。
一人は現在の家主の寿丞。そして彼に抱えられ、しがみついているのは、義妹の夕南。
その隣では肩まで掛かる赤髪をポニーテールにして、後ろに結った女性が夕南をあやしていた。
名は風魅と言い、年齢は寿丞の少し下くらいで頭頂部に馬の耳が生え、青い生地の、背中には五芒星の刺繍が織り込まれているコートを羽織っている。
「風魅。夕南ちゃんをあやすのもほどほどにね」
そう声をかけたのは風魅の向かいに座り、風魅と似たコートを着た女性。名を妃実夏と言い、年齢は寿丞よりも少しばかり上だろう。大人の魅力を持ち、頼れる姉のような風格を持つ彼女は狐の顔をしている。
「ったく。何故オレが殴られないかんのだ……」
ブスッとした状態で頬や体を擦っているのは、先ほど寿丞に殴られ、その後もボコボコにされた人物。
がっちりとした体躯を持ち、虎の耳を持った男。名を白蓮と言い、青年と呼べる程の年齢。
白いツンツンとした短髪と厳つい兄貴肌の性格は女性ファンを初め、男たちからの人気も高い。
そして現リューン地区の長の息子でもある。
彼も風魅達と同じような背中に五芒星を施したコートを着ている。
他にも似た服装の男女が5名程いるが、達筆した実力者はこの4名だけである。
「お前が夕南を怯えさせるからだ」
「なんだと!」
さも当然といったようにそういうと、当然の如く白蓮が吠える。
「ひぅ!」
そして大声に夕南が怯えると、怒りの表情を見せ寿丞が拳を握る。
白蓮も対抗しようと睨み、それに怯えないよう風魅が夕南をあやす。
「ほら、何回もそんなことしてないで話を進めるわよ」
何度も続くやり取りに、呆れながらパンパン と手を叩き、空気を一新してから注目を集める妃実夏。
注目が集まったのを確認すると話始めた。
その内容は寿丞の予想を越えた話だった。
……どうしてこう(シスコン気味に)なった?
予定と違う!こんな風(シスコン気味)にするはずなかったのに!
まぁ、書いててそっちの方が面白いんで寿丞はシスコンにします(笑)