80 王女の誘惑 ①
R15になります。嫌な方は飛ばしてください。
わたしはニキアスの前で寝間着を一枚ずつ脱いでいき、下着も取ってあっという間に全裸になった。
(今こそ…マヤの処女を奪われるのではなく、マヤが自ら捧げる展開に変えるのよ)
そして眼を見張って驚く顔のニキアスを目の前にし、両手を広げて言った。
「ニキアス…抱いて欲しいの」
「マヤ…止めろ」
「お願い、ニキアス…今これが必要なの。わたしの事が嫌いでないなら、少しでも好きなら…」
ニキアスはその説明の少ない言葉で何かを覚ったようだった。
「…こっちへおいで、マヤ」
暫くわたしの顔を見つめた後、ニキアスはわたしの伸ばした指に自分の指を絡めて、寝台の方へゆっくり引っ張った。
腰掛けたままわたしを目の前に立たせると、わたしを少し見上げながら、手のひらで頬を撫で指先でわたしの唇をなぞる。
ニキアスが、すぅと大きく息を吸った。
その唇の隙間から覗く舌の動きから、わたしは目が離せなくなる。
「…あっ」
ぐいっと大きな手でわたしの腰を自分の近くまで引き寄せると、ニキアスはそのままわたしの胸の谷間に顔を埋めて小さくキスをした。
そのまま耳をわたしの胸に押し当てて呟いた。
「…マヤの胸の音が早いな」
大きな手がわたしの肩から胸へ移動して緩やかに包み込んだ。
そのまま手のひらで、胸の頂の敏感な場所をつつ…と擦る。
「ん…あっ…」
思わず吐息が漏れてしまうと、ニキアスはわたしを見上げて濃いグレーの瞳を甘く輝かせてた。
濃く長い睫毛がニキアスの顔に影を落とす。
「…マヤは俺を誘惑しているのだろう?これでは足りないと思わないか?」
ニキアスは小首をかしげてわたしに悪戯っぽく言って私を見上げると、そのまま両手でわたしの胸を揉み上げて、指先で先端を弄びはじめた。
「さあ…もう一度可愛い声を聞かせてくれ」
*******
恥ずかしさと緊張で身体が上手く動かせずにいるわたしに、
「…マヤからキスして欲しい」
少し笑いながら言うニキアスのおねだりに、恐る恐る少しずつ唇を彼に近づけると、頭の後ろに手を回された。
ぐいっと急に引っ張られてニキアスとの距離が近くなる。
ニキアスの瞳にほんの少しだけ怯えている表情のわたしが映っている。
「ほら…早く」
じいっとわたしを見つめるニキアスに眼を合わせられなくて、少しずつ唇を寄せて行くと更にわたしの頭の後ろに回した手に力が入った。
そのままニキアスと重なった唇の隙間から、彼は舌先でわたしの唇をつついた。
「どうした…もっとだろう?」
唇を割るニキアスの舌が口蓋と歯列を丁寧になぞるとそのままわたしの舌を捕らえてしまった。
「ん…んぅ…」
そのまま息が出来ないほど口腔内を蹂躙されて、口の端から唾液が落ちる頃になってやっとニキアスのキスの洗礼から解放された。
その気持ち良さに、頭がクラクラしてしまう。
「ふぁ…あん…」
「…マヤ…」
ニキアスがそんなわたしを見て困ったように笑いかけた。
「…本当に誘惑する気があるのなら、相手を夢中にさせなければ…」
******
ここでわたしは、はたと思いあたった。
(そうだった…!これじゃマヤから誘惑した事にならないわ)
幼い頃から女性を抱き、男性までも相手していたアウロニア帝国将軍ニキアス=レオスが相手なのに、ふにゃふにゃと溶けた反応するばかりでは『誘惑』どころか負け戦ではないか、という考えに至ったのだ。
(ああ困ったわ…全くお手上げじゃないの)
経験で考えるならばマヤ王女を当てにするのは無理、と言うか無駄だ。
世間知らずの王女で恋愛経験も無い。
(早婚で十代で子をポコポコ生む時代に)
この御年二十二歳位まで多分、何も無い。
全くの初心者・喪女。
下手をすればセックスの知識すら無いかもしれない。
(いや…流石に言葉は知っているだろうけれど)
(転生ものって普通はアバズレ姫君が実は清純でしたパターンじゃないの?)
わたしをそっち要員で、当てにしているってのは本当に無しにして頂きたい。
(確かに経験があると言えば記憶はある…けれど、ニキアスみたいに経験豊富じゃない)
『というか分母数が…経験数自体まるきり違うでしょ』
とマヤ王女に恨み言を言いたくなった。
そんな事をわたしが頭の中でグルグルと考えていると、ニキアスが少し寂しそうに微笑んで言ったのだ。
「マヤ…もう止めよう。君の気持ちは嬉しいが無理に俺としなくていい」
お待たせしました。
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