リドナー、日本へ行く(後編)
◆今回登場する人物◆
セルビア(31)
スカーレット魔法帝国の元衛兵で、当時は聖剣士だった。しかし、24歳の時、城から追放されると、スパイラルメイジに転職した。ポールの師匠で、固有魔法は「タイムストッパー」である。
●今回登場するアイテム●
フォーリンエンジェルロッド
セルビアが使う闇のガイアロッド。かつては、光のガイアロッド・ラフェエルロッドだったが、邪神の魂に触れ、闇の杖になってしまった。
「何だぁ?お前らも、ヒーロー気取りかぁ?かかれっ!」
彼はどうやら、不良のリーダーらしい。次の瞬間、僕たちに不良たちが襲いかかってきた。
不良が殴りかかってくる。僕はそれを壊し、うなじを掌の側面で叩いたら。すると、ソイツは気を失った。
一方、テーラはその身軽さを利用して、不良たちの蹴りや殴りをかわし、顔面に拳骨をお見舞いしていた。さすが、僕たちと冒険をしただけあるな。自然と強さが備わっている。
「うおっと。」
僕は、不良たちの拳をかわし、回し蹴りで蹴散らした。
「たしかに、ヒーロー気取りしてるかもだけど...。あいにく、それぐらいの強さは持ってるんだよね、僕たち。」
僕はそう言って、不良のリーダーを見る。
「おもしれぇ!俺はポール!1年前まで、スカーレット魔法帝国にいたんだ!」
不良のリーダー、もとい、ポールはそう言う。
「魔法?もしかして、何かの新興宗教?」
うしろの、3人が首をかしげる。僕は、小声で「テレパシー」を唱えて、彼の脳に直接、
「ここで、『魔法』は禁句だぞ!」
と語りかけた。すると、彼は
「うるせっー!そんぐらい、わかってんだよ!」
と言って、殴りかかってきた。
殴りと蹴りの連続コンボ。僕たちはそれをかわすことで精一杯だ。
「クッ!コイツ、ファイターか!」
僕は、かわし続けながら歯軋りをする。
「そうだ、よ!」
ポールはそう言って、アッパーをしてくる。僕は、それを避けるため、後ろへ大きく下がった。武器を使うしかないか!
僕は、近くに立ててあった木板を両手で持った。
「ふん!そっちがその気なら!」
ポールはそう言って、金属バットを取り出した。
「おらぁぁぁぁぁ!」
僕は板を持ちながら、彼に突っ込む。
「おりゃぁぁぁぁぁ!」
彼もバットを持って僕に向かって。
バキーン!
そして、そのバットが、僕の板を真っ二つに割った。それを見た、ポールはほくそ笑んで、鳩尾に向かってバットを振ってきた。僕は、それを紙一重でかわし、走って距離を詰め、割れた木板で彼の顔を叩いた。
「くっ!?」
ポールはそう言って、倒れた。バットも地面に落ちた。しかし、すぐにそれに捕まって立ち上がり 、構え直した。
「舐めんなよぉぉぉぉぉ!」
と言って、彼は向かってくる。
「テーラ!」
その瞬間、僕は叫んだ。すると、テーラが現れ、バットの上に立った。それから、彼女は
「ったく、舐めてんのはそっちじゃないの?」
と言って、飛び上がり、彼に強烈な飛び蹴りを食らわした。これにより、ポールは鼻血を出して気を失った。
「あの...ありがとうございます。」
男の学生が僕たちにそうお礼を言ってきた。
「当然のことをしたまでですよ。」
僕はそう返す。
「あの、何処かで、お会いしませんでしたか?」
女学生の1人が僕たちにそう聞いてくる。
「やっぱり?私たちもそう思ってたのよ。ねぇ?」
テーラが聞いてくる。僕は、
「あぁ。」
と、うなずき僕は「リドナー」と名乗った。
「私はテーラ。リドナーの恋人なの。」
「俺は田中です。」
「私は明莉よ。」
「それで、私は...」
ピタッ!
と、突然、僕とテーラ以外の動きが止まった。見ると、彼らはまるで石のように固まっている。
「僕の弟子をコテンパンにするなんて、中々の度胸だなぁ!お前ら。」
後ろから男の声が聞こえ、僕たちは振り向いた。
すると、そこには、大きな杖を持ち、顔が蒼白な男の姿があった。
「僕はスパイラルメイジのセルビア。この魔法は、僕の固有魔法『タイムストッパー』だ。」
彼はそう自己紹介した。
「さぁ、時間は止まっているから、魔法だって、剣だって、何だって使えるぞ?」
セルビアはそう言った。僕は、
「じゃぁ、お言葉に甘えて!魔力解放ぉぉぉぉぉ!」
僕は、そう唱える。と、彼は遠くへ吹っ飛ばされ、血だらけになりながら気絶した。瞬殺してしまったか...。
そして、「タイムストッパー」が解けて、時が動き出す。
「あれ?リドナーさんたちのポーズ、変わってない?」
田中さんが首をかしげる。他の2人も、
「本当だ。」
と言う。
「そんな、きのせいですよ!」
僕は作り笑いを浮かべた。すると、彼らは
「なら、いいんですけど。」
と、納得してくれて、僕たちは一安心。魔法がバレてなくてよかったー。僕は心からそう思った。
その後、僕たちは彼らに地図を見せて、行き先を教えると、
「何でわからないんですか?」
と失礼なことを言いながらも、彼らは一緒に電車に乗って、丁寧に案内してくれた。そのおかげで、僕たちはホテルに無事着いたのだが...。彼らの学校の日の門限は6時。今から帰れば、間に合わないだろう。すこし、心配だったが、考えても仕方ないと思い至り、ホテルのエントランスに入り、エレベーターで4階に向かった(4階に僕たちの止まる部屋・478号室がある)。
そして、次の日、僕たちは思う存分、東京観光を楽しんで、また、次の日、荷物をまとめて、ホテルをチェックアウトした後、高尾山と言う山を登って、途中で地獄谷と言う谷も見て、吊り橋を渡って、山を降りた。さらに、僕たちはそのまま、空港へ向かい、飛行機に乗り込んだ。
それから、僕たちは行きより長い7時間半を機内で過ごし、バッファル島に戻ってきた。




