表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王様と悪役令嬢の婚姻生活(ノロケバナシ)  作者: mayme
幼少期・お屋敷編
33/51

お嬢様学園へ通う3


「久しぶりですね。()()()()()()()()()()


 それだけではない。この場所が青い鳥の通り道と言われている本当の理由。


 ()()()というのは、きっと、晴れたスカイブルーの空に溶け込むような髪色の人のことであったのだろう。ああ、青い鳥が隠し名だと分かっていれば、この場所を通らなかったのに。


『あそこには時折、青い鳥が訪れるのよ』


 青い鳥とは王子を示す言葉なのだ。


 ーーけど、私はこんな少女漫画、小説でありがちな展開望んでいない。確かに、ヒロインを応援する側では甘々な展開は大歓迎だったがーー……。


「あの日から、僕は貴女に殴られた衝撃が忘れられなかった」


 えっ、いつ、いつ、私が王子を殴ったことがあったのよ!?!? そんな侮辱的なことできるわけないじゃなーー……まてよ????


 私は記憶を辿る。▶確か、最後に王子とあったのは、街中の喫茶店でジュリエと王子がラブラブデートをしていたとき。■首に巻き付いた蛇によって大騒動が起きた。一旦巻き戻して、記憶を三倍早送りにして辿る。▶▶▶二人はラブラブな雰囲気だったが、私が出しゃばってしまったため、コレクションボックスの存在がバレる。■ここじゃないな。それじゃあ、もう少し先か。▶▶▶▶▶ジュリエと王子の騎士に追いかけられ、私は必死で逃げ……そう、あろうことか、黒蛇が魔法を使い街を崩壊してしまった。■……ん? 待てよ? 魔法が放たれる瞬間、私が手を掲げた時。遠くで王子がこっちを見ているわ。◀◀私が手を下げた瞬間■▶王子が倒れる。■えっ、これのこと!?!? ちょっと、王子の姿が小さすぎて……私と王子の距離が遠すぎて何が起きたか全く分からないわ。(カメラを寄せる)ちょっと映像がボヤボヤだけれど、確かに頬に手を当てて倒れている(ようにも見える)少しだけ巻き戻して見ましょう。◀■▶1、2、3、4……ああっ!!! ここだわ。■私が手を下ろした瞬間、爆炎に紛れてどこからか飛んできた小さな壺が王子の頬をビンタしている。こんなの濡れ衣じゃない!?!? 確かに、確かに、あの魔法は私の首に巻き付いた黒蛇がやったことだけれど、あれは私じゃない! 私のせいじゃない!!!!(泣)


「あの時の傷は、王宮の回復に特化した魔術師にも治せなかった。僕の頬と心には大きな傷が出来てしまったのだ」


 そんなの、知ったこっちゃないわ……(大泣)


「……そこで貴女に責任を取っていただき、僕の婚約者として王宮に迎えることにした」


 いやあああああああああーー……。


 私はこの乙女小説を何回も熟読したから分かる。私の手を握りもう片方の手で赤らんだ頬を触る王子はたいへん純情ピュアな恋心を持っている。些細なことをきっかけに乙女……お嬢様を口説……いえ、彼に悪意が全くないのが余計に後味が悪いと言うか……この世界設定が一夫多妻制を合法とする理由は多くの血縁者、子孫を残す為、貧困の者を救う為だったと裏付けがあった。だから、婚約者になって欲しいという台詞をジュリエ……いえいえ、たくさんのお嬢様にも吐いたはずなのよ!! だとしたら、私が第二……いや。証される真実は十五番目くらいの婚約者なのかもしれない……。



 王子は悪びれもなく「このことは既に王族の許可済である」とか「度重なる審議の末、婚約を申し込んだ」とか、ぼやいている。ーーああ、設定が憎い。頭痛が痛い。違う、頭が痛い。


 それでも、シオン王子押しの熱いファンがいたこと。それは「自分は何番目の婚約者でも構わないから、その美貌と甘く優しい声、イケメンボイスに一晩耳打ちされてみたい」という欲望である。

 その証拠としてシオン王子のファンは謙虚だ。例えるならば王子は皆の()()()()みたいなもので、抜け駆けは許されないものの、集団で集まりシオン王子の誕生を祝う会を開いては彼への想いを熱く語っている。スマホやパソコンの待ち受け画面には小説の表紙が。壁には額縁に入れて小説購入特典の特別仕様煌めくホログラムブロマイドと応募者に抽選でプレゼントのミニキャラアクリルキーフォルダー(保存用)が飾ってある。実用は普段使いの鞄に付けた。


 小説にはヒロインが王子と結ばれた日のことなど「シオン王子と仲良く手を繋いで眠りました」の、一文で終わっていたのに、過激なファンたちはそれで暴走し、その結果、クッションを抱きながら添い寝で頭を撫で撫でしてくれる甘々なポーズのミニキャラグッズが密かに爆売れした。しかし、本来の目的は公式で売買されたものは全てフェイクで、王子の笑顔の裏に隠された顔、ちょっと腹黒いシオン王子こそがファンが本当に手に入れたいものだった。それは、WEB小説で読んでいた元々の読者が「腹黒い王子様」の文字に反応し、スクロール、スクロール、どこまで読み勧めても最後までその詳細(エピソード)が出てこない。しかも、一巻の特典にも載っていない。そして、それは、同時にで発売された特装版の中の帯タイトルに書いてあった。「王子、腹黒い」とーー……。ライトユーザーは「追加で付いてくる、ペラペラな加筆数ページに倍以上の値段かけられないよね」と、通常版を購入しヘビーユーザーからの☆5評価に地獄へ堕ちた。そしてまんまと公式の戦略に騙された乙女たちによって、本はこっそりとアニメショップで売れた。……本当にエグい話だわ。




 ヒロインの立場では彼の言動に一喜一憂してたけれども、いざ、自分の身にふりかかってみたら王子がただの優柔不断な()()()()に見えてきた。

 「婚約者になって欲しい」と言われ、他の女性ならば天にも上る気持ちなのかもしれないが、私の表情は岩のように固い。体の熱が段々と冷めるのが分かった。


「……いえ、遠慮しておきますわ」


 ピシャリと意図も簡単にシオン王子からの求婚を断る。私は妃彩ジュリエとライバルになりたくないし。そもそも、妃彩の方が好きだし。


 断られるとは思っていなかっただろう。シオン王子は可愛らしい表情をしてぽかーんと口を開けたまま暫く立っていた。

 私はそんな彼を一人置き去りにして校舎へと急ぐ。


 ……その後、教室に着いた私は自己紹介より先に、一部始終を遠くから双眼鏡で見ていたお嬢様たちによって総攻撃を食らうのであった。


 ……学園初日から学園中へ噂が広まり、やはり私は相変わらず、高等部でも学園生活を一人(ぼっち)で過ごすのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