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嘘つき預言者は敵国の黒仮面将軍に執着される  作者: 花月
2.『vice versa』アウロニア帝国編
158/260

71 母達《エレクトラとパメラ》 前編

長くなりましたので前後に分けました。


後編は本日昼にアップします。


「まぁ…もしやその事をお知りになる為に、わざわざこちらまで来られたのですか?」


アレクシアは、その美しい顔に一瞬だけ警戒する様な表情を見せた。


「はい…そうなのです。実は陛下に…こちらの神殿(ルチアダ大神殿)に行く様にと紹介して頂いたのですが、どなたに訊けば良いのか分からなくて…」


「そうですか。陛下が…」


彼女(アレクシア)は少し考える様な仕草をしていたが、ロレンツィオに『少し下がって頂けるかしら』と伝えると、改める様に椅子に座り直した。


「失礼ですがマヤ様、どうしてお知りになりたいのかを教えて頂いても…?」


「ええと…」

(どう言えば、丸く伝わるんだろう)


色々と考えた結果、わたしは自分のこの得体の知れない不安な気持ちを正直に、アレクシアに伝える事にした。

「先日出征される前のニキアス様のご様子が、以前と比べて何か違っているのがとても心配なのです。

陛下からいきなりご家族のお話も出たそうですし…」


「立ち入った事を聞いてお気を悪くしないで欲しいのですが、マヤ様はニキアス様と…恋仲とお聞きしました。

皇宮内で噂になっておりましたが、それは本当でしょうか?」


わたしは頷いて口ごもりながらもアレクシアへ事情を話した。


「あの…もともとニキアス様はわたくしを貰い受けると言ってくれていましたが、陛下の御命令で、皇宮に留め置きになったわたくしが帝国の預言者になってからは、その話は結局立ち切れになってしまいました。

今回の遠征が終わればもう一度掛け合ってくれると言っていましたが…」


「…ニキアス様を大事に思っていらっしゃるのですね」

アレクシアは、もじもじしながら頬を赤らめて俯くわたしを見て、微かに微笑んだ。



「…わかりましたわ。ではわたくしが知っている情報だけをお話しますわ」

「本当ですか?…ありがとうございます!」


「ただこの話は、聞けばマヤ様がまた驚かれる内容になるかと思いますが、それでも…大丈夫ですか?」


(アレクシアの妊娠以上に衝撃的…って事?)


陛下の御子を妊娠している以上って――と、わたしは一瞬考えたが、

「必ず受け止めますわ…是非聞かせてください。ニキアス様の事ですもの」


わたしはアレクシアに対して、安心させる様に大きく頷いた。


****************


「ニキアス将軍様を生んだお母様は『パメラ』と言う名の女性です。

その当時のルチアダ神の信者の中でも指折りの…とても美しい方だったそうですわ」


赤子の時に『ルチアダ』大神殿に置き去りにされ、ここで育ってから、後は踊り子を生業にしていたという。


ルチアダ神によく似た美貌と長く艶やかな黒髪、蠱惑的で印象的なグレー色の瞳と象牙色の滑らかな肌、すらりとしたしなやかな身体は、多くの男性の目を釘付けにしたそうだ。


パメラの踊りは、貴族間でも男女問わず大変人気で、宴と聞けば殆どの場所に呼ばれて芸を披露する彼女の姿があったと言う。


「ある日前アウロニア国王の王弟公様の祝賀会があり、そこに踊り子パメラも招かれ、御前で踊る事になりました」


「まあ…その王弟公様って…」


わたしの言葉にアレクシアは頷いた。

「そうです。現皇帝陛下の御父上様です」


(ガウディ陛下の御父上という訳ね…)


「宴会場で美しく舞う姿に、大公閣下はパメラを一目で気に入り、()()()()()()()として彼女を選んだのですが…実はそれがそのままでは終わらなかったのです」


「それは一体…?」


「大公閣下の正妃の御方――つまり陛下の実のお母上様である『エレクトラ』様が、パメラをただの愛人では無く、()()()()()()()()()()()()召し抱える様に大公閣下に強く勧めたのです」


「え…!?わざわざ正妃様が?…」


言わば正妻自らが、若く大変な美女を夫の(何人目かの)妻になる様に勧めたという事である。

(理解不能だわ…)


「そうです。エレクトラ様はほぼ身分の無い踊り子の女性パメラを、他の側妃の方々の反対を押し切る形で強引に、大公閣下の側妃にさせたのです」


****************


(ええ…!?一体どういう心境なの?跡継ぎ問題でも揉めるでしょうに…)

この世界に疎いわたしでも分かる事なのに。


「勿論、貴族出身の本来の側妃の方や子供らにとっては、パメラ親子は厄介以外の何物でも無かった様です。

壮絶な嫌がらせ行為もあり、当時の彼女はとても辛い思いもしたそうですわ。

『こんな目に会うのなら、いっそ側妃などにならなければ良かった』と…」


わたしはアレクシアの話に耳を傾けながらも、不思議に思っていた。


(陛下から多少話を聞いているとはいえ、何故彼女はこんなに当時の事について詳しいのかしら…)


「…不思議ですか?マヤ様。でもその話は、本当のことですわ。何と云っても、パメラ本人からも聞きましたから」


アレクシアはわたしの顔に浮かぶ表情に気がついて、少し微笑んだ。



「そうなのです…パメラは実は、わたくしの生みの母なのです。

ニキアス様とわたくしは、言わば…異父兄妹になるのですわ」


お待たせしました。


読んでいただきありがとうございます。<(_ _)>

ブックマーク・評価いつもありがとうございます!


後編は本日昼頃になります。よろしくお願いします。


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