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嘘つき預言者は敵国の黒仮面将軍に執着される  作者: 花月
1.嘘つき預言者の目覚め
59/255

58 奪取 ②



ニキアスはドゥーガの加護を使いテントの外の森へ知覚を広げて探ってみたが、なんの気配も音も確認出来なかった。


(…おかしい)


気配も音も無さすぎる。


通常であれば暗闇でも分かる生き物の気配が、僅かでも感じられ無いのは不自然すぎた。


ニキアスがふと白い親犬の方を見ると、立ち上がって森を見つめる犬は、ずっと一点方向を見ているようだった。


そして、何か確認したかのようにわずかだが唸り始めた。


「お前も変だと感じるか?」


(…なにかを警戒しているようだ)


親犬のただならぬ気配に、仔犬も目が醒めて、ウロウロと歩き出した。


ニキアスは片手で仔犬を持ち上げるとテントの中へ連れて行った。


マヤはすでに着替えを終えていたので、ニキアスはひょいと子犬をマヤへ渡した。


マヤは心配そうに言った。

「ニキアス…何だか変です。空気が…」

「…ああ、そうだな。探知できないから、多分俺よりも強い神の加護を持つ者が何処かに潜んでいる様だな」


言葉は緊張している様には思えないが、ただならぬ事が起こっている雰囲気をマヤは彼から感じた。


「そんなニキアスよりも…?」


ニキアスの言葉を聞いてマヤは愕然とした。


『亡国の皇子』の中でニキアスは、ドゥーガ神の加護を纏っている限り、

最強といってもいい程の戦士だ。


『ドゥーガ』を退けるクラスの神と言ったら、兄姉神の『メサダ神』『コダ神』『レダ神』のどれかだ。


若しくは考えたくない恐ろしい事だが、全く異なる力を持つ末神ヴェガか。


いずれにしろ警戒すべき相手であるのに違いは無かった。


*****************


「――ボレアスは気づいたな」


アナラビは白い犬の視線を感じて言った。


「こっちを真っ直ぐ見ているのを感じるぜ」


「さて、じゃあ目的を確認するぞ。まず国爾だろ、それからゼピウス国のお宝、そしてレダの預言者の女…ついでにボレアスの子供だ。

――優先順位については…」


後ろに控えるタウロスの顔を見てニッと笑った

「まあ、できれば全部だな」


「アナラビ…」

「分かってるって。オレたちは飽くまで義賊だ。『余計な殺生はするな』目的以外の殺しや盗みは絶対禁止、あと女を暴行した奴もタマを切り取ると言ってんだろ?」


タウロスは頷いた。


アナラビはポキっと指を鳴らしながら

「二キアスは手強いぞ。オレはまだ一人じゃムリだからなぁ…タウロス気張れよ?」


アナラビは籠手を付けながら音も立てずに樹々の間を歩いて行った。


その時、静寂を破るようにボレアスが遠吠えを数回した。


「ちっ、ミリス(犬兵)を呼びやがった。急げ、集まる前に作戦遂行だ」


アナラビの常人の数倍ある聴覚で、草を掻き分けて軍隊へ走って森の中を戻る犬の足音が聞こえてくる。



***************



犬の遠吠えが始まると、兵らも一斉に起きてテントから顔を出した。


「な、なんだ…なんだ?」

「犬の声?何だ一体、獣…?敵か…?」


ニキアスの耳にやっと襲ってくる敵の足音が聞こえてきた。


ニキアスは天幕をばさっと開けると籠手と剣帯だけ付け、剣を腰に素早く差した。


そして、子犬を抱きしめ心配そうに立ち尽くすマヤへ大声で伝えた。


「マヤ、取り敢えずすぐ動けるようにはしておけ。ユリウスが来るから、潜んでおけよ」


ニキアスは天幕の外に立てかけてある大槍を持った。


ちょうどその時、簡易的な鎧を身につけたユリウスがこっちへ向かって走ってくるのが見えた。


「ニキアス様、敵襲ですか!?」

「姿が見えないが多分そうだ。しかも相手は上級の加護持ちだ…厄介だぞ」


ユリウスは目を見開いて『こんな所で加護持ちが?』と驚いていたが

「警戒する様に伝えてきます」

と直ぐに返した。


お待たせしました。


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