#14 アレックスの旅
◆今回登場する人物◆
アレックス(31)
黄昏界から来た、異邦人。シュバルツを手名付けている。
ハンス(34)
米軍基地・エリア56の警備員。曾祖父は、アメリカ軍の最高司令官だった。
この世界の科学もまた素晴らしい。空を飛ぶ機械に、自動で開く扉、地面を高速で走る機械。私は、みるみるうちにその技術に目を奪われていった。
しかし、疑問に思ったのが、バッファル島を後にしてから魔法使いを1度も見ていないことだ。魔法無しで、こんな色々な物が作れるだろうか?黄昏界の人々は魔法と科学を組み合わせて、高度な技術を生み出してきた。しかし、この世界では魔法を使える人をほとんど見ない。もしかしたら、彼らは我々よりも勝る何かを持っているのかもしれない。そう思うと、さらに興味がわいできた。
次の日、私はとある峠の上から、軍事演習を見学していた。もっと、間近で見たかった。が、基地に入ろうとして、
「ここは立ち入り禁止エリアだ!いますぐ、立ち去れ!」
と怒られた。それでも、見たくて、私は交渉しようと思ったのだが、撃たれた。もちろん、それは空砲だったが、
「次は弾を入れるぞ?」
と脅してきたので、恐くてその場から逃げ出した。
しかし、演習を見ているうちに、私はそんなことはどうでもいいと思った。なぜなら、多数の高速で飛ぶ機械が綺麗に並んで飛び回っているからだ。あっちの世界には、これほどの統制力は存在しない。それに、端っこのやぐらのような物の上では、何かが回っている。本当にこの世界の科学は素晴らしい!私はそう思った。
今日もたくさん良い物を見た。あと何ヵ月かしたら、あの世界に戻って、このことをみんなに教えよう。私はそう心の中で呟いて、テントというものを組み立て、その中で眠りに着いた。




