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リュウレイの誓い登場人物資料集  作者: ミニトマト
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王家・栄華の都関係者

【紹介人物一覧】

アレンダール・レイフェリア・ミルマ・ヤルマ・バフェール

リファーナ・リフルセドラ・マルドゥーク

 アレンダール・ブレナス

 姫巫女メイシャンの父であり、事実上最後のレゾニア王となった人物、故人であり享年五百歳前後。

 四百年余りにわたりレゾニア王国を統治したその治世は王国のどの時代に比べても平穏であり、また平和であったとされている。妻である王妃レイフェリアとの間には実に二十三人の子供をもうけて、仲睦まじかった。

 もとは二代前の王サルトスマリクと王妃ルーメシアの息子アリオスラヌクを父に持つ傍流ブレナス家の嫡子であった。若かりし頃は王族一の美男子として知られ、時の姫巫女候補たちは誰がアレンダールを夫に迎えるかで次代の姫巫女を決める賭けを姉妹で楽しんだと言われるほど。

 年上のレイフェリア王女が見事アレンダールの心を射止め、のちの姫巫女となった。

 内においては多くの愛妾を持ち、彼女たちとの間に設けた子供たちを国内の有力な貴族神官のもとに送り込んで婚姻関係を結び、閨閥を用いた強固な支配体制を確立していった。

 さらには百年ほど前、数代前の王から分かれた元王族たちが西方で大規模な反乱を起こすと実弟であり、事実上の国家首班とも言うべき貴族連盟最高議長バフェールの進言もあり、鎮圧のための軍を派遣する。

 解放軍の盟主となったアンクロイド王と臣下の活躍もあり、戦争が終結すると戦乱で荒廃した大神殿再建のための援助を約束し、さらには娘であり姫巫女候補でもあったアレクリアナ王女を降嫁させてその功績をたたえた。

 それにより途絶えがちとなっていた大陸西岸地域、さらにはその先の大海を越えた彼方の大陸にある諸国との連絡交易を再開させてレゾニア王国の威信を大いに高める結果となった。

 人柄は非常におおらかであり、人好きのする性格。また何より食べることにご執心と実にメイシャンの父君らしい人物だった。




 レイフェリア・ブレナス

 先々代の王ディエルカーヌとレイナスマール王妃の間に生まれた姫巫女メイシャンの母、故人であり享年五百五十歳ほど。

 歴代の姫巫女の中でもその美しさを湛えられた気高き姫君であり、常に自らを律して王国の母たらんとした人生を歩む女性であったとされる。王女時代から、生真面目な性格ではあったがこと恋愛に関しては非常に情熱的であった。一つ下の妹レナルラフィン王女と王族一の貴公子アレンダールをかけて激しく対立したことは時の王宮内では有名な語り草であったという。

 やがて、心から恋に落ちたレイフェリア王女はアレンダールと結ばれのちの姫巫女となった。夫との仲は良好であり、多くの子息に囲まれたレイフェリアは幸福な人生を送った。

 王都滅亡の日、大王宮の謁見の間に集う諸侯諸共終の歌姫とその僕たちによりこの世から抹殺された最後の王妃は長き人生に終わりを迎えることになるのである――。




 ミルマ

 姫巫女メイシャンの侍女長であり、王妃レイフェリアに長く仕えた女官、故人で三百五十歳ほど。

 幼いころから女官であった上の姉たちに従い、王女たちの近辺に仕えてきた女性。末流の王族に嫁いだ後も宮仕えを続けながら、王妃レイフェリアの信頼篤い家臣であり続けた。

 そんな彼女に大きな転機が訪れたのは王家に末娘のアレアスタ王女が生まれた時であった。

 同じころに娘ヤルマを産み落とした彼女はアレアスタ王女の侍女長に抜擢されその養育を任されることになった。

 しかし、王家始まって以来の大問題児と称されるほどのアレアスタ王女の行動には常に頭を悩ませていた。そんな折、本来ならばアレアスタの身を守るべき護衛士となるはずの娘ヤルマは幼いころから体が弱く気弱で人見知りの激しい子供であった。

 娘と王女を引き合わせることに大きな不安を覚えつつ、アレアスタの成長を願い王宮に仕えたヤルマは最初戸惑いを覚えていたもののやがて二人は姉妹のように仲良くなり、過ごしていくようになる。

 そんな中、炎神の神託が下り王妃レイフェリアは託宣の下ったアリステロア、アルスフェロー、アレアスタの三人を姫巫女候補として十年後に退位する旨を国中の諸侯に伝達した。

 それを聞いたミルマは主を無事に育て上げ、立派な姫巫女とすることを決意したが当の本人は王宮から脱出することを望んでまたしても大騒動を引き起こした。

 そんなありふれた平和な日々からわずか二月後、突如として獣使いの襲撃が始まり王国は呆気なく滅び去る。

 王都をわずかな近習たちによる決死行で切り抜けたミルマたちは五年余りの間、北の地を転々としながら獣使いたちの追撃を受ける。乾坤一擲の苦肉の策として獣使いの領域に逃げ込んだところを力尽きて、最後アレアスタを守る盾として娘ヤルマともども獣使いによって殺されてしまった。

