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主人公どころの話じゃない  作者: えるれいん
9/9

8話 ジャスパーはオムライスの如く

「いやー、すごく面白かったねぇ!」


映画を見終わった私達は映画館を出て歩きながら感想を言い合っていた。


あのB級海上世紀末映画、すんごい良かった。



パンフレットにも載っていたバットを持った米人、ジャスパーのジョークはキレっキレで15分に1回は笑わされたし海上がメインのアクションシーンは火薬の量を間違えてるだろなレベルで大爆発が起こる。


警官のジャスパーはある日、自分が過去に刑務所にぶち込んだ囚人ウッドから出張により遠くで暮らしていた嫁と娘を攫ったと告げられる。家族の危機を知ったジャスパーは親友のフレッドと共にウッドが潜む孤島へと赴く。


魔改造された下半身サブマリンで進んでくるサメや弾幕ばら撒くモヒカン集団を蹴散らし、自身の体をも改造したウッドとの激闘の末、人間爆弾と化したウッドと共に海の底へと沈み犠牲になったフレッドとの別れ。そして帰ってきた家族、訪れた静寂と平穏。


いやぁ、内容もB級だったけど最高に濃密な3時間だったなぁ。あれ続編やんないかな。


「もうお昼すぎだけどなんか食べよ?お腹すいちゃった!」


「話急転換だね。まぁ確かにお腹すいたかも」


ひとしきり映画の話題で盛り上がった私達は腹の虫が鳴いてきそうなので遅めのお昼をとることにした。

私はスマホを取り出し近くのお店を2人で探す


「お店はどこがいいかなぁー?」


「あ、こことかどう?美味しいオムライスがあるって書いてあるよ」


私が見つけたお店のページを開くとそこにはなんともまぁ色彩豊かでオシャレな料理が乗っているのなんのでそれを見た風巻さんは目を輝かせる。


「いい!かわいい!すっごくオシャレ!

これはポイント高めだよ葵ちゃん!」


「あはは、それはよぅござんした。

それじゃ行こっか」


オシャンティなお店に行くことがほぼほぼ無い私としては内心失敗したなとか思っていたが彼女が喜んでいるようなら仕方ないと諦めつつお店に向かった。



─────────────────────



お店について店員さんに席まで案内されている間、私はなんとも言えない緊張感に包まれていた。


「どうしたの葵ちゃん?ソワソワだよ?」


挙動でモロバレだったらしい私に風巻さんが

心配して声をかけてくれた。


「あ、いやこういうお店来ることってないもんだからちょっと緊張をね」


「他のお店にした方が良かった?」


「嫌ってわけじゃないよ。私1人じゃ入れそうになかったってだけだし興味はあったから」


案内された席に着いた私達は店員さんが持ってきたお冷に口をつけメニュー表を開く。


「うわぁ、色相環みたい。オシャレ」


「確かにカラフルなメニュー表だけどその例えは酷い思う」


人は焦ると語彙力がおかしな方向にむくんだなぁ。


「えっと、オススメはオムライスだったよね...結構種類あるね。詩織は決めてる?」


「私はバターチキンオムライスってやつにしようかなって思ってるよ」


「結構ガッツリだね」


「お腹すいてるのもあるけど、少食の女の子って世の中そんなにいないものだよ?葵ちゃんは決めたの?」


「私はー...」


どれにしよう。どれにすればいいんだ。


いや全部美味しそうなのはあるけど

それ以前にオムライスだけで30種類くらいあるんだけど...


「...だったらこれとかいいんじゃないかな!」


「トマトクリーム...あ」


悩んでいた私に風巻さんはメニューをオススメする。そのメニューを見た私はあることに気づいた。


「うん、美味しそう、じゃあこれにしようかな」


「それじゃボタン押すねー」


「あ、私ちょっとトイレ行ってくる。ついでに注文しててくれると嬉しい」


「はーい、いってらっしゃーい」



お手洗いに入った私は鏡の前で1人反省会を開いた。


「さっきから風巻さんに気を使われてばっかりだ」


店に入って落ち着きのない私を見て心配してくれたり、自分の行きたいお店なのに移動しようかと聞いてくれたり。メニュー選びもそうだった。


トマトクリームのオムライス。


前に屋上で一緒にお昼を食べた時、好きな食べ物の話になった。

その時私は1番最初に「トマトクリームのパスタが好き」と言ったんだ。

彼女はそれを覚えていたんだろうな。

だから私の選びやすそうな物を選んでくれた。


風巻さんはちゃんと私と接しようとしてくれてるんだな。


「彼氏役なのにリードされっぱなしで情けない。手伝うって決めたんだ、ちゃんとしないと!」



─────────────────────



「美味しかったねー!」


「うん、お腹もふくれたよ」


オムライス店を後にした私たちは次なる目的地へ到着していた。


「それにしてもご飯食べて直ぐにゲームセンターとは...詩織って結構行動力あるよね」


「別腹ってやつだよ」


「あんま関係ない気がする。ていうか詩織ゲームとかするんだ」


「ゲームセンターとかはあまり来たことないけどゲームは大好きだよ!」


そう言って彼女は自分の腰に手を当てふんすと息巻いている。

別に自慢されてもなぁ、かわいい。


「そっか、実は私もゲーム得意なんだよね。もし良かったら勝負とかしてみる?」


「それいい!カップルっぽい!負けたら罰ゲームね!」


勝負の響きに打たれたのか彼女はやる気十分とさらにふんすと息巻く。



ほう、いい目をしやがるな(玄人感



「罰ゲーム、それで行こっか。手加減はしないよ」



リードしなきゃダメだよね、

手加減しなきゃ。


「詩織はどんなゲームするの?」


「ポ〇モン!」


「選ぶゲームが女子高生ってかんじするなー」


「これでもレート対戦2400くらい行ったんだよ!」



つっよ!ぶっちぎりで1位取れるじゃん!!




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