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第二十三話 観察
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先ほどまでの騒動は終わり、静寂が夜の闇を包み込んでいた。
この平原を見下ろせる丘の上に、一人の男が、静かに立っていた。
「お兄様… やはり、来られていたのですね…」
その静寂を破ったのは、白い神官のドレスをまとった女性の声…
いつの間にか男の背後には、一人の女性が佇んでいた。
男は振り返らない。
ただ黙って、頷く。
それが彼の返事だった。
女性は、男の隣に並び立つと、
眼下に広がる「結末」を静かに見つめた。
「あの、少女。この軍勢を一兵たりとも見逃さず、全滅させましたわ…」
「この手際… 完璧な殲滅… 見事な腕前です…」
そして、ふぅと、小さなため息をつく。
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「ですがこのままでは、彼女がこの国で生きていくことは難しいでしょうね」
「何か彼女を救うための、『策』でも、あれば良いのですが…」
その問いの形をした「提案」に、男は、再び無言を続けたまま、こくり、と頷くのであった。
彼らの中ではこの盤上の「駒」をどうするか既に答えは出ていた。




