scene 2
真っ白な場所に立っていた。
1人、また1人と現れ、視線を合わすことなく慧を避けていく。
知らない人たちばかりだ。
いつのまにか雑踏の中にいた。
ぶつからないよう、気持ち視線を上げようとした、その時だった。
『――にゃあ』
鳴き声が聞こえて、人が止まる。
合間から見えた猫だけが動いていた。
顔を洗う三毛猫。
美人さんだった。
その子に視線を向けると、走り去ってしまった。
慧は追う。
人ごみを縫って、かき分けて。
背景のない、白い世界を。
壁ひとつない、平坦な世界を走る。
この非現実感が、夢なのだと。
どこかで感じながら。
『――かわいいな』
後ろから聞こえた声に振り向くと、追っていた子を撫でる青年がいた。
むらのない綺麗な銀髪に中はパーカーと、ブレザーを着崩す彼もまたすれ違った内の1人なのだろうか。
あるいは絡まれた?
しかし、そんな苦い思い出はない。
『名前は?』
『 、だよ』
ノイズが邪魔をする。
けれど、自分じゃない自分が、自分の口から猫の名を言ったのは確かだ。
銀髪の青年が表情を和らげる。
ねぇ、キミは……?
滅多に見ない夢を逃すまいと、問いかけた――――ら最後、目が覚めてしまうのは分かっていた。
気づけば、そこは見慣れた部屋だった。
夢の断片なんてどこにもなくて、頭がすっきりしていくのに比例して内容も消えていく。ベッドから出る頃には、もうほとんど覚えていない。
視界もかすむ。
今度は、色味のない現実に立っていた。




