表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つき預言者は敵国の黒仮面将軍に執着される  作者: 花月
3.亡国の皇子
242/260

71 神の誤算 ①

後半R15、BL要素と近親相姦的要素(?)あります。

苦手な方はお気を付けください。



幾つもの陽炎の様な影が部屋の中で揺らめいていた。

床に空が鏡の様に映り、幾つもの太陽が眩しく輝いている。


部屋の主は丈の短い人間の少年が着用する様なチュニックを着ていた。


端正だがどこと言った個性の無い顔に、ガラス玉の様に透明な瞳の少年は、彼にとっての下界を観察しているのだ。


傍らに立つ艶やかな褐色の肌と逞しい筋肉を持つ彫像のような美青年が、ガラス玉の様な瞳を持つ少年――『メサダ』神へと言った。


「よしよし…どうやらレダが勝手に進めているようだが、当初の我等の目論見通りに、ニキアスが皇帝への憎しみを順調に募らせている」


朗々とした『コダ』神の美しい声はルチアダ神を喰らった事で、聞く人を全て魅了してしまう程の威力を秘めている。


『メサダ』神は隣に立つ逞しく長身の男を見上げると、その肩に甘える様にしな垂れかかった。


「ええ…計画が軌道修正されました。僕等の『『メサダ』の預言書』、いや仮の『亡国の皇子』と云うべきでしょうか。その通りの流れに…」


『メサダ』神は甘える様に『コダ』神を見上げると、少し興奮した様に言った。


「兄上…これでニキアスが予定通りガウディを殺せば、我が王子ギデオンが弑逆罪を引下げてレオス家から王位奪還の戦の流れに持ち込む事が出来ます」


「…当初の予定では、マヤにはアウロニアが戦時に巻き込まれるまでには死んでいてもらわなければならなかった筈なのだが」

『コダ』神は囁く様に言った。


その言葉と共に甘い花の香りが辺りに漂っている。


『メサダ』神はその香りをうっとりとして嗅いだ。

その濃厚な香りを嗅ぐと、何故か身体が――特に下半身がむずむずとするのだ。


「ええ、その予定でした」

「『ニキアス=レオス将軍は、ハルケ山の惨劇にて兵とガウディ皇帝の信頼両方を失ったのだ』の件だな」

整った顎を撫でながら『コダ』神は呟いた。


本来であれば後のギデオンの妻になる人間の女――オクタヴィアがニキアスの軍に忍び込んで、ハルケ山のマヤの神託内容を暴露する筈だった。


そして怒ったニキアスに()()()()()()()()()()()()()()()となって、長く準備を重ねてきたこの計画(『メサダ』の預言書)が始まる予定だったのだ。


 *****


「そうです。ハルケ山の土砂災害で『皇軍』(ティグリス)の一部と『宝』(玉璽)を失ってしまったニキアスは、皇帝ガウディの怒りを恐れた。

だからこそ事前のその情報を知っていながらわざと隠したマヤ王女を許さなかった。強姦し、しかも生きて火炙りという惨い方法で彼女を殺した」


首都ウビン=ソリス(太陽の都)でニキアス将軍の報告を聞いた皇帝ガウディは、激しくニキアスを叱責した。


そのニキアスの行動はガウディにとってはかつての義弟ゼノと同じ行為、いやそれ以上だった。


「何故なら――皇帝ガウディ=レオスは…『レダ神の預言者』(マヤ王女)を連れて帰って来て欲しかった。心の奥底で『自分の母と同じ預言者に会いたい』と思っていた――からだな」


『メサダ』神の心をそのまま読んだかの様に、『コダ』神は話しを続けた。

『メサダ』神は小さく頷くと、透明な瞳でアウロニア帝国の中心である皇城と皇宮を見下ろした。


「冷酷、非道が売りの皇帝なのに」

『メサダ』神はバカにする様に、ふふんと鼻で笑った。


「僅かでも人の心を持っていたとは…笑わせますね」


 *****


『コダ』神は自分と似た容姿を持つ人間の男を冷ややかに見つめながら、

「…まあ、そうだな。その筈だった予定がすっかり狂ってしまった。我が姉上...麗しのレダが、小賢しい策を弄した為にマヤ王女が生き永らえたばかりか...反対にあの娘の処女を使ってニキアスの恋心を縛るという離れ業を使ってくれたお陰でな。しかし…」


美しいがぞっとするような薄笑いを『コダ』神は浮かべた。

「しかし――ニキアス=レオスの本質までは変えられん」


「それはさて置いて、兄上…ガウディは何処まで知っているのでしょうね」

「うむ…あの老獪な『ヴェガ』神の事だ。自らが教えなくともあの小童(ガウディ)が知る様に仕向ける事も考えられるが…」


「ニキアスと同じくガウディもその本質までは変えられません。人間にしては賢いガウディも冷酷さ・残虐性を生まれ持ち、他人との共感を得る事ができない性格です。帝国を統一するまでに、どんなに多くの人々を無慈悲に大量に殺めてきたか。だからこそ…義弟ニキアスを始め敵も多いのですが」


