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リュウレイの誓い登場人物資料集  作者: ミニトマト
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王国の黎明期・伝説編

【紹介人物一覧】

アルファム・レゾニア・レヴィア・フェレソス・アルディマ

アロンソルド・エルデソラス

 アルファム

 太古、妻であり炎神の姫巫女であるレゾニアとともに神に導かれて中原の地に王国を打ち立てたとされる初代の王。

 その正体はすべての始まりの地である原初の世界の西の果てにあるとされる炎神の寝所たる大滅火山帯、そのすそ野に住まうことを許された真炎の四部族の一つ、紅蓮の部族出身の若者であった。

 炎の民全てを従え、炎神の化身と呼ばれた炎の王と全ての巫女の頂点に立ち直接炎神を慰める役目を担った炎神の姫巫女は四部族の持ち回りで代々継承されてきた。同時に同じ部族の王と姫巫女が並び立つことはなく、この世の始まりから炎神に仕える四部族の長達はもっともすぐれた力を持つ男女を選びその役割を与えてきたのである。

 ともに紅蓮の民に生まれたアルファムとレゾニアは幼いころからお互いに思いを寄せ合って過ごしてきた。長じて同じ部族の中に並ぶものがないほどの力を身に着けたアルファムはいつしか紅蓮の勇者と呼ばれる存在となる。

 そんな彼がレゾニアを妻に迎えようとしていた矢先、当代の姫巫女に仕えて巫女としての研鑽を積んでいたレゾニアが次の姫巫女に選ばれてしまう。

 それは他部族の王が彼女を妻とすることを意味していた。やがて紅蓮の長の供として部族長たちの合議の間に参加したアルファムは炎の王のもと、レゾニアが正式に次の姫巫女となる瞬間を目撃してしまった。

 そしてその場にて信じられない神託が披露される、それは次の姫巫女こそが最後となり世界は再び破滅の時を迎えるであろうことがまことしやかに伝えられたのであった。

 アルファムは深い苦悩のうちにあった、愛しいレゾニアがほかの男のものになるばかりではなくこの世界全てが間もなく終わりを迎えるなどあってはならない。

 意を決した彼は許されることの無い禁を犯して炎神の聖域で祈りを捧げていたレゾニアのもとに忍び込んだ。そこで、自らが見聞きした世界の終焉を語って聞かせたアルファムはともに遥かな異郷の地へと逃げることをレゾニアに提案する。

 しかし、レゾニアはそれを拒み自分の身は炎神と次の王のものであると冷ややかに告げるばかりであった。お前にその資格はあるのかと冷淡な問いかけにアルファムは強い決意を胸に頷いて見せる。

 ――俺はお前を妻とする、そして愛しいお前のために世界を滅ぼそうとする神に挑んで見せよう……!

 その場でレゾニアを我がものとしたアルファムは単身、炎の王のもとに向かい戦いを挑んだ。王と勇者の名を冠するアルファムと戦いはすさまじく、世界そのものを揺さぶるほどであったという。

 力づくで王の証を奪い取ったアルファムはその力を認めた若者たちとレゾニアを連れ炎神の領域から逃げ去った。それは果てしない逃亡の始まりであった。

 数百年に及ぶ長き逃亡の果て、多くの敵を打倒し仲間を失いながらもアルファムはあきらめることなく歩み続けた。そして、風の民の領域の一つにたどり着いた時、彼らが管理する異世界との門に誘われ、ついに彼の地へと至る。

 長き苦難の末に得たわずかな平穏、妻との間に三人の娘を得た初代の王はその地で没する。あとに残された彼の末裔たちは長き時を経て世界の隅々まで広がりその王国は大いなる繁栄を遂げることになったという――。




 レゾニア

 伝説に名高い初代王アルファムの妻であり、のちに炎の民の代名詞となる王国の名ともなった始まりの姫巫女。

 幼いころからアルファムとともに育ち彼の妻となることを夢見ていた少女は同じ部族の中でも並ぶものがないほどの力を身に着けていく幼馴染の姿に焦りにも似た感情を募らせていった。

 早くから長達に目をかけられ、勇者とまで呼ばれた彼はまた炎の王に最も近い存在としてその将来を嘱望されていた。優れたものが何一つなかったレゾニアはアルファムを他の娘たちに浮ばれることなくその妻になるためにはどうすればいいのか日々悩み続けたのであろう。

 彼女が出した答えは自らもまた幼いころから得意であった歌を神にささげること。炎神を慰める巫女たちの頂点たる姫巫女になれば、アルファムはきっと自分を手に入れようとするに違いない。

 ただそれだけを信じ、レゾニアは神への祈りをささげ歌声を紡ぎ続けた。

 その念願かなって、次代の姫巫女の座を得たレゾニアの前に果たしてアルファムは現れた。炎神の神託を恐れ、遥かな地へと誘うアルファム。しかし、レゾニアが望んだのは臆病者ではなく勇者アルファムの妻なのである。

 意を決したレゾニアの言葉に、アルファムは炎神にさえも挑んで見せると大言して二人は結ばれることになった。

 長き異郷の地での旅路は楽なものではなかった、しかしレゾニアは後悔さえしてはいなかった。なぜなら、自分を守り多くの仲間たちを導くものは炎の王となった愛しきアルファムだったのだから。