 その直後、姫巫女を探し旅していた青年リュウシンの手により、獣使いオゾロとその僕は打倒され、二人の果てしない旅路は始まったのだった。

 戦争後、鍛冶師の村に落ち着いた姫巫女メイシャンは村の共同墓地にミルマ母娘の墓を建立してその霊を慰めているという。




 ヤルマ

 気弱で体の弱い姫巫女メイシャンの幼馴染、享年は十六歳。

 女官ミルマの末の娘であり、幼いころから病弱でとても宮仕えには耐えられないと思われていた。しかしそんな彼女も活発を通り越してお転婆なアレアスタ王女に仕えるようになってからは少しずつ元気を取り戻していく。

 むしろアレアスタが手間のかかる妹の面倒を見るようだったが、それでもアレアスタは少しずつ落ち着きを身に着けていった。

 そんな関係は獣使いの襲撃により王都が滅び、当てのない逃亡を送る日々においても変わらず、弱気になりがちだったアレアスタの心を支え続けた。

 そんなヤルマもまた獣使いの手に掛かり命を落とすことになる。その最後にどんな思いを抱いて彼女は死んだのか。それを知る者はいない――。




 バフェール・イダム

 貴族連盟最高評議会を率いる最高議長にして国王アレンダールの実弟、故人であり470歳ほど。

 若き頃から多くの書物に親しみ、その博学多才ぶりは王宮でも指折りの人物であった。華やかで常に社交的であった兄アレンダールに比べて人付き合いにほとんど興味を見出さなかったバフェールは対照的な存在であったことだろう。

 当時、姫巫女候補の一人であったレイフェリア王女に興味を抱いていたが、恋愛感情はほぼなかった。のちに兄王即位時、レイフェリア王妃の妹リファーナ王女の希望もあり彼女を妻として迎える。

 これはレゾニア王家が典型的な女系相続で成り立っており、王女が夫を選ぶ権利を有していたからである(王国内の貴族神官に嫁ぐ場合も最終的には本人の決断によって決定されていた)。

 妻となったリファーナは献身的であり、王都から遠く離れた北方の地においても常に笑顔を絶やすことなく夫バフェールを公私に渡って支え続けた。それはのちに王家から名門貴族レイアス家の貴公子オスレイのもとに嫁いでくる姪のフェレナスも変わることはなかった。

 バフェールはそんなけなげな妻をこよなく愛し、多くの愛妾に囲まれて後宮で過ごした兄王とは正反対に生涯側室を持つことはなく、実子は妻の生んだ三人の息子だけであった。

 もともと学者肌の人物であったこともあり、文化的な事業に大きな意欲を示し遥か古代の研究を大いに奨励した。その甲斐あってか、王都に比べ多くの学者研究者がその領地や貴族連盟の本拠地栄華の都に集い、学問の都としても知られることになった。

 またバフェールは支配対象であった人間たちに対しても寛容で知られ、血で血を洗う見世物として知られていた闘技場の待遇を大幅に緩和したことでも知られている。

 かなり残虐な風習も残っていた初代と二代目の最高議長の時に比べれば、大分死傷率は緩和され、大衆娯楽としての側面も強くなったのはこのころからのことである。

 獣使いとの戦いが始まったころ、滅びた王都を脱出したアレアスタ王女一行を受け入れて、その身柄を姉であるフェレナスのもとに託すが失意の元王女は軟禁した妹王女に激しい嘲りをぶつけ、結果として新たな炎神の姫巫女となったアレアスタ姫は近習とともに地方領主のもとに身を寄せる結果となり、大きな過失となってしまった。

 しかし、バフェール自身王家を疎む理由があり、それを知りながら意図的に放置した感がないわけではない。

 のちに獣使いとの戦いが激化すると、自らの後継者であり軍の総帥を担っていた嫡男リフルセドラを失い、大きく落胆する。

 お抱えの剣闘士であったクライスの提案を受け入れて、人間の傭兵団結成を半ば強引に決定し他の貴族たちの反発を受けるもそれがのちに弱体化著しいレゾニア騎士団を救う結果にもつながった。

 深謀熟慮の人物であり、不世出の政治家であったことに間違いはなく、のちのクライスをしてその後の大陸史の方向を決定づけた偉大なる人物としてバフェールのことを評している。

 ここからは外聞出来ない記述の羅列になるが、かつて兄王にその英才さを疎まれた王家の末弟であった初代の最高議長は辺境の地であった北方の地に封地を与えられて半ば王都から追放される形でこの地へとやってきた。

 そこには代々セファルナ神学の徒がその存在をひた隠しにしてきた忌むべき存在の封印があったという。のちに王国最高の賢人と呼ばれるカスタフ博士より、その封印の担い手とされたバフェールは、代々の最高議長と同じく北方の地に生涯縛り付けられることになった。

