古風なキャンプ<Old-Fashioned Camping>
相田に連れられ、近くのキャンプに来た愛乃と美咲。
「着きましたよ。」
相田が大きな扉を開きながら言う。
相田が開けている扉は錆びていて、ギィギィと音を立てながら空いていく。
扉が空ききると、愛乃たちは中の様子を見て驚きを隠せなかった。
「わぁ。すごく綺麗。」
中はこちらの世界でいう昭和のような街並みで、ものすごく《《綺麗》》な状態だった。
「...よくこんなきれいな状態を保てていますね。」
美咲は疑問に思った。
相田はそれに対し
「ここのキャンプは防衛機能が特徴ですから。」
相田はそう答えた。
確かにこのキャンプを囲っている壁には投石器や大砲、対物ライフル、戦車が控えていた。
ほかのキャンプにはせいぜい投石器と大砲しかない。
「なぜ近代兵器をお持ちなのですか?」
美咲が尋ねる。
それに対して相田は周りを気にしながら耳打ちするように答えた。
「あまり大声では言えないのですが、このキャンプには軍人の方が多くいまして、更に近くに軍事基地があるのです。」
「なるほど道理で...」
先ほどから美咲だけが話しているが、愛乃はすでにキャンプの中を見て回っていた。
「ねーねー!美咲ー!早く来なよー!」
すでに一周回ってきたのだろう愛乃に催促される。
「はぁ、まったく。落ち着きがないのだから。」
「ふふっ。まぁこんな綺麗に街並みが残っているキャンプは少ないですからね。」
「それでは相田さん。またどこかでお会いしましょう。道案内ありがとうございました。」
美咲は相田に礼を言い、愛乃の元に駆けていく。
「ええ。またどこかで。」