エピローグ.運命の人を確かめるための旅立ち
「ん……んぅ……」
目を覚ます。
もうすぐ時雨島に着くらしい。
荷物の支度をしなくては。
「お、珍しいね!観光かな?」
茶色い髪の少女が、僕に声をかけてきた。
彼女の頭に目がいったのは、髪留めに既視感があったからだ。
スーツケースを開く。
全く同じ髪留めを少女に手渡した。
「え、これ、どこで見つけたの!?
失くしちゃっててさ、困ってたんだ!
ありがとね!」
途中、駄菓子屋があったから、少し休憩していた。
座敷で食べるかき氷は秋でも美味しいと感じる。
家で荷物を整理していたら、灯台が目に留まる。
好奇心で行こうとしたことを少し後悔した。
途中無人販売所があった。
そこでは青髪の少女が熱心に野菜を見ている。
何をしているのか尋ねてみた。
「え?野菜泥棒がいないか、監視してた」
有人販売所だったようだ。
「どうかな!このブロッコリー!
なかなかの大きさで、茹でてよし!焼いてよし!サドルよし!
どうかな!?」
とりあえずサドルだけは勘弁願いたかった。
道中、海辺にキラリと青いものが光った。
まぁ、僕には関係ないものだ。
僕は自然と山道を登っていた。
さっきから小ぶりな雨が降ったり止んだりを繰り返すようになった。
この雨、あれだ、時雨だ。
凄く険しい山道だけど、僕はなぜだか登り慣れている。
そんな気がした。
登り切ると、そこには神社があった。
時雨神社。
よく、知っている、気がする。
あそこの階段がちょうど座りやすいんだ。
ほら、あの巫女さんも座っている。
「ここで待ってたら、会えるって思ってました」
白いツインテールがぴょんぴょん、揺れた。
「はじめまして、つかぬことをお聞きしますが」
時雨島。
運命の人と諦めなければ、必ず結ばれる島。
それなりの覚悟を持ってお越しください。
「あなたは、私の、運命の人ですか?」
それじゃ、一緒に確かめに行こうか。