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第十九話 偵察


魔法支援のない歩兵部隊…

歩兵支援のない魔法兵部隊…


それらは魔法兵のバックアップを受けた正規騎兵部隊の前に敗北した。

学生たちの散発的な抵抗は、サンフォーレ皇国軍の前では、無力同然だった。


勝敗は決した。


サンフォーレ皇国軍の誰もがこう思った。

もうこの士官学校の寄せ集めの軍に、

組織だった反撃能力など残ってはいない、と…



「将軍。あれをご覧ください!」


サンフォーレ皇国軍の斥候が声を上げた。


彼が指差すその先… 平原の中央小高い丘の上に、一本の「フロストヴァルド王国旗」がライトアップされ、まるで我関せずとでも言うかのように、悠然と舞っていた。


先ほどの抵抗が本陣だと思ったが、ここが敵の「本陣」…


「フン。まだ、諦めておらんのか。愚かな…」


将軍シュライヒャーは眉を歪めた。



普通なら主力が崩れた今、皆が逃げ出すはずの状況。

だというのにあの「旗」は動かない。


「罠でしょうか?」


「かもしれんな。だが、あの本陣を叩き潰さねば我々は首都へは進めまい」


シュライヒャーは決断した。


「斥候部隊、前へ!」


「威力偵察だ。あの本陣の化けの皮を剥いでこい!」


その号令一下。十数騎の精鋭騎兵が本隊から分離し、威力偵察を兼ねた示威的な「突撃」を敢行する。彼らの目的は敵を倒すことではない。恐怖を与え相手の「反応」を見ることだ。



ドドドドドドドドッ!!!!


蹄の音が大地を揺るがす。

それは死の足音…

その圧倒的な「恐怖」を前にして、

本陣の手前で、かろうじて槍を構えていた新入生たち…


ルーナに鼓舞されてかろうじて保たれていた、彼らのなけなしの「勇気」は、いともたやすく砕け散った。



「ひっ…! ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

「き、来た! 来たあああああ!!!」


モビオたちは、もはや戦うことすら忘れ、

武器を放り出し失禁しながらただ泣き叫び、

蜘蛛の子を散らすように逃げ惑い始めた。



「将軍! 敵本陣、完全に崩壊しております!」

「指揮系統は、皆無! 歩兵がションベン漏らしながら逃げ惑うのみ!」

「罠の類も一切確認できません! もはや敵ではありません!」


そのあまりにも無様で哀れな光景…


「フン。やはりただの子供の集まりか」


哄笑するような声で報告する斥候の報告を聞いていたシュライヒャーは呟いた。


無理もない。学生しか残っていないということだった。


指揮官も上官もいない素人同然の軍隊などそんなものだ。


しかし彼らを正々堂々と打ち取るのが礼儀というもの…

将軍は全軍の突撃、その後の王城への侵攻を命じた。



「全軍、前へ!」

「あの忌々しい『旗』ごと本陣を踏み潰し、そのまま王都へと雪崩れ込むぞ!」


「「「オオオオオオオ!!!!!」」」


もはや勝利の鬨の声である…


士気が最高潮に上がった鋼鉄の軍勢は、「通過点」と定めた平原へと一斉にその歩を進めた。



しかし…


ルーナ・ノーヴァは、

逃げ惑うモビオたちを眺めながら、


その最高の「実演」に、心の中で満点をつけながら、誰にも聞こえない声で、ただ静かにこう呟いていた。


「計算通り…」

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