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第四話 兵科配属


そして入学式… このあと兵科配属が始まる…


伝統により兵科選択はコネというヒモ付きの成績順で行われる。軍参謀などのエリートは騎兵科が最大派閥であり、出世するには騎兵科に入るのが最近のトレンドであるらしい… 私、ルーナは馬とは話せるので辺境でも騎乗は得意ではあったので、体術は馬術を選択して試験に臨んだ… でも入学試験にこういう裏があったとは… さきほどの式典の前に学長の話を聞いて、私は閉口したのであった…


兵科の登録ホールには、各兵科ごとにテーブルが並んでいる。


教官が、事務的な口調で説明する。


「以上が、各兵科の概要だ。配属は、基本的に本人の希望を尊重するが、我が校の伝統を担う義務があることを、忘れないように!」


その言葉と共に、教官や学生達の粘りつく視線が、私に刺さる。


これから成績順に名前が呼ばれる。おそらく、ほとんどの有力貴族の子弟たちは、迷いなく「騎兵科」へと向かうのだろう。たとえ後にふるいにかけられようが、男子たるもの一度は夢を見るものなのであろう…


結果、歩兵科に集まるのは、騎兵科を志望し、能力がない、コネがないと言って落とされたもの。魔法使いを目指し落伍したもの達、剣術などには秀でるが、馬術ができない貧しい家のもの達、平民の貧乏な家族、農家の三男、そして民間でよい就職がなかったもの達… 要は、家族や社会から、余分だとされたり、要らないとされた子達も多いのである。


そういうものの寄せ集めが歩兵科…


しかしながら、補給を担うのも歩兵科、陣地を作るのも歩兵科、大事な衛生兵だって歩兵科、そして最も戦死者が多い前線を作るのがこの歩兵の役割なのである。要は軍の一般コースなのだ。他に魔術師コース、弓兵コースなどもあるが、これらは特殊技術を必要とする科となる。



私の名が呼ばれた。


「首席、ルーナ・ノーヴァ。いや、ルーナ・シュタインフェルト・ノーヴァ。前へ」


ホール中の視線が、一斉に私に突き刺さる… 


好奇、侮蔑、嫉妬…様々な感情の濁流。私は、その視線を風のように浴びながら、静かに歩き出した。


「ノーヴァ君。我が校の習わし、異存はないかね?」


それは、質問の形をした「同調圧力」…


私の敵は特定の誰かではない。この場にいる全員が、そしてこの学園の「常識」そのものが、敵なのだ。 私は教官の目の前で足を止めた。

そして、ホール中に響き渡る声でこう言った。


「大いにありまぁす!」


空気が凍りついた。教官の顔が歪む。

私は準備された騎兵科のテーブルには一瞥もくれず、その隣を通り過ぎた。

目指すは、ホールの隅にひっそりと置かれた、地味な「歩兵科」のテーブルであった。



「ま、待て! 何を考えている、ルーナ・ノーヴァ君!」


教官の、慌てた声が背後から飛ぶ。


「首席が自ら歩兵科を選ぶなど前代未聞だぞ! 我が校の伝統を汚す気か!」


私は、歩兵科のプレートを手に取ると、ゆっくりと振り返った。

そして、ホールにいる全ての「人間」たちに向かって、こう宣言した。


「私は出世するために、ここへ来たのではありません!」


「私は戦場で、勝つために来たのです!」


「おじいさまは、おっしゃいました。『戦場の主役は、いつの時代も歩兵である』と」


「私、ルーナ・ノーヴァは、この「歩兵科」で!王国最高の軍参謀となって見せます!」


私はそう言い切ると、嘲笑と困惑が入り混じる中、澱みない声で歩兵科への所属を表明した。


これはこの学校に対する、私の最初の第一歩…


これから始まる孤独な戦いの宣戦布告なのであった。



私への視線はすこし気になったが、虫の中にいると思って、私は入学式セレモニーを無事に終えたのであった。

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