 やがて、平穏なる異世界の地についたレゾニアは三人の娘を産み落とす。レヴィア、フェレソス、アルディマと名付けられた三人の幼い娘たちに母となったレゾニアは父アルファムとの馴れ初めを語って聞かせた。

 それは長く王家の秘伝として伝えられ、のちの世にアルファムとレゾニアの末裔たちは栄えていった。




 レヴィア

 フェレソス

 アルディマ

 ともにアルファムとレゾニアを両親に持つ王家の王女たちであり、その名は中原の地を流れる三つの大河ともなったと伝えられている。

 長女レヴィアは姫巫女の地位と中原の地を、次女フェレソスは北方の地を受け継ぎ、末の妹でありもっとも両親にかわいがられたアルディマは南方の地を与えられたという。

 奔放闊達なアルディマは自分に従う仲間たちとともに原初の密林に覆われた南部の地に理想郷を築かんとしたという。二人の姉たちがのちに続く王国の基礎を築いたのに対して、アルディマは先住民であった人間たちに強い興味を抱き、分け隔てることなく彼らとともに暮らすことを選んだと伝えられている。

 その長い生涯の間に、多くの男たちを愛しまた多くの子を残したアルディマは末の娘にその名を受け継がせると自分の人生に満足してこの世を去ったという。のちに南方の魔女と称されるアルディマの直系はこうして末子相続によって受け継がれ、色濃い初代王の血を次世代につないでいったということである。




 アロンソルド

 アルファムとレゾニアの時代から遥かな時が流れた王国中期、一人の姫巫女ヴィレアニアを巡り、豪勇無双の英傑であった弟エルデソラスと長きに渡る抗争を勝ち抜いた中興の王。

 炎の民による世界制覇が終わりを告げた時代、王家に二人の王子があった。

 一人は凡庸ではあるが、優れた先見性と人望を兼ね備えたアロンソルドと炎の民で一番の武勇を誇ると言われた弟エルデソラス。

 彼らは時の王の娘、ヴィレアニアを巡り競い合う存在でもあった。やがて次の姫巫女に選ばれたヴィレアニアの夫はアロンソルドとなった。幼いころから共に思いを通わせてきた二人はその思いを叶えたのである。

 自分よりはるかに劣る兄に敗れたエルデソラスは王家に仕えていた軍団を味方につけて炎神の大神殿の地を制して、兄王に戦いを挑む。対する兄王は姫巫女と多くの諸侯たちを味方につけて西方の地、黄昏の都に本拠を据えて両者の対立は中原を二分する大戦争となってゆく。

 戦いの最中、一人の男子を産み落としたヴィレアニアは産後の肥立ち悪く命を落としてしまう。妻を亡くした失意を怒りに変えたアロンソルドはその後大神殿の決戦でエルデソラスを打ち取り、大いなる悲劇に終止符を打つ。

 咎人とされた者たちははるか東方の地へと放逐され二度と中原に戻ることはなく妻を亡くしたアロンソルドもまた、次の王と姫巫女にその座を譲って王家を去った。

 のちに多くの諸制度を整え、王家から武を捨て去ったアロンソルドの決断は長きに渡る平和な時代の先駆けとして歴史に刻まれることになった。

 しかし、その決断がのちに災いして獣使い侵攻の時に王国は呆気なく滅び去ることになるが、それは歴史の皮肉としか言いようがない悲劇であった。




 エルデソラス

 先祖譲りの強い力を思う存分振るった稀代の英傑であったという。しかし、世界に敵となるものは既に存在せず、その強すぎる力を持て余した哀れな存在でもあった。のちに若き頃から懸想していた王家の姫巫女を兄王と争ったのは戦う対手を欲していたからにすぎないと後世の歴史家は語ったほどであった。

 罪人に落とされたその末裔たちは神の加護が及ばない東方の僻地に追いやられ、そのわずかな土地を奪い合い長い抗争と苦難の時代を過ごしていったという。

 彼らの命運が好転しかかったのは北方の地に貴族連盟が発足した一千年前であった、貧しかった東方の地に救いの手を差し伸べた歴代の最高議長たちは闘技場で殺し合いを演じさせる奴隷を求めていた。

 そして口減らしさえ行っていた東方の民は食料の援助と引き換えにその求めに応じて少なくない奴隷を栄華の都へと送り込んだと伝えられている。

 のちに獣使いとの抗争の時代、栄華の都を守るべく三代目の最高議長バフェールの求めに応じて援軍を派遣したエルデソラスの末裔たちは王都奪還の戦いにおいてもその勇猛さを発揮した。

 そして王都奪還を成し遂げた炎の王リュウシンの許しを得た東方の民は長き時を経て、故郷の地に炎神の神殿を築くことを許され、その名誉を回復するに至る。

 エルデソラスの直系を受け継ぐ太守は若い女性であり、リュウシンとともに栄華の都防衛戦で活躍したとも言われ、若き王との間に一子を設けたそうである。

 現在は北方の領主連合との交易を軸に未開の地を開拓して徐々にではあるが繁栄の兆しを見せつつあるということである。


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