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「結構面白いな、コレ」
『でしょ!? やっとあんたにもコレの良さがわかってきたようね!!』
合体アプリをボソッとほめると妖精女が過剰に反応する。お前が作ったわけでも……アレ? どうなんだ? 聞いておこう。
「そいや、お前ってナニ? 自律思考型AI?」
『うん? なにそれ? 難しい言葉、知ってるのね』
妖精女は頭にクエスチョンマークをのせている。本当に知らなさそうだ。
「誰かにプログラムされたデータかって聞いてるんだよ」
『殺すわよ?』
――だからいきなり殺気を放つのはやめて!!
「す、すまん。えと……お前、名前は?」
『ようやく聞いてきたわね! わたしはユーニ! 異界から来た旅人よ!!』
「はいはい、ワロスワロス」
『殺す』
「うが!?」
し、心臓が痛い……!
「急に殺しにかかるのはやめてくれ!?」
『あんたがバカにしたからでしょーが』
「だって、あからさまな嘘だし。アラフォーなめんな」
『一度親父狩りにあった方がいいんじゃないかしら、こいつ……』
ほらね? 親父狩りなんて言葉、異界人が知ってるのはおかしいだろ!?
と言ってやりたいが、また心臓にダメージは受けたくない。
「なんか証明できるもんは?」
『まさか、脱げっての? 変態!!』
「ちゃうわ!!」
妖精フェチってどんなだ!
『合体アプリじゃダメ? この世界にこんなん無かったでしょ?』
「そりゃまぁ、確かに……」
『わたしが作ったのよ? ほら! あがめなさい!! たたえなさい!!』
地球の文明レベルを越えてるのはまず間違いないだろう。異界から来たのかはともかく、異常な存在であるのは間違いない。
『今はそれで納得しときなさいな。減るわけでもなし』
「オレのメンタルが減る」
『はいはい、ワロスワロス』
――くっ! 返された! なんか悔しい!!
『ぷぷぷ! どぉ~? やり返された気分はどうですかぁ~?♪』
エーゲ海にしずめてやりたい。なんとなく。
『ま、あんま細かいことは気にせず励みなさい? ハゲるわよ? あ、もう手遅れ――』
イライラして思わずスマホをスリープモードにしてしまった。そして、ただちに襲い来る心臓痛。
震える手で仕方なくオンに。
「あおっといてそれは鬼畜過ぎだろ!?」
『まったく。あんたもこりないわね。――まぁ、ちょっと言い過ぎたわ。わたし達はもうパートナーだし、仲良くしましょ♪』
「わ、わかったよ……」
現金な話だが、“パートナー”という響きに、どこか嬉しさを感じてしまっている自分がいた。