「そう言った意味では、我等の王子(ギデオン)が世間知らずでも一番善良かもしれんな」


そう言って、『コダ』神はふふと花の様に鮮やかに笑い、そのままそっと少年神を抱き寄せた。


 *****


「…ニキアスもガウディの庇護の元にいてその愛を大人しく受け入れていれば良かったものを。そうすれば今頃どの女よりも遥かに寵愛を受け、楽に暮らしていたでしょうに…」


『メサダ』神は『コダ』神の首にゆっくりと腕を掛けると、可愛らしく小首を傾げた。

「僕の様に…」


そう言いながら、『メサダ』神はそのまま『コダ』神の美しい顔にそっと頬を寄せた。

そのまま美しく艶やかな褐色の頬に、口づけを繰り返した。


「ふ…それは無理な相談というものだ、弟よ」


『コダ』神は『メサダ』神の耳介を美しい形の唇でそっと食んだ。

長い舌を小さな耳介の中へと差し入れると、少年神は身を震わせた。


『コダ』神が更に屈んだ――芳しい香りのする鮮やかな長い金髪が、『メサダ』神の華奢な肩をするりと滑り落ちていく。


「ああ…兄上。愛しています」

『メサダ』神はうっとりとして言った。


チュニックの間から見える『メサダ』神のピンク色の小さな塊を見つけると、『コダ』神は舌をねっとりと這わせ、口に含んで転がした。

「んん…あ…兄上…」


甘い声を上げる少年神の小さな尻を撫で、『コダ』神はそのまま慣れた手つきで短いチュニックの中に手を入れた。


「兄上…気持ちいい…」

『コダ』神の忙しない手の動きに、少年神はビクビクと仰け反りながら、その細い身体を揺らした。


「それが出来なかった。だからニキアスはガウディの元から逃げた。あの時のニキアスに『出来なかった』理由はあるだろうが…まあ、その内容など意味はない」

「兄上…兄上。もうそんな話はいいです…」

「…おや?もう我慢が出来ないか。可愛いメサダ…お前はとても敏感だな」


『コダ』神の豪奢な長い金髪が、欲望に蕩けそうな小さな顔にはらりはらりと落ちる。


「しかし、『メサダ』よ。これはこの()()()()()()()()()()()()()だ。止める訳にはいかんな」

「そんな…ああ、止めないで。兄上…」


『メサダ』神の当てが外れた様な顔をさも満足そうに見下ろしながら、『コダ』神はお預けする様にぴたりとその手を止めてしまった。


「…わ、分かりました…ごめんなさい。それは…ん、ああ…な、何故なのですか?」

慌てて謝る『メサダ』神の声を聞いて、『コダ』神は再び『メサダ』神の弱いところを探りながらも話し始めた。


「ふ…元々あの二人は相容れぬ運命…どちらかに与することなど出来ないのだ。どう転んでも、どの未来でも…お互いが敵対する。だから姉上(レダ)はマヤをニキアスに殺させたくなかったのだろうよ。ニキアスにとって少しでも有利な条件にする為に――…」

「あ!ひっ…あ!ん、ああっ…!」


いきなり『メサダ』の細い身体が柳の様にしなった。

『メサダ』神の反応を見た『コダ』神は薄っすらと笑った。


「こんなに真剣な話をしているのに…可愛い『メサダ』、もう既にお前のここは…全て融かすか様に熱く滾っているな。いけない子だ」

「ごめんなさい兄上。でも、でも…」

「でもとは?…我慢出来なくなってしまったか。仕方がないな」


『メサダ』神の嘆願を聞いた『コダ』神は、やれやれと言った風情で優しい声のまま命じた。

「四つん這いになって、手でそこを広げ見せろ」


『メサダ』神はこくこくと頷くと、直ぐに言う通りにした。

チュニックを捲り上げ足を床に就き、あられもない場所を恥ずかしげもなく『コダ』神へと晒す。


『メサダ』神は熱く滾った坩堝の場所を自らの手で開きながら下から見上げた。

そして『メサダ』神は懇願する様にねだった。

「…兄上、お願い。今すぐ欲しいです…」


その欲望に負けた『メサダ』神の姿を『コダ』神は満足気に見下ろした。

美しく微笑むと、『メサダ』神の願いを直ぐに叶えるべく準備した。


蒸気が上がり全て融かすかのように滾るそこへと、『コダ』神は屹立した己を躊躇なく叩き込む。


「あ…あっ!…兄上…!」


『メサダ』神の甲高い嬌声と共に、一瞬『コダ』神の完璧な美貌に苦痛の表情が浮かぶ。

「熱いな。流石に太陽の神…私のも共に融かされてしまいそうだが…ふふ…」

がそれは直ぐに不敵な笑みへと変化した。


『コダ』神が少年神の腰をしっかりと掴みかき混ぜ、る様に穿ちながら激しく律動を始めた。


「…ああっ!兄上!あ、愛してます…」

「可愛いぞ、メサダよ…」


嬌声と水音が響くと同時に、空を写した部屋には立ち昇る陽炎の数が瞬く間に増えていった。


滴る汗を飛び散らせ、お互いが満足するまで二人の遊戯は終わらないのだ。


『コダ』神も『メサダ』神ももう気にも留めていなかったが、その二人の神の姿はかつてのガウディ()ニキアス()の姿にも重なった。


しかし睦事に夢中な二人の神々は、今はもう下界の人間の事などどうでも良くなっていた。

お待たせしました。m(__)m


読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク・評価いつもありがとうございます!


なろう勝手にランキング登録中です。

よろしければ下記のバナーよりぽちっとお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