8 歪んだ愛 ②
お待たせしました。
後半、少し15Rになります。嫌な方お気つけ下さい。
ガウディは口に含んだ水と鎮静剤の丸薬を少しずつマヤ王女の口の中にと送った。
「…う…う…」
身体を強張らせたマヤ王女はガウディのトーガの前を手で掴み、ガウディの身体を思い切り退けようと押した。
しかし、いきなり口の中に入ってきた水と薬にビクっと身体を震わせると、マヤは小さくむせた。
水を全てマヤの口の中に送ったガウディは、彼女の耳元で囁いた。
「…出すな。全て飲め」
「……っ…」
また小さく身体を震わせたマヤは、途中喉を鳴らしながらも無理矢理水を飲み込んだ様だった。
少し上体を起こしてゴホゴホッと咳き込むマヤを横目で見ながら、ガウディはもう一度口に水を含んだ。
マヤ王女の身体を少し起こし、その頭を抱えてまた王女の口腔へと水を流し込む。
今度はむせずに少しずつ水を飲み込んだ王女は、全身を震わせたまま両目を見開き眼球だけを左右にキョロキョロと動かしていた。
マヤは一体何が起きているのかが理解できていない様子だった。
肩を上下させては荒い息を小さく繰り返している。
ガウディはそのまま寝台の横に置いてある小さなテーブルから、蒸留酒の瓶を取り出した。
アルコールの度数の強いそれは、ガウディが眠れない時の為に準備してあるものだ。
ガウディは酒を口にまた含むと、またマヤの頭を抱えて口の中にゆっくりと流し込んだ。
「…ん――!」
アルコールの強い刺激と香りにマヤはビクリとまた身体を震わせると、またガウディの身体を押そうとその手を振り上げた。
ガウディはその手を掴むと、直ぐに自分の指をマヤの指に絡めてぎゅっと握った。
マヤの口腔へとゆっくりと舌を入れ、強いアルコールが彼女の中へと浸透していく様に促していく。
もう一口。
そしてもう一口。
――更にもう一口…。
「ん…んん…」
強い酒を彼女の口腔内へと流し込む度に、ガウディはマヤの舌に自分のそれを絡めた。
王女の不規則な呼吸音と、酒と唾液の混じる小さな水音が薄暗い部屋で響いていた。
******
ふと目を上げると、部屋の僅かな蝋燭の光でも王女の蜂蜜色の髪は艶やかに光っている。
ガウディは力なく腕を垂らしたマヤの手から自分の指を離すと、ガウディの好む髪色の毛と王女の華奢で小さな背中を優しく安心させるように撫でた。
次第にマヤの瞼が少しずつトロンと落ちてくるのが分かった。
身体の震えが収まってくると、王女の呼吸も大分通常の状態へと戻ってきていた。
ガウディは王女の身体を横たえると掛物を掛けて、目を閉じさせる様に自分の手を彼女の両瞼の上へそっと置いた。
そして耳元で小さく囁いた。
「眠れ…マヤ。お前は何も悪くない」
同時に寝台の横の机に載せた燭台の火を消す。
ガウディが寝台からそのまま降りようとした――その時。
何かにトーガが引っ張られた。
そして
「…いかないで」
小さくマヤの声が聞こえた。
******
「行かないで…ニキアス…」
わたしは去っていく影に向かって手を伸ばした。
『お前は何も悪くない』
ぼんやりとした頭と視界で考えが纏まらない。
何も分からない。
『お前は何も……』
わたしは果たして本当にわたしなのか。
『お前は……』
自分が自分で無い恐怖と不安は募っていくのに、その考えを阻むかの様に…わたしの思考は端からどんどん散り散りになって煙の様に消えてしまう。
そして今はもうこの背の高い影が果たしてニキアスなのか、そうではないのか…それすらも分からない。
けれど――このままここに一人にしないで欲しかった。
「お願い…いかないで」
その影は暫くそこにピクリとも動かず佇んでいた。
(わたしの声が聞こえないのかしら…?)
…いかないで。
ひとりにしないで。
わたしを繋ぎ止めて、ここに。
お願いだから。
「ニキアス…お願い。行かないで…」
すると暫くして影はわたしの方に戻って来ってくると、伸ばしたわたしの手を取りぎゅっと握った。
(ああ、やっぱりニキアスだった…)
わたしは安心すると、近づいてきたその影の温かい首に手を廻して抱きしめた。
「…ニキアス…」
その瞬間、不思議な事に影はまた少し揺れた。
そして躊躇う様に何かを言いかけて――止めた。
わたしの瞼の上に大きな手が置かれるのを感じると、耳元で影は低く囁いた。
「マヤ…目を閉じておいで。お前が眠れる様にしてあげる」
わたしは彼の言う通り目を瞑った。
******
背の高い影はわたしの事を少し抱き上げた。
そのまま髪を優しく撫でられると心地がよい。
わたしがその影に寄りかかる様に身体を預けると、影は小さくため息をついてわたしの耳に小さくキスを落とした。
耳朶と首筋に小さく次々と落とされるキスと、背中と腰を大きな手で撫でて貰う感触はとても気持ちが良くて安心する。
…わたしは大きくため息をついた。
「マヤ…愛している…」
耳元で囁かれるニキアスの声にぼうっとしながら、わたしは衣擦れの音と共に滑らかな動作でわたしの足の間に入ってくる、温かで大きな手の感触を感じていた。
(あ…気持ちいい…)
その優しい手と指の動きとは裏腹に快楽の場所を見つけるのは巧みで、じんわり足先から上ってくる快楽に――わたしは小さく喘いだ。
「愛している…マヤ…」
わたしの腰や背中を痺れる様な快楽が覆い尽くしていく中、わたしは夢中で影のニキアスに腕をのばし、しがみ付いた。
そして影の顔を撫で自ら顔を寄せて彼のキスを求めた。
影は何度か啄むようにわたしへと唇を落としてから、わたしの口の中へとヌルっとした滑らかな舌を入れた。
それはアルコールの味がしてわたしの舌に巻きつくと、強く吸った。
その瞬間視界が真っ白に変わり――わたしの身体はビクリと仰け反って、小さく震えた。
お待たせしました。m(__)m
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