半身の体の雨降りの午後
雨降りの午後 混雑するバスの中では 女子校生が二人座っている
彼女たちの御喋りは間断なく続き 身体の障がいを患っている「私」に席を譲る気配はない
やがて片方の女子学生がバスを降り 席は一つ空いた
だが女子校生の隣に腰を降ろそうと思い立つ私を もう一人の「私」が押し留める
女子校生一人の席 しかも隣の席に座ることが私に許されているだろうか?
今は女性も弱者も過剰に守られている社会 それは身体を患った私だからこそまたよく分かる
女性の肌や肩にもし誤って触れてしまったら? もしくは「障がい者」が隣に座ることを彼女が嫌悪してしまったら?
私は弱い立場にある人々に与えられた「盾」が時に「矛」となり人を攻撃する様を幾度か見てきた
それだからだろうか 私は身をすぼめて 肩をすくめて ただつり革を握ることを選んだ
車窓の外を流れ行く幼き日々のノスタルジー
小 そ
さ れ
い を
頃 今
は は
ア 社
レ 会
ル が
ギ 許
ー さ
な な
ん い
て 人
言 々
葉 が
な 世
か 相
っ が
た許
よ
う ね
し も
な っ
い と
分 お
か お
っ ら
て か
る だ
よ っ
私 た
の 無
考 邪
え 気
が だ
孤 っ
立 た
つまりはすべて私の原体験 原風景が×
私が時代の本流から隔絶されてしまったのは分かる私は自分が弱者であるがゆえに自分に厳しくしてきたその私が嘆かざるを得ない社会世相とは何なのだろうと君に問いかけてみたかっただけだよだが君はきっとこう答えるだろうね
「多様化の時代。お昼の放送でも『おはようの方はおはようございます。こんにちはの方はこんにちは。おやすみなさいの方はおやすみなさい。行ってらっしゃいの方は行ってらっしゃい。お帰りなさいの方はお帰りなさい。それではラジオが始まりますよ!』というDJが優秀なDJになるんですよ」
多様化の時代の 弱者が過剰に保護される時代の優秀なDJ
私は微笑んで目的のバス停に着くとバスを降りた
そっと君の言葉にうなずきもした私の孤立感を私自身なだめた時
雨降りの午後は終わっていた