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『で!? さっそく、その透明ドローンをとばすわけ!?』
「まぁ、待て。その前にやることがある」
はしゃぐユーニをなだめ、オレはドローンのリモコンを手に持つ。
『うん?』
かわいらしく首をかしげるユーニ。オレは合体アプリに入力する。
入力1『ドローンのコントローラー』
入力2『スマ――』
『ちょおっと待ったぁ!?』
ユーニの叫び声が部屋に響く。思わず指で耳をふさいだ。
――ちっ! 勘づかれたか……。
『なにあんた、わたしん家を合体させようとしてるわけ!? ぶっ殺すわよ!?』
「いや、一応それ、オレのスマホなんだが……」
合体アプリを消せないから実質ユーニの家と化してしまってはいるが……。
『ダメ!! これはダメよ!! てか、こわいもん知らずねあんた。いい度胸してるわ……』
急激に膨れ上がるユーニの殺気。背中が冷や汗でベトベトする。
――ここ数日で学んだ。コレ、あかんやつ!
「わ、悪かった! 悪かったよ! でも、ドローンをスマホで操作できたら便利じゃん!?」
謝りつつ実利で訴えてみる。
『むぅ~~~……っ!!』
「そ、それに、ドローンで撮った画像、スマホに送れるから色々相乗効果があってだな……。お前も手軽に楽しめるぞ?」
なんとかゴリ押せないだろうか? ユーニはうんうんうなっていたが、やがて顔を上げる。
『ちょっと待ってなさい。話をしてくるから』
「誰と?」
『教えない。わたしん家を合体させようとするやつには教えない』
ユーニ、激おこだ。
ユーニは画面奥に引っ込むと、やがてどこかと会話を始める。
『おじさん? ……ぅん。……そう。……合体アプリには手をつけずに……そう……新しいアプリで……ぅん。でも、こっちから操作できるようには……ぅん。――そうね。ヤツはいずれわたしが……』
……よくわからない会話だったが、その最後にスゴい悪寒を感じてしまう。
ユーニが戻ってくる。先程よりはいくぶん機嫌が回復している。
『いいわよ』
「お、おぅ。……じゃ」
入力を済ませ、確定をタップする。
すると、いつも通り光が発生し、リモコンとスマホを包む。
やがて光が消えると、手の中にスマホだけが残った。
――合体結果『スマホ改』
「ひねりもクソもねぇ……」
『ふん……!』
ユーニは息災だった。だが、機嫌は悪い。腕を組んでそっぽを向いている。
そして、スマホには新しいアプリ『ドローン』があった。どうやら、無事成功したようだ。
――ぶっ殺されなくてよかった!!




