#18 能力大戦争
◆今回登場する人物◆
シャルギン(42)
ドュンケル教の修道士。ドュンケルサイドに所属。転移の能力を授かる。
バルカン(39)
クロスサイドに所属。クロスサイドの中心人物で、優れた機転と頭脳を持つ。転移を継承する。
ルーク(26)
ドュンケル教徒の中でも上位に入る程の強い信仰心の持ち主。ドュンケルサイドに所属。尋常じゃない動体視力を持ち、万物裂断を授かった。「聖なる者」と呼ばれるようになる。
アリア(23)
研究家の父と、元ドュンケル教修道女の母を持つ。当時は父母子揃ってクロスサイドに所属。万物裂断を継承する。
某日、クロスサイドの宣戦布告により、50年にも及ぶ能力大戦争は始まった。
能力大戦争。それは、私から抽出された9つの能力を巡った戦いである。その能力とは、次の9つである。
指定した座標に移動する転移。あらゆるものを切り裂く万物裂断。触れたものを消し去る破壊接触。黒い光線を放てる暗黒砲台。炎・水・大地・光・闇・雷・風を操る自然操作。邪力で相手を意のままに操る洗脳。私の魂と一体化し不死身となる不老不死。体を自由自在に変化させる身体変化。相手の体力や魔力を吸収して自分のものとする吸収。
初めは、全てドュンケルサイドが所持しており、優勢でもあった。しかし、クロスサイドは戦いが長引くにつれて、強力な兵器を生み出した。玉砕覚悟で戦わせた兵たちを捨て駒に暗黒光線を分析して作られた兵器。それから放たれる光線はドュンケルサイドの者たちを圧倒し、転移のシャルギンを殺してしまった。
これにより、その光線を放ったクロスサイド・バルカンは転移を継承した。
「転移か...。使いようによっては、強いかもな。」
そして、それがドュンケルサイドに戻ってくることは無かった。何故ならドュンケルサイドの者が攻撃しようとしても、転移で後ろに回られ、高い所へと転移させてしまうからである。これにより、ドュンケルサイドは1/3程度の軍勢を失った。
さらに、その頃、別の場所でもあの兵器は使われていた。しかし、万物裂断を有する上、常人の域を超す動体視力を持っていたルークの前には無力であった。放たれた光線を斬り裂き、驚きを隠せない兵たちを次々と斬り殺していく。彼はいつしか、「聖なる者」と呼ばれていた。
しかし、そのルークをも圧倒する兵器をクロスサイドは生み出した。それは、あるゆる物の原子を再構築し、それを操る兵器。その名は原子構築制御装置。これにより、彼は剣を振るえなくなり、体中を原子レベルに分解され、虚空へと消えていった。これにより、装置を起動したクロスサイド・アリアは万物裂断を継承した。
それから、クロスサイドはどんどん新兵器を開発していき、ドュンケルサイドを圧倒し、身体変化と吸収を奪う。そうして軍勢が残り約1/3となったドュンケルサイドは降伏して、50年にも渡る能力大戦争は幕を閉じたのであった。




