第1話 とある日常
これは、とある田舎の高校生達の、ひと夏の儚く、切なく、そして絶対に忘れることの無い淡い思い出―。
太陽のやわらかな光が、部屋に差し込む。
「朝だよ。起きて」
その声を聞いて目覚めると、目の前に1人の女の子がいた。
艶やかで肩までかかった黒髪。ぱっちりとした両目が特徴的な、整った顔。化粧っけは無いが、それが逆に彼女の可愛らしさを際立たせている。部屋着の上には、どうやら桃色のエプロンをつけているようだ。
「あ、起きた。おはよう」
そう言って彼女は優しく微笑んだ。
「おはよう。粉雪」
そう言って俺は微睡みの中、上半身をおこして、伸びを一つ。
居間へ行くと、簡素なテーブルの上にごはん、焼き魚、味噌汁といった和風な朝食が用意されていた。
居間と繋がる台所で顔を洗ってから席に着いて、「いただきます」と言いつつ味噌汁に口をつける。
うん、うまい。
「いつもありがとうな。すごくうまい」
同じく席に着いた粉雪にそう言うと、粉雪は
「ど、どういたしまして…」
と、若干顔を赤らめながら答えた。
俺、畦道純人と花里粉雪は、幼い頃から家が隣同士だったこともあり、家族ぐるみの長い付き合いだ。今は、高校の近くのアパートのお隣さん同士で、毎日朝食を作りに来てくれている。
ちなみに、仲の良過ぎる親達が、2人で一緒の部屋を借りたらどうだという話で盛り上がっていたのを2人で慌てて止めた、という余談もあったりする。
食事を終えて制服に着替えた俺達は、2人で学校へ向かう。
アパートから高校は、徒歩10分の距離だ。その道のりを、いつも2人で歩いて通っている。
「そういえば、今日うちのクラスに転校生が来るらしいよ」
「この時期に転校生か。珍しいな。別に今日から新学期ってわけでも無いのに」
「そうだね。何でも、最近都会の方から引っ越してきたばかりなんだって」
「ふうん、こんな田舎にねえ」
そんな会話をしながら、歩き慣れたいつもの道を二人で歩く。
こんな田舎にも、夏がそこまで迫っている。
初めて小説を執筆・投稿しました。
今はとにかく読者の皆様に楽しんでもらえる、読みやすい文章が書けるように頑張りたいです。
拙くて至らない点も多々あるとは思いますが、温かい目で見て頂けたらと思います。今後も宜しくお願い致します。
感想等をいただけたら嬉しいです。
2016/02/12 13:09 修正