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嘘つき預言者は敵国の黒仮面将軍に執着される  作者: 花月
2.『vice versa』アウロニア帝国編
144/260

57 兄と弟 ③

お待たせしました。


前回分が長くなってしまったので今回にも分けました。


引き続き、近親相姦・BL ・15R・暴力表現が入ります。


嫌な方お気つけ下さい。


ニキアスの視線に気付いたガウディは、あっさり唇を離し掠れた声で囁いた。


「余裕の表情だな ニキアス。ではそれも無くしてやろう」


今度はニキアスの顔を両手でそっと包むと、以前痣のあった左目の辺りを優しくなぞっていく。


「ニキアス…あの女が真に大事だと思うなら、お前は自分の身を呈しても守るべきだな?」


(そうだろう?)

とガウディは真っ黒い瞳を更に細めて小首を傾げた。


「だから選択肢をやろう。何と云っても可愛い義弟だ」


ガウディは、湯舟に入っていた時の様にニキアスの目の前で指を三本立てた。


「…兄上?」


そこにいるのは、アウロニア帝国皇軍の勇猛なニキアス=レオス将軍では無かった。


それはうすら寒い恐怖に怯える少年の姿だった。

圧倒的な力を持つ兄に為す術も無く、目だけを動かしてその言葉に戸惑う弟の姿だ。


立てた指を一つ折りながら、ガウディは言った。


「一つ目は余のものを咥え舌を使い、喉奥を締めて余を射精させるか。

ただし一度拒否した故、お前の手を使う事は許さぬ」

「……」


「二つ目は――今この場でそのトーガを脱ぎ、美しい裸体を余に晒せ。

そして四つん這いになって大人しく尻を差し出せ」


兄の言葉を聞き、また青ざめるニキアスの顔を見ながら、ガウディは二本目の指を折った。


「三つ目は…」

残った一つの指をひらひらと蝶のように動かした。


ガウディは無表情のままひび割れた低い声で言った。



「――以前の様に全てを捨て、ここから出て行く事だ」


*****************



「全て捨てて出て行く…」


いきなり方向性が変わった皇帝ガウディの言葉が理解できず、一瞬混乱したニキアスは、兄の言葉をただ繰り返した。


「そうだ。以前お前が王宮から惨めに逃げ出した様に、全てを捨ててアウロニアから出て行け。

富も名誉も神の恩恵も()()も、あの女もだ」


(…マヤを諦める?)


『そんな事は出来ない』と思うと同時に、ニキアスはガウディの言葉の一つが引っかかっていた。


()()…?)


ニキアスにとって今ではガウディしか兄弟は居ない筈だ。

ガウディが当主になる際に自分以外の兄弟を全て始末したのだから。


(一体何のことだ?)



ニキアスは必然的に一つ目――咥える方を選ばざるを得なかった。


長く質量のあるそれを持ち上げようとすると


「手は使うなと言った」

「……」


ニキアスは膝をついたまま、口腔内にそれを少しずつ含み飲み込んでいった。

「歯を立てるな。舌を使え」


命令に仕方なくニキアスは微かに頷くと、()()へと自の喉奥へと押し込んだ。

ガウディはニキアスの髪を掴み、更に自分の身体をぐいっとニキアスの頭に押し付ける。


一瞬ニキアスの喉から嗚咽の様な声が上がる。

「苦しいか? 可愛いな ニキアス」


珍しく声を上げて可笑しそうに笑ったガウディは

「…舌を使え。口をすぼめて喉を締めろ。昔お前に教えただろう?」

そう言いながら、ニキアスの髪を掴んだまま腰を前後に腰を動かし始めた。


「哀れだな ニキアス。お前があんなに気にしていた痣が消え完璧な美しさが蘇ったのに、今度はこんな屈辱的な事をさせられるとは」


時折聞こえるニキアスの呻き声を聞きながら、それが合図の様にガウディの腰の律動が早まっていく。


怒張した()()がニキアスの口腔にぶつける様な動きは、全く容赦が無かった。

先程出来たばかりのニキアスの口腔内の傷に当たって擦れる為、唇から血液混じりの唾液が滴り落ちた。


それは浴室の床を、淡い赤の糸のごとく流れていった。


浴室には腰の動きを早めたガウディの吐く息と、ニキアスの唾液が鳴らす水音と嗚咽だけが響いている。


「…ニキアス お前は余のものだ。逆らう事は許さぬ」


目は潤ませ僅かに苦しそうな表情を浮かべる弟の顔を見つめた兄は、満足そうに微笑んで呪いの様に囁いた。


「…まだ、今はな」


次の瞬間ニキアスの口腔内で熱く苦い液体が弾け――浸食する様に広がった。



 ********


浴室をふらつきながら出て行くニキアスの後ろ姿を、ガウディは見つめた。


小さくため息をつくと、何事も無かったかのようにガウディはそのままスタスタと浴槽まで歩いた。


また熱い湯が並々と張る湯舟に静かに浸かり、立ち昇る薬草の香りを胸いっぱいに吸う。


暫く廻りに目線を動かしていたが、ガウディは左手を上げると左の耳介にある小さな血の色の宝石にそっと触った。


「…見ていたか?」

赤い宝石は返事をする様に僅かに瞬いた。


「どうやら流れは変わらんな。()()()は皇帝の座に就くだろう」

お待たせしました。m(__)m


読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] またまた感想、失礼します。 ガウディはやっぱり推せません〜!私の見当違いでした!彼はマヤのことを単にニキアスを思い通りに動かすための道具としか考えてないんですね。 ニキアスがひたすら気の…
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