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嘘つき預言者は敵国の黒仮面将軍に執着される  作者: 花月
3.亡国の皇子
173/260

2 神々の思惑 ①

お待たせしました。

ML/R15になります。嫌な方お気つけ下さい。


二神は上空の闘技場(アンフィテアトルム)で大槍を構えていた。

火花を散らしながら戦う二人は共に人外の美しさと雰囲気を纏っている。


一方は闇の様に黒い肌をした筋肉の逞しい男だった。大きくつり上がった金色の瞳が夜空に猫の様に光っている。


もう一方は褐色の肌に金髪碧眼の彫像の様に美しい男だった。流れる汗からは既に得も言われぬ芳香がしている。


ガキンッと大槍同士が交差すると金髪の男は一度離れながら一気に槍を振り上げた。

そして金髪の男が振り下ろした上段の一撃を、易々と黒い肌の男はそのまま受け流した。


「…しかし力を手に入れる為にとは言え…わざわざ妹を犯して喰うまではしなくてもよかったのでは?」

「それが一番手っ取り早かったのだ。ハハッ…ルチアダ(妹神)は最高に美味い女だったぞ?ドゥーガよ」


その言葉を聞いて、軍神『ドゥーガ』が一瞬だが大きく眉を顰めるのを見ると『コダ』神はニヤリと笑った。


またも空中で大槍が激しくぶつかると大きな火花が散って一つの星が流れて地上へと落ちていく。


「…ふふ、今夜は地上にいつもよりも多くの流れ星が振りそうだな」

コダは槍を再度構えながら呟いた。


 *******


ドゥーガは闘いをこよなく愛している。

また誰とも群れない孤高の神でもあった。


『お前が勝負に負けたら私へと膝ひざまづけ』

そう言っていつも()()()()を挑んでくるのが兄コダ神だった。

ドゥーガは悠久の暇つぶしのつもりでいつも勝負を受けるのである。


神々の中でもとりわけ美しいコダと較べてると流石に劣るとは言え、軍神『ドゥーガ』も目鼻立ちが整った顔をしており、神々の例に漏れず表情は乏しいが、猫の様に吊り上がっている金色の虹彩の瞳は印象的であった。


筋肉のついた身体は漆黒の皮膚が艶やかで逞しく美しい。

軍神『ドゥーガ』は地上のどんな肉食獣の動きよりも素早かった。

その名に相応しく激しい戦いの最中でも息も切れずに戦う事が出来るのだ。


コダは今日もドゥーガの様子を見て小さく舌打ちをした。

(今日も…勝てぬか)


それを聞いた軍神は兄コダ神へ忠告をした。

「兄上、私まで喰おうとするのは諦めてください。今の貴方ではまだ私には勝てません」


そしてドゥーガは柄を持った大槍を地にドンとついてコダへと言った。

「貴方がそれを諦めないなら――面倒なので私も本気で戦いますよ」


(…『エイダ』神を先にやるべきだった)

コダ神はそう考えると、考え直した様に肩をすくめた。

「…確かにお前の言う通り、無理だったかもしれんな」


(…今日のところはな)

コダ神は大槍をガランと大きな音を立てて落としてこの勝負への降参をした。


 ******


「…はあ…」

珍しく息を切らしたコダ神は大きくため息を付いて美しい金髪を掻き揚げた。コダ神の身体からは闘いによる汗が噴き出している。


汗が薄っすらと褐色の美しい身体から蒸気の煙の様に立ち上り、コダ神特有のたまらなく甘い官能的な香りを漂わせていた。


ドゥーガは無表情な顔でコダを見ていたが、ふいと顔を反らした。

それに気付いたコダ神は薄く笑ってドゥーガに尋ねた。

「それで…どうする?負けた私を殺すか?」


その瞬間ドゥーガが指をパチンと鳴らした。

二神は白い四角い石で囲まれた広い部屋へと移動していた。


部屋の壁に一つだけある木の扉が自然にキイと音を立てて開いている。


腕組みをしたドゥーガはコダ神に興味が無くなった様に彼に背を向けた。

「…このままお帰り下さい、兄上。私にとって大事なのは今も昔も戦のみ。暇潰しの闘いならともかく、あなた方がやっているお互いの存在をかけたつぶし合いには興味がありません」


