墓参り あれから六年
短いです
主人公だけしか出て来ません。
説明文ぽいですが多めに見てください。
魔導仙法。
魂そのものを反転し、表に出す妙技。
その者の持つ魂の色と、理想が表れたオーラを纏う。
その難易度は遥かに高く、習得している者は片手で数える程。
そして人に教えるとなるとその難易度がまた跳ね上がる。何故なら感覚による所が大きいからである。
ある春の日の昼下がり。
とある人物が歩いている。
まだ肌寒いのか茶色の長袖を来ており、下には薄手の白いTシャツを来ている。
青白い太ももの部分が広く作られたズボンを履き、腰には赤い帯をベルト代わりにしている。
帯には刀剣が帯刀されており、彼を一人の武人足らしめる象徴となっている。
靴は、爪先にはこの世界の鉄板に等しい強度を持つ鉱物を加工し、板にしたものが仕込まれた物を履いている。
「ったく。候補止まりで死ぬなんて……。師匠らしい」
リューン地区にある集合墓地。
ポカポカと穏やかな木漏れ日が辺りを照らす、海の近くの高台に作られたその場所の中にある小高い丘。
その丘にポツンと一つ建てられた墓。
そこへ先ほどの彼が、白い花束を抱えやって来ると、その墓に眠る人物に話かけた。
一見すると、石が立てられただけの物に見えるが、石には墓らしく、字が彫られ、こう書かれていた。
『沒幸願 朧月』
朧月。後継者候補として名を馳せていた人物。
そしてこの墓へと語りかける彼の師であり、親代わりとして育ててきた人物でもある。
「竜僧様の後を継いで不知火さんが長になったよ。……そしてあんたを殺した奴を探してる」
数年前、朧月が正式に後継者に選ばれる直前、彼は殺された。
目撃者はいたものの、犯人は黒いローブを羽織り、顔には鉄仮面を被っていた上に、時刻は暗くなったばかりだった為、犯人は男で彼と同じくらいの体躯で一思いに倒せる者。という情報しかなく、唯一倒す事の出きる不知火は体躯が似つかわず、彼を一番後継者として推薦していた人物だった為、真っ先に疑いが晴れた。
「……いつか俺もあんたを殺した奴を見つける。だが安心してくれ。殺すつもりはない。何であんたを殺したかを聞いて、あんたの墓前で謝罪させる。あんたから教わった術は殺しの術じゃなく、己の心を強く保ち、己が進む苦難を打ち砕く術だって教わったんだ。あんたを殺せるほどの実力者……つまりは打ち砕くべき苦難なんだ。だから倒す。んで謝らせる。殺しは悪い事で、悪い事をしたら謝る。そうだろ?」
そう語る彼の瞳は涙が浮かぶも、迷いを感じさせぬ強さを宿していた。
朧月から学んだ事の一つであり、遺言でもある。
何せ目撃者であり、第一発見者は彼なのだから。
「んで、もう一つ決めた事がある。中央アシュワークにあるアシュワーク魔導技術学園に行くよ」
決意の後に語ったのは進路だった。
高みを目指す それも一つの教えだったから。
高みを目指す上で選んだのがある学園。中央アシュワークに存在しており、リューン地区のある東方リューンノリア国から海に出て中央にある人工島にある国、アシュワーク。
裏界にある大陸の中心の国で、その国の中央に位置し、様々な国、地区から色んな種族が集まる学園都市。
「そこで更に力を磨いてあんたの名を有名にする。厚かましい恩の押し付けだが受け取ってくれ。勝手に決めた俺なりの恩返しだ」
そう言うと彼、寿丞は歩きだした。
己の進む道へと。そして帰りを待つ者がいる場所へ。
すると数歩進み、振り返り墓前に目を向け、こう言った。
「あんたの娘。立派に育てるぜ。俺の妹としてな」
人の悪い笑みを浮かべ去って行った。
朧月が口を大きく開け驚く様を想像しながら。そして父らしい顔をして「娘を頼む」と言う事を願いながら。
急いで書いたので間違いなどがあれば連絡ください!




