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第六話
リーラは畑仕事を終えて村の端っこにそびえ立つ巨木の根っこに腰掛けていた
風がリーラの頬を撫でる中
前日まで読んでいた本をゆっくりと開きよみはじめた
この時間はリーラにとって幸せの時間のひとつで誰にも邪魔されたくない時間もある
それは場所からも言えていて、村の端っこということは、森との境目でもある
それは魔物が出現するかもしれない場所でもあるのだ
なので、リーラにとっては誰もこない穴場であった
しかし今日に限ってリーラの期待を裏切った
それは、本能で感じ取っていた違和感
いつもなら聞こえている鳥の声
頬を撫でた風の冷たさ
普段ならそこまで大きく揺れない森の葉
一つ一つがリーラの本能を騒がせた
しかし、なぜだが“怖く”は感じなかった