コダは背を向けたドゥーガの後ろまで近づいた。

「…これから地上は戦火に巻かれるだろう。最後の帝国アウロニアは消えるぞ」

「充分ですよ、コダ。私も忙しくなって暫く退屈をせずに済めばそれでいいのです」

「レダは嘆くだろうな。この豊かな大地は燃え、民は死に絶え、尚且つ自分は消えなくてはならない…全く可哀想な女神だ」


「…何がいいたいのですか?」

ドゥーガはゆっくりと振り向くと、美しい顔に薄笑いを浮かべたコダを真っ直ぐに見た。


「今更――我らにはどうもできないと解っているではありませんか。私もここ最近の数百年で悟りました。この流れは変えられない。我らは滅びゆく運命なのだと」

「…他にも私は知っているぞ」

「何をですか?」

「お前は昔から姉上(レダ)に懸想しているだろう」


ドゥーガはコダを一瞬見つめたが、表情を変えずに返答した。

「それが何だというのですか?」

「…いや、懸想だけでは無い」


コダ神はニヤリと笑うと地上で人間がやる下品な仕草――左手の人差し指と親指で輪を作り、その中に右手の人差し指を出し入れして見せた。

「…これを()()()()()()()()()一体どうなるだろうな?」


一瞬止まった様に見えたドゥーガは、珍しく強い口調でコダへと言った。

「我らは()()実の家族ですらない。たまたま生まれた場所と時間軸が同じだけで、()()()()()()()()()()()()です」


「ハハハハハッ!そんなにムキになるな…ドゥーガ。落ち着けよ。誰も悪いなんて言っていないだろう?己が守るべき預言者を次々と捨て駒にする女の何処が良いのか、私には全く理解出来んがな」

「好い女だからです…他人の趣味に文句を唱えないで頂きたい」


戦以外に興味が無い弟が珍しく感情を顕わにしているのを見て、コダは笑い声を上げるとその両肩をポンポンと叩いた。


そのままするりとドゥーガの黒く太い首筋に両腕を回すと、コダはレダ神と同じ碧い眼でドゥーガを見上げた。


「しかし…まあその通り――弟よ。

つまり我らはこの数千年間、()()()()()()()()()()()()を強いられていたという訳だ。

人間と同じように弱肉強食の中で一番強い者が統治していれば…このような体たらくにはならなかったかもしれないのにな」


『ドゥーガ、そう思わないか?』

そう言いながらコダ神は顔を傾けて、ドゥーガにゆっくりと口づけた。


眉を顰めて訝しがるドゥーガの表情を見ながら薄く笑ったコダは、もう一度今度は深く口づけた。


ドゥーガの目が僅かに見開く。

滑らかなコダの舌がドゥーガの唇を割り口腔内に入ると、ドゥーガのそれに巻き付いて吸いあげた。

白い石壁の部屋には互いの唇と舌と唾液が鳴らす水音だけが響いている。


「――()()は遠慮させて頂きたいと言った筈ですが」


コダとの唇の間に銀色の糸が引くのを見ながら、ドゥーガは無表情のまま兄を見返した。

「…一体どういうおつもりなのですか?兄上」


コダ神は妖しく微笑むと()()()()()()()()()()()()ので言った。


「…お前が私に姉上と同じ香りを嗅いで欲情したのを知っている。そして…こんな風にルチアダの魅了の声を聞いて昂るのも。

そうだろう?ドゥーガよ…お前()知らないフリをしていても()()がそう言っている」


『――このむっつり助平め』

ドゥーガの耳を嚙みながら小さく囁いたコダが、そのまま片手を下に持っていくとそこは既に大きく隆起していた。


コダはそこの場所を片手で掴みながら緩やかに何度も撫で上げた。


そして艶やかに笑うと、花が誘う様な女の声のままでドゥーガに尋ねた。

「それで…お前は挿入す(いれ)るか挿れられたいか…どちら?」


ドゥーガは金色の虹彩の瞳を猫の様に少し細めると、海の色をした碧いコダの瞳を見おろした。


そして自分の首にまわされたコダ神の片腕を外すと、捻りあげ素早く兄の身体をくるりと反転させた。

そのままコダの背中を黒い手で押し、ドッと兄の身体を白い石の壁へ押し付ける。


「…ハハッ、随分と手荒いな。ドゥーガ…できればお手柔らかに頼む」

揶揄する様なコダの声を無視したまま、ドゥーガは抑揚の無い声で兄神へと告げた。


「…何を今更。そのまま壁に手を付いて腰を突き出してください、コダ」

お待たせしました。m(__)m


読んでいただきありがとうございます。

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