#11 バルッツア戦団
◆今回登場する人物◆
オスカー(65)
300年ほど前の、バッファル島の長。”バロッツア戦団”を作り上げた。
ルチャル(35)
リドナーの先祖。当時は、魔法剣士の中でも3本の指に入るほどだった。
★今回登場する怪物★
トロール
手に棍棒を持った巨人。それでの近接攻撃や、握りつぶし、「闇の玉」での遠距離攻撃などが出来る。人を襲うこともある
今から、300年ほど前、バッファルの諸島で巨人・トロールが大繁殖し、多くの人々を襲った。これにより、人口は4割減少し、ヤツらが多く住む森は巨体による影でおおわれたことから、”陰の森”と呼ばれ、ほとんどおらず、日が当たり続けた森を”陽の森”と呼ばれるようになった。
そして、それからも人口は減り続け、当時のバッファル島の長・オスカーは賢者たちの制止を無視し、討伐隊を募集した。
すると、3日間でおよそ500人もの人々が集まった。その中には、リドナーの先祖・ルチャルもいた。前までは、反対していた賢者も彼らの勇敢さを見て、指揮及び、参戦を決意した。この戦隊はオスカーによって”バロッツア戦団”と名付けられた。
こうして、討伐隊改め、バロッツア戦団の隊員たちは陰の森でトロールたちの討伐に向かった。
「やぁぁぁぁぁ!」
「ウォォォォォッ!」
「おりゃぁぁぁ!」
「ファイアカッター!」
「クリスタルハルバード!」
森中に隊員の雄叫びや詠唱がこだます。彼らの活躍によりトロールの数は徐々に減り始めた。
「ギャァァァ!」
と、突然、男の悲鳴が聞こえた。見ると、トロールが人間の肉を引きちぎっていた。このとき、恐怖で逃げ出したり、立ち尽くす者(そんなヤツらは即座に殺されてしまった)もいれば、戦いを続行する者もいた。賢者はかなりの兵力を持っていたが、それでも指揮と自分の身を守ることで精一杯たった。
そんな中、ルチャルは人並み以上の、言うなれば賢者並みの兵力を誇っていた。彼は
「心臓を...狙う!」
などと、呟きながら、高速移動魔法「ハイエスト」と飛翔魔法「フライト」を組み合わせて、トロールの攻撃をかわしては、斬りつけ、かましては、斬りつけ...。と、そんな作業を繰り返しながら、次々とヤツらを倒していく。
「誰か助けてくれっー!」
と、誰かが助けを呼ぶのが聞こえた。それにいち早く気づいたルチャルは自分の相手を即座に撃破し、すぐに飛び出した。そこへ向かう途中、ヤツらは彼に手に持った棍棒での打撃や、遠距離攻撃を仕掛けたが、見事にかわす。さらに、手で掴まえようとするヤツもいたがその手はあっさり斬り落とされた。そして、わずか5秒でその人の元にたどり着き、掴まえていたヤツの手首を斬り落とした。不幸中の幸い、その人は全身骨折をしたが、命になんら影響はなかった。
その後も、トロールとバロッツア戦団の戦いは半日も続いた。最終的に大きな活躍を見せたのは賢者とルチャル、そして、ごく一部の隊員のみであったが、その他の隊員たちもよく頑張った。そのおかげで戦団はトロールを殲滅に成功したのだ。
この戦いで、500あまりの隊員が100人ほどまでに減った。つまり、かなりの犠牲者が出たのだが、”ソレ”は後のバッファル繁栄に繋がるのである。決して、彼らの死が無駄になることはないのである。




