表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/14

7話

今回もちょっと少なめです

次はもうちょっと長く書きたいです

この病院?で目覚めてから一週間がたった

もしもあの医者メイグの言う通り体が全身複雑骨折に重度の打撲

頭蓋陥没だったとしたら

とても一週間で施設内を歩き回ることはできなかったはずだ

医療の技術力はとても高度なのだとわかった

そう、実は若干昔のことは覚えている

最初は断片的な場面場面ばかりでとても記憶とは言えなく

あの時はあやふやなことしか言えなかったが

今は家族の顔や幼いころの思い出、友達と遊んだことなどは思い出せるようになっていた

だがなぜどうやってここに来たか、それがわからない

まるで朝起きたら知らぬ土地で普通に暮らしている自分を遠巻きに見てゲシュタルト崩壊に陥っているかのようだ

悶々と考えながら歩き回っているうちに屋上に着いてしまった

そこからの景色を眺めたときに悟ってしまった


あぁ、私は異世界へ来たのだと


ありとあらゆる建物が所狭しと並んでいる

ほとんどの建物は材質が一緒の石造りらしい

この施設は周辺地域の中では一番高いらしい

一望できた

灰色の塀だろうか?遠くの地平線をなぞるようにできている

ここは城下町らしい

後ろを振り返ったときに分かった

城だ

中世のヨーロッパの古城だ


地形は蜘蛛の巣といったほうがしっくりくるだろう

蜘蛛の糸が道だとするならば主である蜘蛛は

この後ろにそびえたつ城

半径六キロはある円状の都市は中心に行くにしたがって標高が高くなっていく

そしてドンと高くそびえたつ巨大な城


(アーベントロート…。)


登山用語で夕日が山肌や雲に当たり赤く染まることを言うのだが

昔、父親と週末に登山をして頂上に着いたとき教えてもらった時を思い出した

仕事で疲れているくせに、そしてそこまで体もつよいわけじゃないのに

引っ込み思案な僕を気遣って少しでも外で遊ぶ楽しさを教えようとしていた

頬をゆっくりと熱い涙が伝った

なぜ涙を流したのか自分でもわからなかった

たぶんその赤く染まった城の姿があまりに美しかったのか

やはりここは違う世界だったと心の奥深くで感じ取ってしまったのか

そしてもう帰れないということを悟ってしまったのか

手すりに寄りかかり顎を腕の上に乗せ日が落ちてその光が地平線に消えていくその姿をじっと眺めていた


「ここからのアトラス城は要塞都市ハスクの中で最高の眺めだ」


いつの間にか隣で茶髪で長髪の長身の男がいた

「たしかに美しい景色だけど泣くほどかね?初めて見たよ泣く人は」

長身の男は笑いながら言う

いきなり失礼な人だと思ったがはたから見たら城を見て泣いている人はちょっと変だったかもしれない

「い、いえ、ただちょっと目にゴミが入っただけです」

かなり苦し紛れの理由だった、もっとましな言い訳なんてごまんとあるはずなのに精神的に余裕がないがゆえだろうと苦笑しながら思った

20代半ばくらいだろうかじっとこちらを見ているとなぜか居心地が悪い

「ハハ、目にゴミね、君は…、リク・クライアンでいいかな?」

「え?あー、はいそうですけど」

「やっぱり…、うわさは聞いているよ、あの早とちりメイグが君を異世界から来たんだと勘違いして高額な治療を施してしまって彼の懐のお金がほとんどお空へ行ってしまったらしいじゃないか、みんな面白がっていたよ」

リクは知らなかった、そんなことが自分の知らないところで起こっていたとは、確かに患者さんやスタッフらしき人たちはすれ違う

たびにこちらを見ているような気がしたが

「知らなかったです、そんなことがあっただなんて」

「まぁ基本人命救助をするのが医者の役割ではあるから君が引け目とかを感じる必要はないとは思うんだけどわざわざVIP待遇の治療だからね、彼も落胆の度合いははんぱないらしい、同情するよ」

「その…、メイグさんは異世界から来た人がほしかったんですよね?なんでです か?」

「なんで?あー、なんでだろうね?本人に聞くのが一番だけどまぁだいたい異人はどんでもない力を持っているからね、神器や伝説級の使い魔、メイグは何か頼みたかったことがあるのか、よくわからないけどそういう人は少なくないよ」

なんか、複雑な心境だ

記憶はまだ戻っておらず確かにこことは別な世界で暮らしていたことは確かだがそんなとんでもない能力とかが自分に宿っているとは到底思えない、異世界人=超強い人という定義になっているのであれば自分は異世界人だと言わないほうが賢明だと思った

「君はこの後どうするんだい?退院した後だよ、うわさじゃあ君は重度の記憶喪失らしいじゃないか、身寄りはいるのかい?やっぱりそういうのも忘れてしまったんじゃないのかい?何か考えとかはあるのかい?」

実はそのことは考えていた、でも考えれば考えるほどこのわけのわからぬ世界で全く知識も技術もなく知っている人もいなく、あともう少しで退院だというのに何も思いつかなくて、正直絶望していた、まず間違いなく生きてはいけぬだろう

「いえ、ないです、まったくなにも…」

そんな虚ろ気な顔してアトラス城とその広い城下町を眺めるリクをじっと見つめる長身イケメン

「同情するよ、僕だったらきっとそんな状況に耐え切れなくて自分で喉をかき切って自殺していたかもしれない、すくなくとも正常な精神状態ではいられないな、いやこれは今の君には失礼な言葉だったすまない」

「いえ、そんなことはないです心配してくれてありがとうございます」

リクはそれだけ言うとその場を離れようと背を向けようとした

「リク君!」

長身の人が不意に呼んだ

「うちで働かないか?」












読んでいただきありがとうございます

シルバーウィークですがそんなの関係ありません

次は今週の土曜までに投稿したいと思っています

よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