 その仕打ちを忌み嫌い続けたバフェールは己の人生を呪ったことであろう、彼は偽りに彩られた神代の真の姿、王国がひた隠しにしてきた事実を次々と暴き出し、それを次代へと伝えることに成功する。

 それはすなわち人間こそが地と水の民の末裔でありこの世界の真の主であるという事実であった。獣使いの侵攻を契機に弱体化が顕著となった炎の民はその後衰退し、代わって台頭した人間たちの時代が再び始まることになる。

 栄華の都終焉とともにその長き生涯を終えた老練な宰相は最後に何を持ったのであろうか、それは歴史の闇に消えた儚い出来事に過ぎなかった。




 リファーナ・イダム

 夫バフェールを支え続けた最高議長夫人であり元王女、450歳ほど。

 王女時代から多くの人々に愛されて育った天真爛漫な女性、奇をてらうことなく己の心に素直であった彼女は様々な人々との交流を重ね幸福な人生を歩んでいた。そんな彼女が憧れを抱いたのは王家で一番の博学を誇るとされたバフェールであった。

 実は当時、王家のほかの姉妹が興味を抱いていたのがアレンダールとバフェールの兄弟であったが、姫巫女候補であった姉たちに嘆願してバフェールを自分の夫に認めさせることに成功する。

 そのあまりある行動力は嫁いだ後もいかんなく発揮され、公私で多忙を極める夫を支え、三人の手間のかかる息子たちを見事育て上げることに人生を送った。

 当時、好き嫌いの激しかった息子たちを矯正するために自分から手料理を用意して振舞うなど、貴族社会からは考えられないほどの良妻賢母ぶりであった。息子たちが大きくなった後も朝晩の食事は婦人リファーナ自らが拵えて夫バフェールとのささやかなひと時を楽しんだという。

 戦後、疲弊著しい北方の民を亡き夫に代わり鼓舞してまわり、多くの人々に希望と明日への活力を与え続けた。

 姪である王女アルスフェローとは仲が良く現在も親交が続いており、その中の良さは叔母と姪というよりはまるで母娘のようだと称されるほど。

 収穫祭の時に亡き嫡男リフルセドラの息子たちとレイアス家の姫君たちの婚礼を発表して周囲に大きな驚きとともに喝さいを持って迎えられた。




 リフルセドラ・イダム

 最高議長バフェールの嫡男であり、その片腕として貴族連盟騎士団総帥を務めた英才の持ち主、故人であり享年は三百五十歳ほど。

 両親の血を受け継ぎ、温厚ではあるが怜悧な感覚を持った人物。その才幹をいかんなく発揮して若くして貴族連盟騎士団の頂点に上り詰めた。それは親の七光りではなく自分の実力で勝ち取った栄光であった。

 年上の従姉妹であった、フェレナス王女に淡い憧れを抱きその婚礼を祝福。のちにその娘であるフェルネートから思いを寄せられていたが、それに気づくことなく他家から妻を迎えることになった。

 西方大乱の折、父と国王の命を受けて出陣。西方地域の混乱を収拾しつつ、情勢の詳しい分析を行い、のちにそれをまとめた戦記が大陸中の貴族たちの娯楽として親しまれることになった。

 獣使いとの戦いが始まった後は常に最前線で戦い、側近であったレイアス家の兄弟とともに奮戦する。最後は栄華の都南方の防衛線を守り抜き、非業の戦死を遂げることになる。

 その死は、栄華の都の民に深い悲しみと計り知れない絶望を与えることになった――。




 マルドゥーク・デュラス

 セファルナ神学当代随一の学士でありカスタフ博士の後継者、享年370歳ほど。

 幼いころその神童ぶりをカスタフ博士に見出され、弟子となる。多くの貴族の子弟を教えるカスタフ博士に従い自身も学問を深く修めていく。

 少年時代、王都に上った先で家族と離れ涙する彼をやさしく慰めたものがいた。彼女こそがのちのフェレナス王女であり、彼女付きの学士となったマルドゥークはその恩に報いるためにセファルナ神学で並ぶものがないほどの碩学となった。

 のちにフェレナスの輿入れに伴い、レイアス家に仕えた彼はその英邁さから当主オスレイから家宰と子息の守役を任じられ見事その期待に応えることとなる。それ以外では多くのセファルナ神学の学士たちを育て、また対外的には最高評議会の顧問を兼任するなど政治的にも大きな影響力を持つにいたる。

 獣使いとの戦いが始まった当初から、最高議長の勅命により禁断の技術開発に着手。その成果は栄華の都防衛戦にて大いなる戦果をもたらすことにつながった。

 のちに主フェレナスの死に直面し深い絶望に苛まれることになる。さらには最高議長バフェール最後の命令を実行した彼は人に非ざる存在と化し、その身は赤の山嶺奥深くに封じられる結果となる。

 栄華の都で最後に何が起こったのかを知るものは無く、全ては歴史の闇に消えている――。


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