#24 ニコラスの先祖
◆今回登場する人物◆
フレディー(15)
小さい頃から鋭い勘と優れた吸収力を持つ銃使い。5歳の頃から父に銃を教えられていた。ニコラス先祖である。
ロディー(39)
ガンマンであり、フレディーの父でもある。息子が小さい頃から護身のために銃を教えていた。
ジェシー(38)
フレディーの母。元シャインズ王国国王の側近である時、追放を言い渡された。その後、ロディーと出会いフレディーを生んだ。正義感が強く、心優しくもある。
グレイス(46)
シャインズ紛争時代、下劣な方法を選ぶ兵士として恐れられた銃使い。資金調達のために人身売買などを使った。
銃使い・フレディー。彼は紛戦時代のシャインズ王国にガンマンの子として生まれた。だからなのか、小さい頃から銃の練習をさせられていた。
フレディーが初めて銃を握ったのは5歳のころであった。彼の父は、
「ここにマガジンをセットして、水鉄砲みたいに引き金を引くんだよ。」
と手取り足取り詳しく優しく教える。無邪気なフレディーは素直に言われた通りにする。
パァァァァァッッッッッン!
けたたましい銃声が響き、フレディーが尻餅を突いた。反動にその小さな体が耐えきれなかったのである。だが、撃った弾はちゃんと的の中央を撃ち抜いていた。
パァァァァァッッッッッン!
その後、そんな音が何度も響く。フレディーは毎度毎度的の中央を撃ち抜いていた。彼は昔から勘が鋭く、吸収も早かった。
「フレディーはすごいね。」
「ありがとう、お父さん。僕、お父さんのために頑張るね。」
「うん、こちらこそありがとうな。」
しかも、彼は褒められると伸びるタイプであったため、父にこんな風に褒められると、彼はどんどん銃の腕が上がって行くのであった。
そして、そんなフレディーが15歳になったある日のこと。
「ここを開けろっー!」
と叫ぶ、兵士たちが彼の家に押し掛けて来たのである。目的は人身売買をし、兵器の開発の資金とするためだ。
「父さん、母さん。外に誰かいるの?」
フレディーは逞しくはなったものの、こういう事には怯えてしまう所があった。
「押し入れに隠れてるのよ。」
「さあ、行け!」
父と母にそう言われて、フレディーは言われた通りにした。言われた通りにすれば父と母とこれからもずっと過ごせるのだと。
だが、そんな考えは甘かった。押し入れからわずかに聞こえる口論の声。その後の、銃声の連続と断末魔。その次に聞こえたのは怒号であった。フレディーはおそるおそる押し入れから出、音のした方を見に行った。
すると、そこには血まみれとなった父と母の死体があった。それを見た瞬間、フレディーの顔は青ざめ、思わず尻餅を突いてしまった。しかも、不運なことにそこへ1人の兵士がやって来て、
「もう1人いたぞ!」
と仲間をこちらに集めてしまったのだ。だが、その時にはもう彼は銃撃戦するつもりであった。
パァァァァァッッッッッン!
フレディーは父の銃を拾い、兵士1人の脳天をぶち抜いた。それを見た兵士たちは、彼を銃で狙い始めたのである。
ズドドドドド...!
そんな銃声が家の中に響く。だが、フレディーは素早くかわし1人ずつ銃で撃ち抜いていった。彼の動きがあまりにも速いため、兵士たちの放った弾は床を通り過ぎるのみで、為す術も何もなく全滅させられた。
こうして、フレディーは元の穏やかな生活には戻ることが出来なくなった。大人になったフレディーは同僚との間で子供を授かるが、彼がいる世界は危険である。フレディーは絶対に銃を握らせたくないとは思っていたものの、護身のために教えざるを得なくなってしまった。
その後も、そのうような親から子へ、子から孫へと銃を教えていくと言う慣わしは続き、やがて、紛争は無くなり穏やかな生活が戻ってきたものの、その慣わしは残ってしまった。そして、その血は今ニコラスの中にあるのであった。




