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『ねぇ、引きこもりぃ?』
「それはオレのことか?」
『あんた以外に部屋に誰もいないでしょうが』
ごもっとも。
「イェス、マドモアゼル?」
『やめて。心底キモい。あんた自分の歳を考えなさいよ。キモいを通り越してエグい』
「そこまで言うか!?」
泣きそう。てか、既に号泣してる、心の中では。
「オレは働いてるし引きこもってはないだろ?」
『いや、働いてない時なんて、スーパー、コンビニくらいしか行ってないじゃん、あんた……』
なんか今日、妖精女――あらためユーニ、辛辣じゃね?
「いいだろ別に。用無いんだから」
『よくない。飽きる。お外に出て合体させようよ~!!』
スマホの画面内で手足をジタバタさせて暴れている。
仕方無いなぁ……。
「どこ行きたいんだよ?」
『アウトレットモール』
「やだよ。人混みキライ」
『じゃあ、映画館』
「映画の俳優を合体させたら観客阿鼻叫喚だな」
想像すらしたくない……。
『じゃあ、いいわよ。あんたの好きな場所で』
「いや、それが中々無いんだよなぁ。強いて言うなら家電量販店とかか?」
『うわ。だからモテないのよ、童貞』
「だからやめろって。ナチュラルに俺の心をエグるの」
とりあえず、なんだかんだ外に出ることに。家電量販店に車で向かった。
◆
――サトウデンキ――
『ふぉお~~!? 結構面白そうね! 家電!!』
ユーニの声がもれたら気まずいので、スマホにイヤホンをさしている。これで外にはもれないだろう。
外からは、マナー悪く歩きスマホしてるおっさんにしか見えないはずだ。
しかも画面に映っているのは妖精のごとき女。
スマホを覗きこまれたら『ウワッ……』てどんびかれること間違いなしだ。
スマホの画面からユーニがキラキラした目で周りを見回している。異界では珍しいのかもしれない。
なんとはなしに店内を歩いていたが、とあるコーナーが気になり足を止めた。
「ドローンか……使えそうだな」
『ん? なにそれ、合体候補?』
「ああ。空に飛ばして地上を撮影する機械だな」
『うわ、最低! のぞき魔極まってるわね……』
そんなにドン引かなくても……。
「やりよう次第で結構面白いことができそうなんだよ」
『じゃ! 早速合体!!』
「さすがに店内で光が出たらヤバいし、金は一応あるから買ってこう」
『律儀なのね。迷いなくオピーを爆誕させた男とは思えないわ』
「ふっ、ほめるな」
『ほめてないわよ?』
そんなこんなでドローンを買った。
そして、帰りがけにホームセンターにより、いくつか必要なものを買い込んで帰宅したのだった。
『早く早く!! 家帰って合体!!♪』
はしゃぐユーニの驚く顔が今から楽しみだ!