うごくしたいーだいいっぷん
世の中には奇妙なことがある
その日私はいつものように
深夜の時間帯
電話をただ待っていた
しかし正直待ってはいたが掛かっては欲しくないと言うのが普通だろ
それこそ掛からない日はほとんどない
でもだけれども
私は電話なんぞ望んでいないけれども
「ピーーーーー」
無機質なつんざくような音
そしてその後に赤く点滅するライト
私はすぐさま無機質な受話器を取る
「はいこちら警察署です、どうかされましたか」
「つまり被害者の電話を受けたのが
二時間前、即ち深夜十二時
そして今現在
即ち
深夜二時
そして今ここにある死体の死亡時刻が・・・」
「あの実は、実は」
「落ち着いて下さい」
「・・おおおっ落ち着いて何て」
「・・・・何があったんですか」
「・・じ、実は死体が」
「・・・死体ですか・・・それは何処ですか」
「・・・丸罰町の公園です・・丸罰公園の噴水の前」
「・・・・その死体の状況は」
「・・・すごい出血で・・・あぁあもう私」
「あっあの大丈夫ですか・・・」
そして電話が切れた
すぐさま救急隊に連絡
現場に警察の派遣をした
「しかし妙ですね・・・どうして死体を引きずった後があるのでしょう
これは死んだ後に誰かが引きずった物なのか
それとも被害者が息ある内にどうしても噴水のそばに何かがあり来たがったのか・・・しかも問題なのは、死亡時刻が電話の時間の後十五分後な事なんです」
最新の検死は一分単位で物事を計ることが出来る
それこそ温度でごまかすことも、腐臭を早めることも出来ない
そして検死の結果
電話の後に被害者は死んだことになる
しかしそれは死んでいると電話の目撃者が、間違って思いこんでいて
実は生きていて
その後に、と言うことも考えられるが、しかし
「しかし、もしも被害者が電話の時点で死んでいなかったとしても
その後で死んだなら、おかしな事があるんです」
私に事情聴取を聞きに来た刑事がそんなことを言って私を見た
その青いスーツ、年齢は若いようだが
何処かのっぺりとした
熟年の感じ悪い雰囲気も醸し出している
そんな年齢は読めない刑事が聞く
「これを見て下さい」
そこには殺害されたときに殴打されてズレたのだろう
腕時計が粉々に割れ
その間に血が滴って赤い色をしている
「・・・時間が十二時十三分」
「つまり、あなたが会話をした最後の時刻が十二時ジャスト
時差が殆どどころ家内この世界で、これはおかしい
それとも」
奴はそう言って嫌に笑って
「未来から掛けて来たのでなければ」
そう言って冗談だという
しかしどう言うことだろう
被害者は女性であり
電話をしてきた人物も女性であった
そして現場では
なぜか噴水から離れた場所から
わざわざ噴水の近くまで運んでいる
尚、噴水から離れている時点で
その出血量は死亡に値する物だったことから
死亡場所はその離れた所だと推察される
しかし更に不可思議なのは
どうして死んだ人間の死亡時刻がズレてしまったかだ
しかしこの謎は実に簡単なことだったのだ